ひとりで水族館に行くのは恥ずかしいことなのだろうか?いや、わたしはそうは思わない。
おひとりさまなら「好きな展示をじっくり見たい」「ショーを何度も見たい」「空いている平日に行きたい」ときなど、思い立ったタイミングで誰にも気を遣わずに楽しめる。大人のソロ活として、癒されたいときに水族館はおすすめのスポットだ。
「行ってみたいけれど迷っている」といった背中を押してほしい人に向けて、楽しみ方やひとりで行くメリット、ひとりでも行きやすい施設などを紹介する。

わたしのこと
- 年齢・性別:30代、女性
- 職業:ライター、編集者
- ライフスタイル:誰かと同居、インドア派、リモートワーク
- どこにでもおひとりさまで行きがち。
ひとり水族館の魅力は?ソロ活を選ぶ理由
大人には癒やされたいときがある。男性も女性も関係なく、きれいな景色やかわいい生き物を眺めてゆっくりと過ごす時間があってもいい。
水族館なら雨の日でもほぼ影響がない上、暑い夏や寒い冬でも空調が効いていて過ごしやすい。意外とひとりでも満喫できるし、平日の夜に行くのも楽しい。一年中行きやすい“心の退避場所”としておすすめのスポットだ。
では、あえてひとりで行くメリットとはなんだろうか?
【メリット】ひとり水族館でできること
- 思い立ったときにいつでも行ける
- 平日や仕事帰りでも立ち寄りやすい
- 短時間の滞在も気兼ねなくできる(年間パスポートがあるとなおよし)
- マニアックな企画展もゆっくり見られる
- 好きな展示を気の済むまで何時間でも見られる
- 解説や展示パネルをじっくり読める
- 写真撮影可能なショーやエリアで最高の1枚を狙える
- 同じショーを何回リピートしてもいい
- お土産ショップをじっくり楽しめる
水族館以外にも共通するが、ひとり行動のメリットとして「人と予定を合わせなくてもいい」のは大きい。休みが被らなくても思い立ったらすぐにやりたいことができる。
たとえば夜まで営業している都内の水族館なら、平日の仕事帰りにサクッと自分時間を作りたいときもひとりで寄りやすい。施設によっては夏休みや大型連休に合わせてナイトツアーが開催されることがあるのだが、ひとりなら貴重な時間をゆっくりと味わい尽くせる。
興味のある企画展のテーマが少しニッチなときや、じっくりと見たい展示があるとき。それから撮影可能エリアやショーででこだわりの写真を撮りたいときなど、誰かのペースに合わせるのが難しいシーンもひとりなら気を遣わない。
展示されているパネルの文言が凝っている水族館なら、ひとつひとつ解説を読むのも楽しみ方のひとつだ。たとえば愛知県・蒲郡市の竹島水族館は、飼育スタッフによる手書きの解説に味があると評判。ていねいに見ていくことで、新たな発見や気づきが生まれるかもしれない。
【デメリット】ひとりだと行きにくい理由と前向きな考え方
- カップルや家族連れが多いと心理的に気になる
- ひとりだと変な目で見られる気がする/おかしいと思われないか不安
- ショーの席取りをひとりでやらなければならない
- ふれあいプログラムや触れる展示などに挑戦しにくい
デートスポットの定番ともいえる水族館では、カップルを見かけることも多い。家族連れで訪れる人もいるから、特に休日や連休となると“おひとりさま”にとっては「自分だけがひとりなのでは?」と警戒してしまうかもしれない。
しかし、館内は暗いし、みんな展示に目がいくので意外と周りのことは見ていないものだ。もしひとりなのを見られたとしても、「誰かと別行動かな?」「トイレ待ちかな?」と思われるだけなので、そこまで気にする必要はなさそう。
ただしイルカショーやアシカショーなど、自由席で鑑賞するタイプのプログラムを見るときは、ひとりで席をとらなければいけないのはややデメリット。お客さんが多いと座席が埋まるのも早いため、混雑度が低そうな日を狙って行く方が余裕を持って行動できるだろう。
ふれあいコーナーはひとりだとリアクションしにくいので、おひとりさまレベルが高いわたしでも、できれば誰かと行きたいのが本音だ。周りに子どもが多い場合はさらに人目が気になることもある。
もし飼育スタッフさんがフリーなら、話しかけて一緒にリアクションしてもらったり、生態について聞いてみたりするのがおすすめ。新しい発見もあって、より水族館が楽しくなるはずだ。
ひとり水族館の楽しみ方は?ショー鑑賞や撮影などおすすめの過ごし方

