登山用ベビーキャリアで、赤ちゃんとハイキング

0歳の息子は、まだ歩くことができない。だから、連れていける場所は自ずと限られてくる。ベビーカーや抱っこ紐で安全に歩ける場所。もちろん、山でハイキングなんてできるわけがない。

そう思っていたとき、“登山用ベビーキャリア”に出会った。週末になれば、息子を背負って山道を歩く。そんな、ワクワクする日々が始まった。

わたしのこと

  • 年齢:30代
  • 性別:女
  • 職業:PRプランナー
  • ライフスタイル:一児の母、インドア派時々アウトドア派、朝型

赤ちゃんと、ハイキングがしたい

夫は、山が好きだ。と言っても、自分が登るわけではない。山について書かれた本を読んだり、登山YouTuberのコンテンツを見たりしている。

前に一度「夫婦で登山に挑戦しよう」という話になったことはある。登山グッズを一通り揃え、低山に何度か登った。

残念なことに、たった数回の登山で熱は冷めてしまった。それ以来、山は“見る専”だった。

ところが、子どもが生まれてから、なぜか夫の登山熱が再燃した。

「これが欲しいんだけど」と送られてきたURLを開くと、そこにあったのは“登山用ベビーキャリア”の文字。ベビーキャリアには赤ちゃんが座れるようになっていて、背負えば赤ちゃんと一緒に登山ができるらしい。

価格とともに、いくつかのブランドの商品ページが次々に送られてくる。どれも数万円はするもので、決して安くはない。

「そもそも普段から登山をしてるわけじゃないのに、急に赤ちゃんを連れていくの? 危なくない?」とは言ってみたものの、すでに心がときめいている自分に気付く。

自然の中で子育てがしたい、という願いは夫婦で共通している。歩けるようになる前から息子を山に連れていく手段があるのなら、試してみてもいいかもしれない。

モンベルのベビーキャリア

夫が送ってきたベビーキャリアの候補を、順番に見ていく。ほとんどが、名前を知らない海外のブランドだった。値段も、安いものから高いものまで幅広い。

私たち夫婦は飽きっぽいので、高いものを買ってしまうと使わなくなったときのダメージが大きい。そのため、5万円を超える商品は候補から除外した。

まずは、5万円以下のベビーキャリアを試着してみることに。ところが、海外ブランドの商品は、置いている店舗がなかなか見つからない。

候補の一つであるモンベルのベビーキャリアなら、近隣に店舗があり、値段も約3万円と最も手頃だ。

そこで、まずはモンベルの店舗に向かった。

在庫があったので、その場で息子を乗せ、夫が背負ってみた。息子は、いつもより目線が高くなり楽しそうだ。小柄な赤ちゃんだけれど落ちる心配はなさそうで、すっぽりと収まっている。特にこの商品を選ばない理由もなかったので、モンベルで購入することに決めた。

対応してくださった店員さんは、子どもの頃、このベビーキャリアに乗って父親と何度も登山をしたそうだ。そんな忘れられない思い出を、これから息子にも作ってあげたい。

鎌倉でハイキング

ベビーキャリアを背負って、まずどこに行くか。目的地探しは難航した。

そもそも登山に慣れているわけではないので、最初はあまり難しくないルートを歩きたい。

そして、“クマ問題”。今年の秋は、クマ出没のニュースが世間を賑わせた。赤ちゃんもいることだし、クマに遭遇する危険がない場所が望ましい。

調べていくと、鎌倉にいくつかのハイキングコースがあることがわかった。これまでにクマは目撃されていない。鎌倉に山道のイメージはなかったが、写真で見る限り、木が生い茂って歩きがいのありそうなコースだ。

鎌倉観光公式ガイドでは、3つのハイキングコースが紹介されている。まずは、約3キロと一番短い、葛原岡・大仏ハイキングコースに挑戦することにした。

ベビーキャリアを背負うのは夫の役目。私は、息子の様子を確認しながら夫の後ろを歩く。大きな収納ポケットに荷物も詰め込んでいるため、肩には相当な負荷がかかっているに違いない。

リスがちょろちょろと走り回る葛原岡・大仏ハイキングコースは、急な傾斜も多く、“ハイキング”という言葉が持つのんびりとしたイメージとは裏腹にスリルのあるルートだった。普通の抱っこ紐では、赤ちゃんを連れて行くことは不可能だろう。

コースの途中に位置する源氏山公園でベビーキャリアを下ろし、中に入れていた崎陽軒のお弁当を食べた。スタンドがあって自立するため、息子を座らせたまま大人が食事をとれるのは便利だ。

葉っぱに手を伸ばしたり、階段を降りるときの振動に笑い声をあげたり。息子は初めてのハイキングを夫の背中で存分に楽しみ、はしゃぎすぎたのか、気づいたら眠っていた。「もうすぐゴールだよ。景色見ないの?」なんて話しかけてみるものの、起きる気配はない。

鳥のさえずりや、頬を撫でる風が、きっと心地よかったんだろう。彼をここに連れてくることができてよかった、と思いながら、ぐっすり眠る息子の後ろを歩いた。

おわりに

赤ちゃんを連れてのハイキングは、ベビーキャリアがなければ叶わなかった。

目にした景色を、息子はきっと忘れてしまうのだろうけど、私はずっと覚えていたい。家族の大切な思い出として。

ベビーキャリアに息子を乗せて、そんな思い出をこれからも積み重ねていければと思う。

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東樹詩織

食や旅の領域でPR・ブランディングに携わる傍ら、執筆活動を行う。アートと本にのめり込み、「as human footprints」名義でZINE出版を開始。写真と動画の撮影・編集も。最近の関心事は、アジア各国のカルチャー、映画、海外文学、批評、3DCG、AI。キャンプ好きが高じて、東京↔︎信州・上田で2拠点生活中。