「なりたい自分になるメイク」をとり戻した日

メイクを好きになったのは、中学2年生のころだったと思う。

マスカラを塗ると自分の目が倍くらい大きくなる、と知って、私の人生は変わったのだ。

もちろん、倍大きくなったように見えただけで、本当に目が大きくなったわけではないのだけど、メイクってすごい! 楽しすぎる! と思うには十分な衝撃だった。

メイクで、なりたい自分になる

最初は、自分の顔をよりかわいく見せたい一心でメイクにのめり込んだのだが、しだいに、なりたい自分になるためのメイクにのめり込むようになった。

個性的な私に見せたいときは青い口紅をよくつけていたし(当時青い口紅なんて売ってなかったから、リップクリームを塗った上から青いパールのアイシャドウを重ねていた)、絶対に舐められたくないからと、太めのキャットラインに赤リップで武装していたころもあった。

まわりから変な目で見られても全然気にならなかった。なりたい自分になることのほうがずっと大事だったから。

大人になって、無難になった

出典:株式会社オンワードホールディングス

そんな私も20代半ばになると、100%自分好みのメイクから、万人受けする好感度の高いメイクをするようになっていった。

個性や奇抜さ、強さを纏うより、やわらかさや親しみやすさを纏ったほうが、生きやすいと悟ったからだ。よく言えば大人になったのだし、悪く言えば無難になったのだ。

こうして私は、メイクで自分を表現することから遠ざかってしまった。

“躍れ、表情。”プロジェクト

そんな私の目に留まったのが、Chacott COSMETICS(チャコット・コスメティクス)」の「“躍れ、表情。”プロジェクト」だ。

本プロジェクトは、ブランドメッセージ“躍れ、表情。”を具現化し、人生というステージにおいて素直に心躍る表情で生きられるように、メイクを通してサポートしていきたいという思いからスタートしました。

出典:株式会社オンワードホールディングス

はじめてメイクをしたときのワクワクやドキドキを思い出させてくれるようなこの言葉に引き込まれ、プロジェクトの特設サイト「#COSMETIC DIALOGUE」も覗いてみた。そこには、女性たちのメイクに対する悩みや本音がつづられている。

『頑張っていたり、お気に入りだったメイクも「もしかしてこれって今っぽくない?」と気になってしまって、無難な方を選んでしまう』
『楽しいというよりは、作業。毎日同じアイテムを右から並べてその順番で使うんです』

出典:「#COSMETIC DIALOGUE」特設サイト

この気持ち、わかるわかる! と思わず共感。私自身も最近では、いかに時短で済ませられるかとか、いかにコンプレックスをうまくカバーするかとか、そういうことばかりを重視するようになっていた。

でも「“躍れ、表情。”プロジェクト」に出会って、もういちど純粋にメイクを楽しみたい、昔のようになりたい自分をメイクで表現したい、とあらためて思うようになった。

久しぶりに赤リップを纏って

撮影:イトウウミ

先日、ものすごく久しぶりに、赤リップを塗ってみた。そうしたら、なんだかとってもよかったのだ。

リップとのコントラストで肌の白さがグッと引き立ち、透明感が出て、華やかな雰囲気に見える。

え? いいじゃん! 似合うじゃん! と興奮した。はじめてマスカラを塗ったときの、あの気持ちに近いものを感じたのだ。

そしてその赤リップを塗って出かけたら、いつもよりちょっと勇気が出た。普段は自分から知らない人に声をかけるなんてことしないのだが、この日は自然とそれができたのだ。

なりたい自分に少しだけ近づけた気がしてうれしかった。やっぱりメイクって楽しすぎる。

イトウ ウミ

昭和生まれのフリーライター。美容系メディアを中心に取材・執筆しています。今後はエッセイをたくさん書きたい!