8月13日は“国際左利きの日”。イギリスの『Left-Handers Club』という団体が、左利きの人たちの生活環境を向上させる目的によって制定された記念日だ。
これまでの記事でいろいろな文房具を紹介してきたが、実はわたしは左利き。お箸やペンを持つ手はすべてが左だ。左利きの方なら共感してもらえると思うのだが、日常生活において、うっすら不便を感じるときがある。そんな日々が、左利き用の文具に出会ったことで変化した。右利きに合わせていた日々が、“小さな我慢の積み重ね”だったと気づかされたのだ。
本記事では、わたしが実際に使ってよかった左利き・左右両用文具をレビューする。また、左利き・左右両用のアイテムを取り扱う、左ききの道具店についても紹介したい。

わたしのこと
- 年齢:30代
- 性別:女
- 職業:ライター
- ライフスタイル:誰かと同居、インドア派、リモートワーク、朝型、自炊派
- 利き手:左。お箸やペン、ボール投げも全て左手
左利き用グッズで”道具に合わせる”不満が”道具が合わせてくれる”感激へ
「使いづらいのは、自分が不器用だからだ」左利きであるわたしは、子どものころはそう思っていた。でも、本当は自分のせいではない。はさみの刃の重なり、定規の数字の向きなど、右利きの方が使いやすいように設計されている道具は意外と多い。
大人になって、道具の使いづらさに気づいた後も誰かに文句を言ったことはない。ちょっと切りづらい、ちょっと見づらい…そんな“ちょっとした不満”だったからだ。
しかし、“ちょっとした不満”はいつの間にか、日常に“無意識のストレス”として積み重なっていく。わたしは文具が好きで、手帳や筆記具、道具選びにもこだわってきたつもりだったが、どこかで“道具に合わせること”を前提として選んでいたのだ。
左利き用グッズに出会ったとき、その違いは明確だった。ちょっとした動作がしやすい、まさに左利きに“道具が合わせてくれる”。そんな感激を与えてくれるのが左利き用グッズである。
左利きの自分に合った文具を知る
「左利きだから仕方ない」とあきらめていたわたしに、新たな視点をくれたのが、オンラインストア左ききの道具店の存在。ここには、左利きの方のために作られた文具や、利き手を問わず使いやすいアイテムがそろっている。
ここからは、わたしが左ききの道具店で購入し、実際に使ってみた“左利き・左右両用文具”を紹介していく。特に日常的に手に取りやすい文具をセレクトしてみた。毎日使う文具だからこそ、自分に合ったものに出会うことで、暮らしの快適さを変えてくれたのだ。
『左ききの手帳』配置が変わると書きやすさが変わる

左利きの場合、横書きの手帳を使うときは、書く手で日付が隠れてしまう。“日付を見ながら書く”ということがやりにくいのだ。日付を確認するために、手を止めなくてはいけないので、地味に時間がかかってしまう。
左ききの道具店オリジナル『左ききの手帳』は、配置が左利きの方にとって見やすい仕様になっているのがポイント。

- 日付の配置: 全てのカレンダー(年間、月間、週間)において、日付の数字が右上にレイアウトされている。
- 週間ページのレイアウト: 一般的な手帳の“週間レフトタイプ”とは逆で、右ページにスケジュール、左ページにメモを配置する“週間ライトタイプ”を採用している。
- 開く方向: ページを開く方向が一般的な手帳と逆。左利きの人が左手の親指で、巻末からではなく巻頭から目的のページをパラパラとめくることができる。
これにより、左手で文字を書く際に日付が隠れるのを防ぎ、ページもめくりやすくなっているのだ。
予定管理や日記など日常的に使う手帳こそ、自分に合ったものを選びたい。左利きの方に書きやすさに特化した仕様の『左ききの手帳』は、開くのがうれしくなるアイテムだ。
2026年版は9月に発売予定とのことで、毎年購入できるのを楽しみにしている。
『左利き用万年筆』引っかかりのない書き心地

※写真の万年筆は著者の私物で、左ききの道具店にて過去に販売されていた別注カラー“トープ”。現在は別のカラーおよび定番品が取り扱われている。
「万年筆は左利きに不向き」と思っている方に試して欲しいのが、『Schneider 万年筆 Base 左手用』である。
この万年筆は、左手での筆記に適したペン先の加工がなされており、一般的な万年筆で感じやすい引っかかりやインクのかすれを解消してくれる。

