まったく汗をかかない子どもだった。夏場の体育の時間、クラスメイトが流す玉のような汗を見ながら、いつか私も、額や首筋からキラキラした汗をツーっと流してみたい。そう憧れていた。
ところがどうだ。35歳をすぎたあたりから、とんでもない量の汗をかくようになった。玉のようなとか、ツーっと流れるなんて騒ぎじゃない。ありとあらゆる汗腺から汗が吹き出る。額や首、ワキはもちろん、背中、デコルテ、太ももやひざ裏からも汗が流れ落ちてくる。
そんな私にとって、夏の服選びは死活問題である。とにかく涼しい服はどれ？ とにかく汗じみが目立たない服はどれ？ とはいえ何でもいいってわけじゃないし？ そうやってたどり着いた、滝汗民に推したい夏ファッションを紹介したい。
通気性と速乾性が大事
私が夏場の服選びで重視しているのは
・通気性がよいこと
・汗がすぐにカラっと乾くこと
の2点だ。
“通気性のよさ”は必須事項だ。ただでさえ気温が高いのに、通気性の悪い服を着ていると、服のなかに熱や湿気がこもってよけいに汗をかいてしまう。まずは通気性のよい服を着て、暑さを外に逃がすことが重要だと思っている。
とはいえどんなに通気性のいい服を着ていても、外気温が30℃以上になれば、絶対に汗をかく。これはもう避けられないので、かいた汗の対処法(つまり、汗がすぐにカラッと乾くこと)が大事になってくる。たとえば夏場に外出先で大量の汗をかいたとする。もちろん服は汗でぐっしょり…。こうなると、汗じみだけでなく、衣服が汗を吸ったあとの生乾き臭なども気になるところだが、かいた汗がすばやくカラっと乾いてしまえば、一旦汗じみやニオイの問題は気にならなくなる。
気温が異常に高くなる昨今の日本で汗をかかないようにすることは難しいが、通気性と速乾性にすぐれた服を着ることで、汗による不快感を減少できるのだ。
そして、この2点を兼ね備えた素材が、リネンとインド綿だ。
シャリサラが心地いい、リネン
通気性のよさでいえば、リネンにかなう素材はない。また生地の目が粗いため、汗をかいてもすぐに乾くし、嫌なニオイも気にならない。リネン特有のシャリっとした素材感も、汗でべたついた肌に心地よくなじんでくれる。
リネンの服がないと、私はもう日本の夏をすごせない。毎年4月になると、ありとあらゆるファッション系のECサイトで「リネン ワンピース」「リネン トップス」などと調べまくって、リネンの服を買い足している。
すてきなリネンの服はすぐ売り切れてしまうため、本格的な夏が来る前に買ってしまうのがおすすめだ。
ハリ感とくたっと感、どっちを選ぶか
リネンの服を買うときに私が気にしているのが質感だ。
リネンの服には、画像左の緑の服のような、ハリのある質感のものと、画像右の赤の服のようなくたっとした質感のものと、大きくわけて2種類の質感がある。
私自身はリネンに限らずハリのある素材の服がまったく似合わない体型のため、くたっとしたリネンを選んで買うようにしている。リネンの服は、ハリがあるかくたっとしているかによって似合う・似合わないが変わってくるので、色やデザインだけでなく、質感も吟味してほしい。
ちなみにこの赤のワンピースは、くたっとした質感かつストンとしたIラインのマキシ丈で、私の体型にピタリとハマる数少ないリネンアイテムなのだ。
毎夏着まくったためさすがに生地が傷んできたのだが、残念ながらもう同じものは売っておらず、似たものもなかなか見つからないので、最近はフリマアプリで古着が出品されていないかまで調べあげている。それくらいこのワンピースを愛しているのだ。
まるで天界のお召し物、インド綿
インド綿はとにかく薄い。めちゃくちゃ薄手なので通気性はばっちりだし、たとえ汗をかいてもすぐに乾く。
そしてなにより、着心地がいい。ふわっふわに軽くて、何も着ていないかのようにくったりしている。
私はインド綿の服を着るたびに、きっと天国にいる人々は、毎日こんなお召し物でくつろいでいるんだろうなぁなどと思っている。
地獄のように暑い日も、インド綿が天国にしてくれるのだ。
ふわりと揺れる優美なスカート
インド綿のふわふわ感がもっとも生きるのが、たっぷりのギャザーが入ったマキシワンピースやマキシスカートだと思う。軽やかな素材なのでボリューム感があっても暑苦しさはまったくないし、歩くたびにスカートの裾が優雅に揺れる様子もうつくしい。
冷房対策もインド綿で
また、インド綿の長そでシャツも重宝する。たとえばエアコンが効きすぎて冷えてしまったとき（とくに滝汗をかいた後だと、よけいに冷える）にインド綿のシャツを羽織ると、ほどよいあたたかさとくたっとしたやわらかさが身体を包み込み、この上ない心地よさを味わえる。
涼しさはもちろん、あたたかみもあるのがインド綿の魅力なのだ。
リネンとインド綿で、厳しい暑さを乗り切る
今年の夏もまたものすごく暑いんだろうか…。と考えるとげんなりするが、気候ばかりはどうにもならないので、私は今日も、「リネン ワンピース」「インド綿 マキシスカート」と検索している。
涼しくてすてきな服を揃えておけば、厳しい暑さも少しだけ楽しみになるから。
