「3年間分書き終わった…」
わたしは、子どもが4歳になる年から3年連用日記に育児記録をつけている。そして、今年の3月に書き終えた。連用日記を読み返してみると、たった数行でも、毎日の何気ないできごとが宝物のように思える。
そんな育児用の連用日記を3年続けてよかったことと、続けるコツを紹介したい。

わたしのこと
- 年齢:30代
- 性別:女
- 職業:ライター
- ライフスタイル:誰かと同居、インドア派、リモートワーク、朝型、自炊派
育児日記をつけようと思った理由
育児日記をつけたいと思ったきっかけは、毎日書いていた保育園の連絡欄がなくなったこと。
わたしは、子どもを0歳のころから保育園に預けていた。保育園の0〜2歳児、いわゆる乳児クラスの子どもたちは、会話でコミュニケーションを取るのが難しい。
そのため、家庭での様子や気になることを伝えるために、保育園の連絡帳に1日1ページの連絡事項を書く欄が設けられていたのだ。
3歳児以降の幼児クラスになると、子ども自身が話せるようになるため、連絡帳の連絡欄スペースが1ヶ月分で見開き2ページになっていたのである。
乳児クラスの連絡帳を読み返してみると「この日から歩き出したんだっけ」「”母ちゃん”って言えなくて”あーちゃん”って呼ばれてたっけ」と成長の記録をすぐに思い出せる。良い習慣だと思ったので、個人的に育児日記をつけてみることにしたのだ。
3年連用日記を選んだ理由
育児日記をつけようと思ったものの、何に書くか迷った。書くスペースが小さい保育園の連絡欄を埋めるのでさえ、仕事で疲れているときはしんどいのだから、1日1ページの日記を続けるのは難しいだろう。
そんなときに思いついたのが“連用日記”だった。1ページに複数年分の記録を書く形式で、3年用であれば、同じ日付の欄に3年分の記録が並んでいく仕組みだ。これなら書くスペースも少ないので気軽に書き進められそうだ。
また、連用日記には、3年・5年・10年用があるが、わたしが選んだのは“3年用”。ちょうど日記を始めるタイミングが、保育園の幼児クラスのスタートにあたり、書き終えるタイミングで卒園するためだ。
連用日記で育児日記を書いてよかったこと
連用日記を始めるのに抵抗がある方もいるかもしれない。しかし、実際に3年間続けてみたら「よかった」と思えることが多かった。育児日記を始めたい方の背中をそっと押せるような、書いてよかったことを2つ伝えたい。
1. 言葉の変化がわかる
連用日記をつけていてよかったと特に感じたのは、子どもの言葉の変化を記録できたことだ。
例えば、子ども特有の言い間違い。我が子の場合、“とうもろこし”を“とうころもし”と言っており、その響きがかわいくて話した日には記録しておいた。
2024年の日記(子ども5歳)
「廃材(遊び)で、とうころもし作ったの!変わったとうもろこし!」と(子どもの名前)が話していた。とうもろこしって言い直してる?!
※廃材遊びとは、牛乳パックやお菓子の箱など、家庭で出た廃材を使って自由に制作する遊び。
この日を境に、子どもは正しく“とうもろこし”と言うようになった。正直なところ、わたしは子どもの“とうころもし”という言い間違いが好きだったので、ちょっと寂しい。それでも連用日記を読み返すたびに、あのかわいい言い間違いが頭の中によみがえるのだ。
また、文字を読めるようになってからの日記もおもしろい。
2024年の日記(子ども5歳)
「これ(看板)“ことり”って読むの?」と(子どもの名前)に聞かれたけど、それは“ニトリ”だよ。

