大人が“ノースリーブを着る日”の、覚悟と開き直り。

暑さが本格的になると、ノースリーブコーデという選択肢が目に入る。

風通しもよくて、着たほうが断然涼しいとわかっているけれど、いざ袖のない服を前にすると、「着ても大丈夫かな…」と手が止まる瞬間があったりもする。

小さなためらいにこそ、大人である自分の身体感覚や自意識が映し出されるのかもしれない。

この夏、ノースリーブを取り入れるためのマインドの在り方と向き合ってみた。

わたしのこと

  • 年齢:30代
  • 性別:女
  • 職業:ライター、編集者
  • ライフスタイル:
  • 誰かと同居、インドア派、リモートワーク、カジュアルファッションが好き

「出していいか迷う腕」との静かな対話

クローゼットを開けた瞬間、ノースリーブのトップスに目がとまる。でも、そこから手に取るまでには少しの覚悟がいる。鏡の前で数秒考え、引き出しの前でしばらく立ち尽くした経験はないだろうか?

なぜ、ノースリーブだけは気軽に着られないのだろう。

肌の露出、年齢のこと、ムダ毛の処理、筋肉やたるみの出方…人それぞれ気になることがあるはずで、わたしの場合はいろいろひっくるめて“すぐに着られるほど自分が整っていない”ことだった。

もちろん、気になるのは周囲の視線。でも実は、自分自身の目線=“自分が自分をどう見ているか”という自意識をなだめるほうが、ずっとハードルが高いように思う。

たとえばタンクトップならOKでも、キャミソールとなると胸元の露出が強すぎる気がする。この「肌見せ感」のグラデーションに、いつも気持ちが揺れる。

「着てしまえ!」と決めた日の理由

タンクトップを着るか迷う日がある一方で、「この日は着てみよう」と思える瞬間もある。

  • 肌見せしても大丈夫な日
    • ムダ毛の処理がOK
    • 会う相手に失礼ではない
  • 寒いところに行かない日
    • 冷房の効いた室内に長くいない
    • 長時間の乗り物移動がない

たまに当日の朝にバタバタと決めることもあるけれど、わたしがコーデを選ぶのは大体おでかけの前日まで。1日の予定を確認しながら、「誰に会う?」「外出の予定は?」「冷房の効いた場所に行く?」とひとつずつシーンを思い浮かべる。

そう考えてみると、わたしにとってノースリーブを着るかの分かれ目は、快適に着られるかどうかなのかもしれない。

洋服は、その日の心理状態を映す鏡のような存在。“自分が自分をどう見ているか”も、結局は“自分が心地よくいられるか”に紐づいている。

こんなノースリーブなら着やすいかも?大人の選び方の基準とは

撮影:織詠 夏葉

すべてのノースリーブが着にくいわけではなく、選び方ひとつで、印象も着心地もぐっと変わる。

たとえば首が詰まったデザインや、二の腕をさりげなくカバーできるカッティング。素材に落ち感があるものは、“腕を出している感”が控えめになるから、心理的ハードルが少し下がる。

わたしの場合は、ブラトップを選ぶようにしたら格段に取り入れやすくなった。下着がチラ見えしないという安心感が、予想以上に気持ちを軽くしてくれたのだ。

露出しすぎず、だらしなくならず、きちんと感を保っていられるか。大人がノースリーブを選ぶときの基準は、「上品さ」にある気がする。

着るのが気まずいときは、“誤魔化しの工夫”で乗り切る

実際にノースリーブを着てしまえば、思っていたよりも周囲が気にならないことも多い。風が通る心地よさに救われて、「もっと早く着ればよかった」なんて思うこともある。

それでも街中で視線が気になったときや、自信が持てない日には、“誤魔化しの工夫”を取り入れてみよう。

  • カーディガンを肩にかける
  • 斜めがけのバッグで視線を腕から外す
  • 髪型をアップにして印象を変える

視線を誘導してカバーする着こなし方なら、大人でも無理なくチャレンジしやすい。

この夏、大人が着こなしたいノースリーブコーデ

ここでは、ノースリ初心者の大人でも着やすいテイスト別のコーディネートをイメージしてみた。

ハンサム系

撮影:織詠 夏葉

ネイビーやブラックなど引き締め色のノースリーブに、タックパンツを合わせた装い。リボンやベルトで引き締めれば、華やぎのあるオンスタイルに格上げ。

ナチュラル系

撮影:織詠 夏葉

ボーダー柄のトップスに、デニムとカゴバッグ。ラフさの中にも清潔感があって、休日の散歩やカフェタイムにも似合う。

フェミニン系

撮影:織詠 夏葉

キャミソール型のブラトップに、軽い羽織とフレアスカート。仕上げにパールアクセサリーを添えれば、大人の余裕とやさしさが引き立つスタイル。

覚悟はいったん着てしまえば、もういらない

撮影:織詠 夏葉

鏡の前で迷ったあの時間も、いったん着てしまえば、意外とあっけなく脱ぎ捨てられる。

「似合うかどうか」よりも、「着たいかどうか」。少し考え方を変えてみるだけで、ファッションの選択肢はもっと自由になる。

ノースリーブが似合うための努力や準備もいいけれど、まずは「そのままの自分でもいい」と思える日を積み重ねてみたい。今年の夏は、開き直ってたくさんノースリーブを着るぞ!

織詠 夏葉

おりえ なつは。暮らしのメディア、おでかけメディアにてライターを務める。約3年間エディターやコンテンツディレクターとして稼働し、個人でも執筆活動を開始。映画や音楽、ファッション、雑貨、香水、推し活などに広く浅く興味津々。