マクセル アクアパーク品川「ワンダーチューブ」
水族館でおすすめの過ごし方
- 自分のペースでゆっくり見て回る(写真を撮る/解説パネルを片っ端から読むなど)
- イルカや生き物のショーを好きなだけ鑑賞する
- 飼育員による餌やりタイムや解説を見る
- 「自分的ベストショット」の撮影に挑戦する
- オリジナルフードやドリンクを楽しむ
- 休憩スペースでぼーっとする
- イヤホンで音楽や環境音を流す
- 魚や動物をスケッチする
- お土産をこだわって選んでみる
先に解説したひとりで行くメリットと重複する項目もあるが、基本は「自分のペースで楽しむこと」に尽きる。見たい展示を心ゆくまで楽しんでみよう。
フードやドリンクメニューに力を入れている水族館もあるし、東京都内の「マクセル アクアパーク品川」のように、イルカショーや水を使ったショーの鑑賞エリアでビールやファストフードを楽しめる施設もある。
「周りのおしゃべりを気にせず静寂を楽しみたい」「非日常な空間に没入したい」なら、ノイズキャンセリングイヤホンを持参するのがおすすめだ。お気に入りの音楽はもちろん、環境音を流せるアプリで水の音やアンビエントなBGMを流すとリフレッシュできる。
暗い場所を撮影するなら、カメラのシャッタースピードを落としてベストショットを模索したい。幻想的なクラゲの展示はフォトジェニックで狙い目。逆に動きの速い生き物やショーを撮りたい場合は、シャッタースピードを速くするか動画撮影が向いている。
館内でスケッチをするのも上級者の楽しみ方。時間を忘れて過ごせるが、「あの人何か描いてる!」と目に止まる可能性がある点は留意しておこう。特にタブレットを使って描くと暗い館内では光が目立つこともあり、興味を持った人や子どもたちに「何描いてるの?」「見せて!」と話しかけられるかもしれない。
ひとり水族館を満喫するための注意点
- 手荷物や貴重品の管理をしっかりする
- 大きな荷物はコインロッカーに預ける
- 一日中滞在するなら歩きやすい靴で行く
館内は暗い場所も多く、水槽が小さいエリアでは人と人との距離も近くなりやすい。手荷物は目の届く位置で管理して、特に死角になる空間にはひとりで近づかない意識ももっておきたい。
ショースタジアムで席を取る場合をはじめ、カフェエリアやレストランで食事をする場合など、トイレや買い物で離席する時は貴重品を必ず持ち歩こう。
疲れ対策として、なるべく身軽な状態で館内を周れるようにコインロッカーの利用もおすすめ。暖房が効いていれば上着ごと荷物を預けてもいいが、イルカショーのスタジアムや一部の展示エリアが屋外にある場合には、持ち歩いて羽織れるようにしておく方がよいだろう。
ひとりだと行きにくい水族館の特徴
- キッズ向けイベントが多い(水遊び、ふれあい体験など)
- ファミリー層向けに特化した展示や遊具が多い
- 屋外施設が広く、座る場所が少ない
ひとりだと浮かないか心配な方が気をつけたいのは、その水族館のメイン客層。基本的に公式サイトで館内マップや展示内容が公開されている施設が多いため、キッズ向けの施策中心のところは避けると落ち着いて鑑賞できるかもしれない。
公式SNSで生き物の様子やイベント情報などが発信されているなら、参考にしてみると雰囲気を掴みやすい。
ただし、そもそも誰かと来ている人は相手とその空間を楽しんでいて、周りをそこまで気にしないのではという考え方もある。見られ方が心配なら、カメラやスマホを手に撮影や記録をしているふりをすれば意外と乗り切れる(取材ですけど?Vlog用ですけど?の堂々とした態度がポイント)。
ひとり水族館の計画の立て方

