10年日記を書き終えて。37歳~46歳の記録

2016年から書き始めた10年日記が、この年末で満期を迎える。年齢でいうと、37歳から46歳の10年間の記録だ。

せっかくなのでこの機会に、10年日記を読み返しつつ、私の10年を振り返ってみようと思う

人生を振り返る

37歳〜46歳の10年間は、大きな出来事がほとんどなかったと記憶している。仕事もライフスタイルも、ほぼ変化していないのだ。これは、私の人生のなかではかなり珍しいことだといえる。

たとえば、もっと遡って自分の人生を振り返ってみると…

7歳〜16歳は、影のある10年

小学校・中学校・高校とライフステージが勝手に変わるし、子どもからティーンエイジャーに移行する期間でもあるので、肉体的にも精神的にも大きく変化した10年だったと思う。思春期特有の(今考えると大したことのない)悩みに苛まれたり、生きることや人生について延々と考えたりしていた。

体感的には「苦悩8:よろこび2」くらいの割合で、「陰」とか「影」という言葉がぴったりくるのだけど、でも、ここで陰や影を経験してよかったと思っている。思春期らしさあふれる、いい10年間だった。

17歳~26歳は、光り輝く10年

一般的には進学や就職など、大きな転機を迎える人も多い期間だが、私はそのどちらも経験せず、ただただ好きなことに明け暮れていた。とにかく毎日が楽しくて、イキイキしていた10年間だったと思う。お金も時間もなくて大変だったけど、この期間の自分の選択を、いちどたりとも後悔したことはない。

言葉で表すなら「明」とか「輝」とかがぴったり。悩みや苦難さえも楽しいと感じる、そんな10年だったと思う。

27歳~36歳は、発展の10年

大病を患う・結婚・離婚・フリーライターになるなど、起こった出来事を羅列するだけでもバタバタしているのがわかる。たしかに楽しいことばかりではなかったけれど、かといって辛いとか苦しいといった感情でもない。頑張って成しえた、闘って勝ち取った、と感じる出来事も多く、重厚な期間だったと思っている。

「展」、もしくは「激」も合うかもしれない。人生で一番踏ん張った10年だった

37歳~46歳は、凪の10年

先にも述べたけれど、この10年は本当に変化がない。特別な幸福も困難もない、良くも悪くも安定した毎日が続いていたんだと思う。

まさに「凪」。静かで穏やかな10年だった。

10年を振り返ってわかった3つの発見

だから、10年にわたって日記を書いてきたものの、じつはトピックがあまりない。読み返すと、平凡で平坦な毎日が綴られている。そんななかでの発見が、この3つだ。

暇なとき、ヤル気がないときほど日記を書かない

10年日記を書いてきた。といっても、10年間1日も休まず書いたわけじゃない。

10年日記のアプリを見ると、日記の総数は1921となっている。この10年を日数に直すと3650日らしいので、半分より少し多いくらいの日数になる。残りの1729日は日記を書いていないのだけど、思い起こすと、暇でダラダラしていたり、とんでもなくヤル気を失っていたりする期間ほど、日記を書いていないようなのだ。

2017年~2024年に書いた日記数の一覧。2018・2019年は断トツで少ない。

例えば、2018年は日記を28日しか書いていないし2019年は50日しか書いていない。10年間の中でも圧倒的に少ないのだが、たしかにこの2年間はモヤモヤすることが多く、投げやりな気持ちが強かったような気がする。

また、2021年は173日、2022年は98日とこの2年も少なめだが、やっぱりこの期間もヤル気を失ってダラダラ過ごしていたことを覚えている。

これってきっと、暇すぎて(ヤル気がなさすぎて)、日記に何を書こうか、今日何が心に残ったかを考えることも面倒になっているってことなんじゃないのかなと思う。とても怖いことだ。

負の感情を昇華している

あー、もう許せない!怒りで手が震える。言いようがないほど腹が立つ(2023年10月23日)

あまりに腹が立つので動物園に行く。自然の中で動物を見ていたら少しだけ気持ちが落ち着いた(2023年10月24日)

これは、2023年10月23日と24日の日記の一文だ。とにかく激怒している。翌日動物園に行ってしまうほどだから相当だ。もちろん怒りの原因が何かも書いてあるし、私自身もよく覚えている。

この日に起きたことは、たしかにイラっとする出来事ではあったと思う。でも、そこまで怒るようなことじゃない気がするのだ、今となっては。「いやいや、いくらなんでも怒りすぎだよ」と、この日記を読み返して苦笑いしてしまった。

私の10年日記には、怒り・悲しみ・辛さなど、マイナスな感情もたくさん書かれているのだけれど、そのどれもが、今となっては「そんな大げさな…」と思えている。当時はめちゃくちゃ怒っていたり、めちゃくちゃ悲しかったり辛かったりしたんだろうけど、振り返ると大したことはなくなっている。

これって、負の感情を抱えるような事態を、比較的健やかに昇華できているってことなのだと思う。だからもし、今後私の人生に不測の事態が起きたとしても、きっと大丈夫だ! そう信じられる発見だった。

時を経ないとわからないことがある

日記を10年書くと、「あの日はダメだと思ったけれど、後日状況が変わってダメじゃなくなった」みたいなことが人生にはちょくちょく起きているんだな、ということがよくわかる。たとえば…

〇〇の仕事、もう2か月依頼がないから終了かも(2016年11月29日)

2016年にはこう書いているけれど、とてもありがたいことに、2025年の現在も継続して仕事をもらっている。

今年は8年ぶりくらいに、「ライター募集」に応募してみた。まったく何のつながりもない場所で仕事をしたいと思って2媒体にポートフォリオを送ってみた。結果的にどちらもうまくいかなかったのは残念だけど、でも、行動したのは偉かった!(2023年12月31日)

これ、もう少し詳しく説明すると、1媒体は音沙汰なし、1媒体はいちど仕事をもらったもののその後の依頼がなかったという経緯があって、「結果的にどちらもうまくいかなかった」と書いているのだけど、後者の媒体には2024年以降コンスタントに依頼をいただけるようになり、今も定期的に仕事をもらっている。

別に仕事に限らず、短いスパンではダメに思えたことも、長い目で見ると全然ダメじゃなかったってこと、けっこうあるのだ。

このことに気づいてからは、ダメなことが起きたとしても、「今はダメっぽいけど今後どうなるかわからないぞ!」という気持ちでいたらいいのだと思えるようになり、心が軽くなった。

次の10年はどうしたいか

振り返ってみると、凪で安定した10年のなかにも、それなりに紆余曲折があって、味わい深い年月だったのだなぁと思う。

でも、やっぱり凪では物足りないし、安定にあぐらをかいていては痛い目を見る。

「暇なときやヤル気がないときほど日記を書かない」と書いたけれど、2025年12月19日現在は291日、日記を書いている。いい傾向なんじゃないだろうか。

2026年からの10年はどうなるか。少なくとも、凪からは脱しようと思っている。

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執筆:荒井貴彦さん
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イトウ ウミ

昭和生まれのフリーライター。美容系メディアを中心に取材・執筆しています。今後はエッセイをたくさん書きたい!