当時はカタカナを覚えたてだったので、ひらがなの“こ”をカタカナの“二”と間違えたらしい。確かにひらがなならば“こ”と読めるので、子どもが自分の持っている知識で読もうとしている様子に感心した。何より“ことり”という響きがかわいかったので、連用日記に記録した。
子どもの話す言葉は毎日成長している。しかし、日々の生活に追われていると、細かな変化を見落としてしまいがちだ。だからこそ、連用日記にその日の会話をメモしておくことで、子どもの言葉の歩みが明確に見えてくる。
2. 同じイベントでの心の成長がわかる
連用日記ならではの魅力は、同じ日に起きたできごとを、年をまたいで見比べられるところにある。特に、毎年行われるイベントでは、子どもの成長の様子がはっきりとわかる。
2022年の日記(子ども4歳)
保育園の運動会。親子競技が終わった後、お父さんと離れるのが嫌で泣いちゃった。
2025年の日記(子ども6歳)
運動会開催!全部の競技に本気で参加していた。かけっこで1位になった。親子競技で負けたのが悔しくて泣いていた。
運動会で泣いた理由が、4歳のときは“親と離れるのがさみしい”、6歳のときは“競技で負けて悔しい”に変わったことに成長を感じる。
心の変化は、写真ではなかなか残せない。けれど、言葉で記録しておけば、当時の様子、会話の断片までよみがえる。毎年、同じ時期に同じようなイベントがあるからこそ、連用日記は育児の記録にぴったりなのだ。
連用日記で育児日記を続けるコツ
育児中は、子どもとの時間を楽しみたい反面、毎日が忙しく心の余裕がないことも多い。そんななかで、連用日記を無理なく続けるための具体的なコツを3つ紹介したい。
1. きれいに書こうとしない
連用日記を続けるうえで、大事なことは“きれいに書こうとしない”ことだ。
InstagramなどSNSにアップされている育児日記は、カラフルなペンで書き分けられたり、写真を貼ったり、イラストを描いたりなど見た目にも華やかなものも多い。
手帳デコやイラストが好きな方は、SNSを参考に育児日記を書くのは良い息抜きになるだろう。しかし、そうではない方の場合、きれいな育児日記を目指すと、疲れている日はおっくうになり書くこと自体が負担になってしまう。
記録のための育児日記ならば、字が雑でも文が途中でもいい。メモのように箇条書きでも、単語だけでも、書いてあればそれでいい。
ある日の日記はこうだ。

「友だちに手紙を渡せたのと、もらったのでうれしかったようだ。」
この程度でも、十分記録として意味がある。後で読み返せば、「このころには文字が少し書けて、友だちとやりとりできるようになったんだな」と思い出すきっかけになる。
毎日をきちんと書こうとするよりも、数年後の自分が「懐かしいな」と感じられるかどうかが大切だ。
2. 3日坊主も続ければ習慣
「毎日書かないと意味がない」と思うと、日記は続けにくくなる。実際、わたしも何度か書き忘れたことがある。しかし、そこでやめなかったのは「空白があっても、また書けばいい」と割り切るようにしたからだ。
3日坊主でもまた再開すればいい。続けていくうちに、書くことが生活の一部になっていく。書く量もその日の気分で決めていいのだ。ほんの数行だけでも、記録があるとないとでは、後からの見返しやすさがまったく違う。
後から空白の日があったとしても、周辺の日記やスマートフォンの写真を見れば状況を思い出せる。むしろ、空白もまた“その日は疲れていた証拠”として、立派な育児の記録なのである。
3. イライラしたときは状況のみを書く
育児には、どうしてもイライラしてしまう瞬間がある。どれだけ子どもが可愛くても、どれだけ頑張っていても、心の余裕を失う日はある。そんなときに日記を書くと、つい感情的な言葉が並んでしまうこともあるだろう。
朝は保育園に行きたがらず、なかなか家から出なかったのに、お迎えに行ったらなかなか帰ろうとせず、いつまでも遊びをやめない子どもにイライラしてしまったこともある。そんな日は、感情を書かずただ状況だけを淡々と書くようにした。
「朝、保育園に行きたがらなかった。お迎えにきたら、なかなか帰りたがらなかった。」
たったこれだけの記録でも、そのときの状況は後から読み返したときにちゃんと思い出せる。
感情的になって書いた記録は、読み返すと苦しくなることもある。けれども、状況だけを書いておけば、過去の自分も今の自分も、責めずに受け止めやすい。
書き終わったら、きっと自分に感謝する

3年連用日記を無事に書き終えたとき、真っ先に思ったのは「続けてよかった」ということだった。雑に書いた日もたくさんある。それでもページに思い出が並んでいることがうれしかった。3年前、連用日記を始めたわたしに感謝したい。
書きながら、「なんで泣いてたんだっけ?」「この言葉、いつから言えるようになったんだろう?」と、3年前、2年前の記録に目を向けるようになった。忙しい育児の日々はあっという間に過ぎてしまうけれど、日記があることで、その時間を少しだけ引き止めておける。
そして今、わたしは次の3年連用日記を書き始めている。今度は子どもが小学生になった姿を連用日記と共に過ごしたい。いつかこの日記が、子ども自身にも見せられるくらい宝物になるように。そんな気持ちで、今日も一言、書き留めておく。