ソロ活だからこそ、誰とも相談せず自分の興味のままに動けるのは大きい。せっかくなら、知的好奇心のおもむくままに行きたい水族館を探してみよう。
- 気になる水族館や行きたいエリアを決める
- 行く曜日や時間帯を決める
- 当日までに見たい展示と周るコースを考える
1. 気になる水族館や行きたいエリアを探す
まずはどこに行きたいのか方向性を決めてみよう。自分から検索してみるだけでなく、「テレビで特集されていた」「動画で紹介されていた」「公式SNSでかわいい海の生き物がタイムラインに流れてきた」といった受動的な見つけ方でも構わない。展示内容や会いたい生き物から選ぶのも大いにアリだ。
2. 行く曜日や時間帯を決める
基本的にどうしても休日は混むので、平日の昼間〜夕方が過ごしやすくておすすめ。水族館によっては営業時間が17:00ごろまでと短めなので、休館日とあわせて確認しておこう。
なお夜まで営業している都心の水族館では、平日仕事終わりの時間帯から社会人が入館して人が増えることも考えられる。
日曜または祝日の夜は、次の日が平日であれば意外と狙い目。テーマパークでも似た動きがあるかもしれないが、子ども連れやファミリー層が早めに帰宅した場合は、混雑が緩和するケースがある。
3. 当日までに見たい展示と周るコースを考える
お目当ての展示やショーの予定があれば、それを最優先にしよう。生き物が関わる展示は当日の体調や状況によって公開中止になる場合があるので、行く日が近づいてきたら公式SNSの発信もチェックしておくとよいだろう。
ショー以外にも餌やりや飼育員からの解説、ダイバーによる掃除などのイベントが組まれていることもある。充実感や満足感が得られる上に、その場でしか味わえない体験価値が付加されるので、時間が合えばぜひ参加してみるのがおすすめだ。
東京都内でおひとりさまでも行きやすい水族館
あくまで一例にはなるが、東京都内でソロ活しやすい水族館と最寄り駅を一覧でまとめた。
- マクセル アクアパーク品川(JR各線/京急線・品川駅)
- しながわ水族館(京浜急行線・大森海岸駅)
- カワスイ 川崎水族館(JR/京浜急行線・川崎駅)
- 葛西臨海水族園(JR京葉線・葛西臨海公園駅)
- サンシャイン水族館(JR/東京メトロ/私鉄各線・池袋駅)
- すみだ水族館(東武スカイツリーライン・とうきょうスカイツリー駅、東武スカイツリーライン/東京メトロ/私鉄各線・押上駅)
中でも「マクセル アクアパーク品川」「カワスイ 川崎水族館」「すみだ水族館」は最寄り駅からもアクセスしやすく、周辺は買い物に便利な立地。
舞浜や浦安方面にある「葛西臨海水族園」は海沿いでロケーションがいいので、散歩がてらゆっくりと一日を過ごしたいときにおすすめだ。
マクセル アクアパーク品川に行ってみた体験談

2019年ごろ、都内で働いていたわたしは「夜遊び」とまではいかないまでも、アフター6にちょっとした活動をするのにハマった時期がある。
動物カフェに寄ってみたこともあったし、今思えば癒やしを求めていたのかもしれない。そんな中、何かのメディアで見たのだったか、「マクセル アクアパーク品川」のことが気になった。
調べてみると平日の夜にもイルカショー(ドルフィンパフォーマンス)がやっていて、さらにはプロジェクションマッピングを使ったウォーターカーテンコール(※イルカ出演なし)も見られるという。また2025年現在にはなくなっているが、当時は餌やりのパフォーマンスが夜の部にもあったのだ。
仕事終わりに行っても楽しめそうだと思ったわたしは、いろいろ下調べをして実際に訪れてみた。
館内のスタジアムエリアの売店でビールを買って、仕事終わりの一杯を飲みながら着席する。観客はそれなりにいたけれど、席にはゆとりがあったし、ひとりで観るのが浮くほどでもない。水の音や匂いのする空間は開放感があって、そこにいるだけでもワクワクする。
イルカショーを観た後は、そのまま水と光の織りなすカーテンコールのプログラムを鑑賞した。生き物が出演しないショーは新鮮だったけれど、これはこれで楽しめることに気づく。

ショー以外で特に印象的だったのは、クラゲの水槽エリア「ジェリーフィッシュランブル」。宇宙空間のようなエリアは、実際に見るのもいいが、写真や動画に収めるとさらに幻想的に感じられる。
今は状況が変わっているかもしれないが、人が少ない平日の夜はこの空間に浸るのにちょうどよかった。もし興味を持った方は、営業時間やタイムスケジュールを確認して足を運んでみてほしい。
水族館は大人のおひとりさまもゆっくり過ごせる場所
館内で揺れる水の流れや幻想的な照明に浸っていると、どこか非日常に誘われたような気分になる。海の中を漂っている感覚になり、不規則な動きをする生き物や、雄大に泳ぐ魚の群れに心を奪われる。
「目の前のこと」だけにフォーカスするその瞬間は、忙しない日々を生きているとなかなか作れないもの。「癒されたい」と感じるとき、水族館は心強い味方になってくれるのではないだろうか。
カメラを持って写真を撮るもよし、好きなショーや展示を時間の許す限り見学するもよし。ひとり水族館を楽しむひとときは、大人に許された至福の時間なのだ。