わずかに中心をずらして固定されたニブ(ペン先)は、インクの流れがとてもスムーズで、なめらかな書き心地を実現する。
ラバー製のグリップには指の位置に合わせたくぼみがあり、自然と理想的な角度で筆記できる点もありがたい。見た目はシンプルながら、カラーバリエーションが豊富で、選ぶ楽しさも味わえるのが魅力だ。
『左利き用はさみ』左利き用を選ぶ理由

「線の通りに切れないのは、自分が不器用だから」そう思い込んでいた左利きの方にこそ使ってほしいのが、左利き用のはさみである。
左利き用のはさみは、左手での切断に最適化された刃の合わせにより、切り取り線が見えやすく、思い通りに切れる。紙を押し広げることなく、軽い力でスッと切れる感覚は、右手用はさみでは得られない快適さだ。

右:右利き用はさみで紙を切ると、切り取り線を刃の外側から覗き込むようになる。
左利き用のはさみのなかでも、『PAUL 大人用クラフトはさみ』は全長16cmの扱いやすいサイズ、左右対称のハンドルで手の小さな大人にフィットする。
左利き用のはさみは基本的に1色展開が多い。ところが、『PAUL 大人用クラフトはさみ』は10色展開。普段は選べない、キュートなピンクや爽やかなターコイズなどが選択肢に入ってテンションが上がる。わたしは自分好みのシックなグレーを選んでみた。
『左右両用カッター』家族で共有できるのがうれしい

カッターを使うとき、右利き仕様の刃の向きやスライダー位置に戸惑った経験がある左利きの方も多いだろう。左右どちらの手でも扱いやすい、プラスの『ORANTE(オランテ)』をおすすめしたい。
スライダーが上部にあるため、左手でも右手と同じ動作で刃の出し入れができるので、持ち替えの必要がない。さらに、刃を“折らない”構造で切れ味が長持ちし、安全性にも配慮されている。

わたしは家族で文房具を共有しているため、誰でも使いやすいという視点も大切にしている。専用品が必要な道具もあるが、利き手を問わない選択肢があると、家庭内でも道具選びの幅が広がるのがうれしい。
『左右両用定規』利き手を問わず使いやすい

“定規の目盛りが読みづらい”と感じたことがある左利きの方におすすめしたいのが、左ききの道具店オリジナル『HIDARI 15cm定規』である。上下にそれぞれ、右利き用・左利き用の目盛りがプリントされており、どちらの手でも自然な向きで線を引ける仕様だ。

左利き用の目盛り側には左手マークが印字されており、一目で見分けられる工夫もありがたい。端からすぐ始まる目盛り、クセのないフォント、目に優しい本体カラーなど、使いやすさと美しさを兼ね備えたデザインも魅力である。
シンプルながら誰にとっても使いやすい定規は、左利きの方に限らずすべての人に使ってみてほしい道具である。
自分に合った文具がくれた“ごきげん”な毎日
左利きであるわたしにとって、合わない文具を使うのは当たり前のこと。少し使いづらくても、道具に合わせることが習慣になっていたからだ。だが、左利きの動きに合わせた文具に出会ってから、スムーズに作業できることを知った。
“見たまま線が引ける”“引っかかりなく文字が書ける”“軽い力でスパッと切れる”、その体験は、思っていた以上にストレスを減らしてくれる。日々の生活で手に取る道具が自分に合っていると感じたとき、日常のささいな作業が愛おしくなるのだ。
また、左利き用の文具はたいてい1色しかなく、選べないのが普通だった。左ききの道具店で取り扱うアイテムにはカラーバリエーションがあり、見た目からも“選べる楽しさ”があるのもうれしいポイントだ。
毎日の生活に欠かせない文具。自分の特性である左利きに合い、かつお気に入りの色の文具を選ぶことで、わたしの毎日はごきげんに過ごせるようになったのだ。
左利きの日に、自分に合った文具を選ぶ楽しさを
「道具に合わせるのが当たり前」と思っていた左利きのわたしに、自分の手に合う文具との出会いは、小さな驚きと大きな快適さをもたらしてくれた。日々何気なく使う文具だからこそ、その“ちょっとの使いやすさ”が、毎日の心地よさを左右するのだ。
8月13日は左利きの日。この機会に、自分の利き手に合った道具を見直してみてほしい。