積まれた本と、読めなかった時間―。またページを開きたくなったのは、読書記録のおかげ

子どものころから本を読むのが好きだった。

「本の虫」というほどではなかったけれど、プロフィール帳の趣味の欄に迷わず「読書」と書くくらいには、習慣的に読んでいた。

正直、マンガやテレビゲームが禁止されていたから、ほかに娯楽がなかったという理由も大きい。でも、新しい物語に出会ったときのワクワク感や、読破したときの達成感は、子どもながらに格別だった。

それに、私が今「文章を書くこと」をなりわいにできているのは、まだ脳ミソが柔軟だった時期に、たくさん本を読んだからだと思う。

最近ようやく、読書記録を付け始めた

とはいえ、いわゆる「読書記録」というものを付けたことはなかった。生来、ものぐさなタチなので、とにかく「めんどくさい」という理由だ。

だから、自分がこれまで何冊くらいの本を読んだのか、正確なところはわからない。もしかしたら、自分で思っているより少ないかもしれない。

そんな私だったが、ついに昨年末から、ようやく読書記録を付け始めた。その背景には、10年以上読書の習慣が絶えてしまって、いわゆる「積読」が増えていく一方だったいう事情がある。

筆者の本棚の一部。読了したものもあるが「積読」も多い。

大人になって、子どものころ禁止されていたマンガを読み漁ったり、巷にあふれている魅力的な映像コンテンツを垂れ流したり、とにかく読書をする「すきま」がなくなってしまったのだ。

読書というのは、意外と手間がかかる娯楽なのだと思う。一文字ずつ目で追って、言葉を噛み締めて、頭の中で想像して、自分の手でページをめくる―。集中力と根気がいる作業だ。

大人になると読書量が減る人が多いはずである。そういう手間をかける時間がないのはもちろん、仕事のことが頭をよぎって、本の内容に集中できないことも多い。

だからこそ、ただ純粋に読書を楽しめる時間はとても貴重なのだ。

昨年は約10年ぶりに、仕事に追われることなく余裕のある年末を過ごせた。時間がありあまる感覚はとても久しぶりで、せっかくだから、たくさん本を読もうと思ったのだ。

そして、一気に5冊を読破し、子どものころ以来の達成感を味わった。そのとき、「この気持ちは、記録に残しておかないといけない」と思い立ったのだ。感動が自分の性質を上回った瞬間だった。

そして、すぐに「読書記録」というスプレッドシートを作って、本の情報や感想を書き連ねていった。生まれて初めての読書記録だったが、書名がずらりと並んでいるのを見ると、

読書を通じて自分の中に蓄えられたものが可視化されたように感じて、なんともいえない多幸感に包まれた。

「本の話だけのSNS」という新たな記録ツール

年が明け、少しずつふだんの生活が戻り、仕事も忙しくなってくると、どうしても読書をする時間は取れなくなっていった。でも、読書記録を見返すと「自分は本好きだ」というアイデンティティが保たれるような気がした。

そんなとき、SNSでこんな投稿を見つけた。

新たにリリースされた「Reads」というアプリは「身軽で自由な記録を通して、読書を楽しめるようにするためのプラットフォーム」とのこと。「読書はもっといい加減でいいはず」という言葉が心に刺さる。

「読了しなくても記録に残る」「感想以外もなんでも書ける」「写真やタグで表現できる」と、堅苦しくないところにも好感を持った。そういえば、自分で付け始めた読書記録も、継続できるように、なるべくシンプルな要素だけにしようと意識していた。

まんまと興味をそそられた筆者は、さっそく登録して使ってみることにした。Googleアカウントを紐づけられたので、新規登録はとても簡単だった。ログインすると、タイムラインに、ユーザーたちの投稿がずらりと並ぶ。「いいね」やコメントを付けることができるのは、ほかの多くのSNSと同じ仕様だ。

投稿の中には、しっかりと感想を書いているものもあれば、たった一言だったり、「気になる」「積読中」というタグだけだったりするものもあった。書影が掲載されているので、ビジュアル的に、見ていて楽しい。

こういうSNSの最初の投稿は、いつもどんなことを書くか逡巡してしまうのだが、これくらい気楽でいいのなら、身構える必要はなさそうだ。

ということで、筆者も1冊目の記録をつけてみる。まずは、自分の「読書記録」から引っ張ってくることにした。投稿は、書名を検索してコメントやタグ、日付や場所などを登録するだけというシンプルな設計。もちろん、すべての空欄を埋めなくてもいいし、ほかのユーザーに公開しなくてもいい。これはかなり気が楽だ。

とくに素晴らしいと思ったのがタグ機能。「気になる」「読みたい」「ちょっと開いた」など、読み終わっていなくても、気軽に残せるのがありがたい。

ここ数年、読みたい本は忘れないうちに買って積んでおくことにしていたけれど、そうすると、ただ本棚に並べただけで満足して、結局読んでいないものも大量にある。それなら、この「Reads」にとりあえず登録しておいて、時間があるときに買うようにするのがいいかもしれない。

とても簡単だったので、翌日には2冊目も登録した。自分のタイムラインに投稿が蓄積されていくのが、なんだか心地いい。自分で付けていた読書記録も気に入っていたけれど、こうやって書影が並んでいると、見直したときにもっとワクワクすると思う。

それにやっぱり、誰かから「いいね」と反応があると、ちょっとうれしい。もし、私の感想がきっかけで、その本を手に取ってくれる人がいたら、もっともっとうれしい。

承認欲求というか、SNSに踊らされている感じは、悔しくもあるのだけれど、自分だけの閉じた世界で記録をつけているより、読書欲が高まっていくような気がする。

Reads」の投稿をもっと増やしていきたいし、そろそろ10年モノの「積読」ともちゃんと向き合おう。そして少しずつ、子どものころのような読書習慣を取り戻せたらと思う。

senakondo

1990年生まれ、東京都出身。フリーランスのライター、インタビュアー。エンタメ系の記事が得意。趣味は美容と推し活。楽しいことにはいつも貪欲でありたい。