秋といえば“読書の秋”。ひとり静かにページをめくる時間は、心を整えてくれる贅沢なひとときである。わたしは電子書籍も使うが、紙の本を手にとるときには“文具”の存在が欠かせない。
お気に入りの本と文具を組み合わせれば、読書はより便利に、そして彩り豊かな時間へと変わる。本記事では、そんな読書の秋に寄り添う文具を紹介していきたい。

わたしのこと
- 年齢:30代
- 性別:女
- 職業:ライター
- ライフスタイル:誰かと同居、インドア派、リモートワーク、朝型、自炊派
- 好きな作家:伊坂幸太郎
読書を快適にする文具の魅力
秋は“〇〇の秋”と表現されることが多い。スポーツの秋、芸術の秋、食欲の秋。そのなかで、わたしが特に心ひかれるのは“読書の秋”である。
本を開くときの静けさや紙の手触りは、電子書籍では得られない体験だ。もちろん電子書籍の便利さも理解しているし、わたし自身も状況によって使い分けている。しかし、紙の本だからこそ楽しめるのが“文具との組み合わせ”である。
わたしにとって本と文具は、切っては切れない関係。文具は、便利さと見た目の華やかさを増やしてくれるからだ。
例えばブックカバーを掛ければ、本の汚れを防ぎつつ新鮮な姿になる。お気に入りのしおりを使えば、目に入るたび読書の意欲が湧いてくる。文具ひとつで、本との向き合い方は変わってくるのだ。
読書に役立つおすすめ文具5つ

本を読むとき、「表紙が汚れたり傷ついたりしてしまう」「ページが閉じてしまう」「書き込みがしにくい」といった、小さな不満を感じたことはないだろうか。文具の力を使えば、不満を解消し、より良い読書体験ができる。ここからは、わたしが実際に使ってよかった読書にまつわる文具を紹介したい。
1. どんな本にもフィットするブックカバー『マイティジャケット』

まず紹介したいのは、本を守りつつ彩りを添えてくれるブックカバーである。お気に入りの本を持ち歩きたいと思っても、サイズが合わずにカバーを掛けられないことがある。そんなときに頼りになるのが、アーティミスの『マイティジャケット』だ。
『マイティジャケット』は、文庫からA5版までサイズを自在に調整できるブックカバー。折って調整できるため、ハヤカワ文庫など特殊なサイズにも対応可能だ。

素材は紙のように見えるが、実はタイベック®というポリエチレン不織布で作られており、水や汚れに強く丈夫なのだ。
わたしは文具イベントでサンプル品を手にしたが、引っ張っても破れず、水をかけても弾いていたのが印象的だった。大切な本を安心して包み込んでくれるのだ。
さらに魅力なのは、豊富なデザインである。市販品だけでも28柄あり、季節や気分に合わせて選べる。受注生産やイベント限定の柄も展開されているので、自分にぴったりの1枚を探してみてほしい。
読書を習慣にするなら、ブックカバーも“装い”のひとつとして取り入れてみてはいかがだろうか。
2. 本をしっかり開く『ウカンムリクリップ』

読書をしているとき、心ひかれた言葉をノートにメモしたいときはないだろうか。しかし、開きぐせの付いていない本は、メモを取るとき閉じてしまうもの。そんなときに、サンスター文具の『ウカンムリクリップ』は助けてくれる。
漢字の部首“うかんむり”を思わせるアーチ状のクリップがポイント。見たいページをしっかり留めつつ、真ん中を避けてページを押さえるので、本の内容を隠さず読めるのだ。また、本の中央部分を避けて留めるので、厚めな背表紙の本にも使える。

『ウカンムリクリップ』のおかげで両手が自由になるため、ペンを持ってメモを取る、スマートフォンで調べながら読むなどの動作がスムーズになるのだ。
本体は約W120×H76×D40mm、重さは約49gと軽量で、バッグに入れてもかさばらず携帯しやすい。もっと小さなサイズのクリップが欲しい方は、ミニサイズの『ウカンムリクリップぷち』もある。
カラーバリエーションやキャラクターコラボが豊富で、好みのものを選べるのもうれしい。
わたしの場合、手帳を開きっぱなしにしたいときにも重宝している。手で押さえなくても本や手帳が読めるのは快適。1回使うと手放せないアイテムである。
3. 姿勢を整えてくれる『ケンコー書見台』

長時間本を読んでいると、つい前のめりになって猫背になりがちだ。そんなときに役立つのが、本を立てかけてくれる“書見台”である。わたしは数ある商品のなかでも、レイメイ藤井の『ケンコー書見台』を愛用している。
角度調整パーツを使えば、本の角度を約30〜70度の間で調整可能。特に赤い印に合わせると、正しい姿勢の目安とされる45度に固定できる。姿勢が崩れにくくなり、首や肩の負担を軽くしてくれるのがありがたい。

