何かを好きだと思う自分だけの感性や、大切にしたい価値観は、子どものころからの「選択」によって、少しずつ輪郭がはっきりしてくるものだと思う。
私の記憶に残っているなかで、初めて自分で何かを選んだ経験は、小学校に上がるときの「ランドセル」だった。
ランドセルは大好きなピンク色がいい

私は、物心ついたころから、ピンク色が大好きだった。自然と好きになっていたので理由は定かではないけれど、大好きだったアニメ『セーラームーン』の影響が大きいかもしれない。主人公の月野うさぎが変身に使うコンパクトは、いつもキラキラしたピンク色だった。
だから当然、ランドセルもピンク色を選びたいと思っていた。でも、私が小学生に上がる約30年前は、「女子のランドセルは赤」というのが常識だった。
実際、店頭に並ぶランドセルも赤か黒ばかりで、それ以外の色は端のほうに少し置いてあるだけ。その光景を見て、子どもながらに人とは違う色を選ぶことへの躊躇も、多少は生まれたと思う。
母は、なるべく私の希望に沿ったものを買おうとしてくれていた。一方で、周りから浮いてしまったり、変に目立ってしまったりすることを心配もしていた。私が初めての子どもだったから、母もわからないことだらけで不安だったのだろう。
ピンク色のランドセルを探すと、一番はじめに目に付いたのは、桜のような淡くて明るい色のもの。私がそのランドセルに近付いたとき、一緒にいた祖母がギョッとしていたと、あとから母に教えてもらった。
私は、そういう淡い色はあまり好きではなく、色名でいうと「マゼンタ」のような濃いピンクが好きだった。ただ、当時は赤と黒以外の選択肢はかなり少なく、私が求めるピンク色は結局見つからなかった。
そんななか、母が「これはどう?」とすすめてくれたのが「ローズピンク」という色名がついたランドセルだった。赤とピンクの間のような、深みのある色味。正直、もう少しピンクが強いほうが好みではあったけれど、店頭に並んでいるなかでは一番理想に近い色だった。
祖父母をはじめ周りの大人たちも、「赤に近いし、これなら…」と安堵していたらしい。私自身、自分の好きな色だし、冒険しすぎていない感じも、ちょうどいいように感じていたと思う。
周りと「ちょっと違う」ローズピンクのランドセル

実際に、ローズピンクのランドセルを背負って小学校に通い出すと、周りとは「ちょっと違う」選択をしたことが、我ながらカッコよく思えた。私は意外と優等生だったので、この「ちょっと違う」というのが重要で、「常識にとらわれないけれど、逸脱はしすぎない」自分に誇りを持っていた気がする。
それに、ランドセルの色が原因で、嫌な思いをしたこともなかったし、むしろすぐに見分けがついて便利だったことのほうが多い。赤と黒ばかりのランドセルが並ぶなか、自分だけのローズピンクのランドセルは、なんだか輝いて見えたものだ。
今振り返ってみても、あの色のランドセルを選んだことは、ちょっと鼻が高い。上品で大人っぽい色合いは、当時ではかなりおしゃれだったと思う。
私にとって、このランドセル選びの経験は、その後の人生にもかなり影響している気がする。「周りと同じようにしなきゃ」とか「みんなに揃えなきゃ」という思いは、あのときに払拭してしまったから、人と違う選択をすることにあまり抵抗がない。
むしろ「ちょっと違う」ことをカッコよく感じる経験をしてしまったので、あえて周囲とは少しズレた道を選んでいるきらいすらある。
ここでは多く語らないけれど、新卒の内定を蹴ったことや、20代でフリーランスデビューしたことも、あのローズピンクのランドセルから始まっているのかもしれない。当時と比べると、逸脱することにだんだん躊躇がなくなってきている気もするけれど…。
ランドセルは「自分らしさ」を映す鏡
私には妹が2人いて、彼女たちもしっかり自分の好きな色のランドセルを選んでいた。ちなみに、4つ下の妹は目の覚めるような「青」、8つ下の妹は淡い「水色」だった。
そのときは一瞬、「私も、もっと派手な色を選んでよかったかも」と考えたけれど、やっぱりローズピンクのランドセルが一番自分らしいとも思った。
一番下の妹が小学校に通っていたときは、すでに赤と黒以外のランドセルを選ぶ子どもが増えていたように思う。カラフルなランドセルであふれる通学路を見て、微笑ましい気持ちになったことを覚えている。
最近は、ランドセルを見る機会はほとんどなくなってしまったのだが、ふと気になって調べてみると、さらに自由度が上がっているようだ。
なかには、リボンや猫耳のモチーフがついているものがあって驚いた。しかも、ものすごくかわいい…! 好きな色のランドセルを選ぶのはもう当たり前で、さらに自分だけの個性を表現する時代なのだろう。

しかもブランドは「PAUL & JOE」。小学生のときから、憧れブランドのアイテムを持ち歩けるなんて、私だったら自慢したい気持ちになると思う。

ほかにも、同じ会社から「MARY QUANT」のランドセルも発売されていた。高校生のころ大好きだったブランドなので、おなじみのデイジーモチーフやキルティングなど、可愛らしいデザインに、思わず胸がときめいた。

そして、多くのデザイナーズランドセルを手掛けている、このSHIFFONという会社のメッセージに、心から共感してしまった。
デザインも色も大好きなランドセルを買ってもらったら、そのランドセルはただの教材入れではありません。子供にとっては宝ものです。お気に入りの服を着るように、袖を通すたびにうれしくて、あふれる笑顔がとまらない。だからSHIFFONは、品質が確かで、デザインとカラーが豊富に揃ったブランドから、いいランドセルを提供します。
デザイナーズランドセルSHIFFON
たしかに小学生のころの私にも、自分で選んだ自分らしいローズピンクのランドセルは、もはや宝ものになっていた。



私には、子どもはいないけれど、もしも自分の子が、「好きだから」という理由でこんなユニークなランドセルを選んでくれたら、ものすごくうれしいし、誇らしく感じると思う。
周りに流されず、自分の「好き」なものを、ちゃんと「好き」だと言えること。それは、自分らしく生きていくために、とても大切な要素だと思うから。
こんなにたくさんの素敵な選択肢があるなかから、自分の「好き」を選べる今の子どもたちが、なんだかうらやましくなってしまった。