新年に新しい手帳をおろしたものの、3月頃になると書き込みがなくなり、白紙のページばかり…。そんな経験を持つ方も少なくないのでは。年の初めはやる気があっても、忙しさに追われるうちに手帳を開かなくなり、そのままフェードアウトしてしまうのはよくあること。
しかし、新しい環境や生活リズムに慣れるまでの不安がつきまとう春にこそ、紙の手帳は頼れる相棒になるのだ。この記事では心と時間を整える手帳の活用方法を紹介しながら、無理なく続けられる使い方を提案したい。
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わたしのこと
- 年齢:30代
- 性別:女
- 職業:ライター
- ライフスタイル:誰かと同居、インドア派、リモートワーク、朝型、自炊派/手帳はアナログ派
手帳の使い方はスケジュール管理だけじゃない
紙の手帳は、単なる予定管理ツールではない。スケジュールを記入するだけではなく、気持ちを整理し、頭の中をスッキリさせるツールとしても活用できるのだ。特に新生活が始まる春は、慣れない環境でストレスを感じることも多い。そんなときこそ、手帳を使って心を整える時間を作ってみてほしい。
例えば、朝の時間にその日のタスクを書き出すことで、やるべきことが明確になり、行動に迷いがなくなる。夜には1日の振り返りを手帳に記録することで、自分の気持ちを整理し、次の日の準備を整えられる。さらに、思いついたアイデアや感じたことを書き留める場としても手帳は役立つ。
書くことで思考を整理して迷いをなくし、安心感を生み出してくれるのが、紙の手帳の魅力。このように、手帳は単なるスケジュール帳ではなく、生活を整えるための相棒として寄り添ってくれるのだ。
心と時間が整う手帳の書き方4つ
実際にわたしが行っている、心と時間を整えるための手帳の使い方を4つ紹介したい。どれも簡単に始められるので、自分に合った方法を取り入れてみてほしい。
1. 前年度の申し送り
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毎年、同じ時期に同じような問題で悩まされていないだろうか。それらを手帳のマンスリーページやウィークリーページにメモして、来年の自分に“申し送り”しておくと役に立つ。
- 季節ごとの体調の変化
- 気温に合わせた服装の記録
- 定期検診の予約
- 毎年行くイベントの時期
“季節ごとの体調の変化”を例に挙げてみる。春は花粉症や気温差による体調不良が起こりやすい季節だ。前年の自分の症状や、効果があった対策を手帳に残しておくことで、今年も同じ悩みに直面したときに手帳を見返すだけで適切な対応ができる。
また、仕事や家庭でのルーティンについても記録を残しておくと、新年度も慌てることなくスムーズに過ごせる。”来年の自分への申し送り”を毎年続けることで、生活の質が向上するのだ。
2. ウィッシュリスト
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新しい1年の始まりに「今年こそ○○をやりたい」と思ったことはないだろうか。しかし、日々の忙しさに追われているうちに、その気持ちを忘れてしまうことも多い。そんなときに活用したいのが、手帳に書くウィッシュリストだ。
ウィッシュリストとは、やりたいことをリストアップするもの。自分が叶えたいことを書き出しておく。手帳のメモページなどに記録すれば、見返しやすくなるのがポイント。
- 旅行に行く
- 新しい趣味を始める
- 資格を取得する
- 最近オープンした飲食店に行ってみる
- 本を月に4冊読む
スケジュール帳と一緒にウィッシュリストを眺めれば、日々の予定と紐づけやすくなり、実現の可能性が高まるだろう。
“旅行に行く”と”新しい趣味を始める”は、時間の確保がネックになる場合が多い。「この期間は旅行に行く」「ここは趣味に使う時間」と、スケジュールを先に押さえておくと実行のハードルが下がる。「ぼーっとしているうちに休日が終わってしまった…」なんて後悔も防げるだろう。
「そもそも趣味に使う時間がない!」という方は、時間軸が縦に区切られたバーチカルタイプの手帳で、隙間時間がないかチェックしてみよう。
リストを書くだけではなく、定期的に見返すことも大切。“資格を取得する”など、時間のかかるものは、月ごとのページに「今月はどの目標に取り組むか」をメモしておけば、自然と意識する機会が増える。また、達成した項目にはチェックを入れることで、小さな成功体験を積み重ねられる。
やりたいことを明確にし、実現に向けた行動を後押しするウィッシュリスト。手帳を活用すれば、理想の1年に近づけるのだ。
3.コーピングレパートリー
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ストレスを感じたときや気分が落ち込んだとき、どう対処すればいいのか迷うことはないだろうか。そんなときに役立つのがコーピングレパートリーだ。
コーピングとは、心理学者リチャード・S・ラザルスによって考案された“ストレスへの意図的な対処”を示した論理。そのなかでも、コーピングレパートリーは自分がリラックスできる行動や気分転換の方法をリスト化したもの。例えば、以下のような項目を手帳のメモページに書いておく。
- お気に入りの音楽を聴く
- 猫の画像を検索する
- ストレッチをする
- 散歩に出かける
- 友人に話を聞いてもらう
いつも持ち歩いている手帳に書いておくことで、気持ちが沈んだときにすぐチェックでき、適切な対処がしやすくなる。コーピングリストは“ひとりでできるもの”、“誰かとするもの”、“家でできるもの”、“外出先でできるもの”など、さまざまな方法をたくさん考えておくことがおすすめだ。状況に応じて試し、自分にとって効果的な方法を選んでみてほしい。
(参照:伊藤絵美(2021) . 『コーピングのやさしい教科書』 . 金剛出版 .Kindle版)
4. 3行日記
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「日記を書こうと思っても続かない」と悩む方もいるだろう。しかし、手帳のウィークリーページなどに、1日3行決まったテーマを書き込む“3行日記”なら気軽に始められるのではないだろうか。
3行日記とは、順天堂大学医学部の小林弘幸教授が提唱している日記のつけ方。夜寝る前に、以下の項目を1行ずつ短くまとめて書く。
- 今日いちばん失敗したこと(もしくは、体調が悪かったこと、嫌だったこと)
- 今日いちばん成功したこと(もしくは、うれしかったこと)
- 明日の目標(もしくは、いまいちばん関心があること)
(引用:小林弘幸(2014) . 『「3行日記」を書くと、なぜ健康になれるのか?』 . アスコム .p12)
3行日記をつけ、その日のうちに振り返りを行うことで、自律神経の乱れを修正する狙いがある。書く順番も大切で、失敗したことを冷静に書いて反省し、次に成功したことを書くことでモチベーションを引き上げられるのだ。そのあとに、明日の目標を設定することで、次の日の行動がスムーズになり、前向きな気持ちで1日を迎えられる。
手帳の片隅に書くだけでよいので、無理なく習慣化しやすい。毎日の小さな振り返りが、自信につながる一歩となるのだ。
手帳は心と時間を整える相棒だ
新生活が始まり、環境の変化に戸惑うことも多いこの時期。そんなときこそ書くことで気持ちを整理し、時間の使い方を見直せる紙の手帳が、頼れる相棒となるのだ。
モヤモヤと考えていたことも、書くことで自分の考えを可視化できる。不安に思っていたことも、書き出してみたら大したことではなかったり、対処方法が浮かんだりする。日々の記録を振り返ることで、小さな成長を実感できるのも紙の手帳ならではの魅力だ。
手帳はいつでもあなたの側にいて、書き込むことでどんな話でも受け止めてくれる。そして、気づけば心と時間が整い、新生活に前向きに向き合えるはずだ。「手帳が続かない」と悩む人こそ、手帳を相棒として迎えてほしい。