本体は折りたためば薄くコンパクトになり、収納場所を取らないのも魅力。重い本を立てると倒れる場合があるため注意は必要だが、文庫や単行本なら安定感は十分だ。
昭和36年の発売以来、50年以上製造・販売が続いているロングセラー。どこか懐かしいレトロな見た目も気に入っている。
紙の本だけでなく、タブレットスタンドとしても使えるため、電子書籍派にとっても便利。わたしの場合、パソコン作業中に資料を開いておきたいときにも欠かせないアイテムだ。
4. ページを邪魔しない『ココフセンミニ』

気になるページをマークするのにふせんは便利だが、文字にかぶってしまうこともある。カンミ堂の『ココフセンミニ』なら絶妙なサイズ感でページに印をつけられるのだ。
高さ24×幅7mmというサイズがポイント。文庫本に貼ったとき、文字を隠さない高さかつ、幅が1行あたりのサイズに近いので、読書の邪魔にならない。

ふせん本体はケースに収められており、ふせんを引っ張ると、ティッシュのように1枚ずつ出てくるので、「ふせんが余分に取れてしまった!」というストレスがないのも良いところ。
ふせんは小さいので、意外となくしやすいもの。『ココフセンミニ』のケースの場合、再はくり可能な粘着シールが付いている。ケースごとノートやブックカバーに貼り付けておけば、ふせんをなくすことなく、すぐに取り出して使えるのだ。

また、落ち着いたカラーバリエーションも個人的には好み。目を引きすぎないやさしい色合いが、必要以上に読書の内容に割り込んでこないところが良い。
『ココフセンミニ』は、控えめで読書の邪魔をしないのに、さりげなくマークしてくれるふせんだ。
5. 読書体験に遊び心を『未確認飛行栞』

読書途中のマストアイテムと言えば“しおり”。本に付属していることもあるが、あえてお気に入りのしおりを使うことで、読書時間がより特別なものに変わる。そこでおすすめしたいのが、見た人が思わず声をかけたくなる、サンスター文具の『未確認飛行栞』である。

最大の特徴は、ページに挟むとUFOが浮かび上がるユニークな見た目。まるで「UFOが本から飛び出してきた!」かのような、遊び心満載のデザインに心がくすぐられる。

しおりを挟んだ一文が、“キャトル・ミューティレーション”※されたように見える仕掛けも面白い。挟んだ箇所がUFOの光でマークアップされ、どのページまで読んだか一目でわかるため、実用的な面もある。
※1970年代のアメリカで起きた、牛など家畜が未知の何者かに切断される事件のこと。不可解な現場の様子から、UFOや宇宙人によるものと話題になった。
難しい本を読むときこそ、こんな遊び心のあるアイテムを差し込んでみてはどうだろうか。ページを開いた瞬間にちょっとクスッとしてしまい、読書時間がより楽しくなること請け合いだ。わたしも読書が少しおっくうになったとき、このしおりに助けられている。
番外編. リアルな『岩波文庫 ミニノート』に読書感想をつづって

今回、この記事の写真撮影に使ったのが、ヘミングスの『岩波文庫 ミニノート』である。その名の通り、岩波書店が発行する文庫本レーベル、岩波文庫をリアルに再現したノートだ。
岩波文庫を印刷している国内の印刷所が、文庫本と同じ紙、同じ印刷技法、同じ製本・梱包で作っているため、本物と見間違えるほどのクオリティに仕上がっている。

ぱっと見は本物の岩波文庫のようだが、よく見るとタイトルや作者名が英語表記になっており、さりげなくおしゃれ。また、作品ごとに異なる表紙カラーも美しく、全種類集めたくなる。
中身は48ページの無地の薄いノートなので、気軽に読書メモやアイデアノートとして使うのもいいだろう。
わたし自身は、あまりにもリアルな見た目に「もったいなくて使えない…」と、結局コレクションとして大切に保管している。
本物と本棚に並べても違和感がなく、素敵なインテリアになる。本と文具の境界線をなくしてくれるような、ユニークなアイテムだ。
文具で広がる読書の秋
お気に入りの本を開くとき、選んだ文具が物語の世界をより豊かにしてくれる。ページを開いたままにしてくれるクリップ、猫背を防ぐ書見台、遊び心あふれるしおり。小さな道具が、読書時間をもっと楽しく快適に変えてくれるのだ。
文具はただの補助アイテムではない。服にアクセサリーを合わせるように本に文具を合わせれば、見た目も華やかになり、読書のモチベーションを上げてくれる。
今夜の相棒はどの文具にしよう。そんな読書の楽しみ方も、この秋始めてみてはいかがだろうか。





