人と違う視点で人生を切り拓く。5歳さんの今とこれから【感性と偏愛の交わるところ #2】

株式会社しかくいまる代表・当メディア「Sense of…」編集長の伏見が、ゲストの感性と偏愛にフォーカスする連載企画「感性と偏愛の交わるところ」。第2回のゲストは、鍼灸師やライター、広告制作業を経て、今は麻婆豆腐職人として活躍中の人気インフルエンサー・5歳さんです。

出会ったのは10年前。古き良き時代のTwitterを介して仲良くなったというふたりが、自身の感性を軸に、人生で学んだこと、今大切にしていること、そしてこれからどう生きていきたいのかを、赤裸々に語ります。

5歳(菅野康太)

株式会社マーボードウフ代表

バックパッカー、鍼灸師、ライター、広告業を経て、趣味が高じて麻婆豆腐職人の道へ。2023年に株式会社マーボードウフを創業し、キッチンカーによるイベント出店やケータリング事業を展開。現在は「株式会社マーボードウフ 新橋店」にてランチ営業を行っている

HP :https://mabotofu.jp/
X:meer_kato

伏見 香代子

Sense of…編集長/株式会社しかくいまる代表取締役

WEB黎明期と言われる2000 年頃から食品、飲料、ペット、美容などのライフスタイル領域を中心にWEBマーケティングに従事。大手クライア ント企業のブランドサイト、キャンペーンプロモーション、オウンドメディアなどの企画、編集、制作ディレクションを担当し、多くのコンテンツ開発、戦略プランニングを手掛けてきた。そのほか、美容大型イベントやオフ会、ユーザー向けセミナーなどのイベ ント企画・運営の実績多数。ユーザー視点のコミュニケーションプランニングを得意とする。集英社「MAQUIA ONLINE 」編集部、インフォバーン、TABI LABO 、Legoliss を経て、2020 年「合同会社しかくいまる」設立。2024年1月、株式会社化。

自分はラッキーボーイ。人生全部がうまくいっていた。でも…

伏見 「Sense of…」っていうメディアは、“感性”や“偏愛”を大事にしているのね。きょうは5歳さんとそういう話をしたいなと思ってる!

5歳 感性と偏愛、いいテーマですね。僕にぴったりじゃないですか

伏見 そうでしょ! 5歳さんはかなり感性の人だなって思ってる

5歳 そうですね。基本的に、好きなことしかできないタイプなのかも。実際今やっていることも、計画して進めたわけじゃなくて、麻婆豆腐を作っていたらこうなっていた、という感覚に近いし

伏見 Twitterやってたらライターになってしまった、と同じなんだ。延長線なわけね

5歳 これ嫌味とかじゃないんですけど、何かをやると結果的に目立つことが多いんですよね。ありがたいことに

伏見 でもそれってすごいことじゃない? なんでそうなれるの?

5歳 小さい頃から、人と違うことを選んできたっていうのはあるかもしれないですね。

今でもよく思い出すんだけど、小学校で写生会とかあるじゃないですか。みんな校庭に行って、ブランコ描いたり、ニワトリ小屋で動物描いたりしてるんだけど、僕はトイレの窓から見える景色をずっと描いていたんですよね。みんなが見てる景色じゃなくて、なんか違う、トイレからの景色だっていいじゃんって。その絵で金賞取ったりして。そういう性分なのかもしれないですね

伏見 こうやってたらこうなったっていうのは、私も本当にそう。ただ歳を重ねて、好きなことや得意なことがわかってきたからこなせるようになったっていうのもあるよね

5歳 そうですね。得意なことや向いてることももちろん大事だけど、続けられるかどうかも同じくらい大事だなと思うようになりましたけどね

伏見 それが、好きってことなんじゃない?

5歳 たしかに。基本は楽しいんですよ、麻婆作るの。楽しいんだけど、麻婆豆腐を3年も作ってると、やっぱり辛くなることもあるんですよ。イベントで、ひとりで何百食も作んなくちゃいけなくて、もう麻婆地獄じゃんって思うこともあったし。

でも続けていくと、耐えたその先に待ってるものもあるんですよね。地獄の果てに見える景色があるなって思いました

伏見 いったいどんな地獄を見たの?

5歳 今までは結構うまくいってたんですよね、人生全部が。でも麻婆は苦戦しました。今でこそ、応援してくれてる人たちに恩返しできそうだなっていう未来もようやく見えてきたんですけど、正直最初の1年半くらいは、お金がまったくなくなっちゃったり、起業(麻婆豆腐)と離婚が重なったりして、本当に大変だった。うまい麻婆作ってる自負もあったし自信もあったんですけど、なかなか軌道に乗らない感じがあって…。

僕はずっと人にも運にも恵まれてきたって思ってるんだけど、麻婆に関しては、出店予定だったイベントに台風が直撃するとか、自分の力ではどうにもならないことがたくさん起きたんです。

そのなかで感じたのが、人生って本当に小さな差で明暗が分かれるんだなということ。みんな頑張ってるし一生懸命努力もしてるんだけど、ちょっとの差で、泣く人・笑う人が出てきちゃう。だからこそ、それを乗り越えて挫けず続けることが大事なんだなと思いました。2~3ヶ月で諦めず、3年とか10年とか、でかい単位で考えた方がいいんだなって

人と比べず、ワクワクする方を選ぶ。それが人生を楽しむ秘訣

伏見 なんか私、その人の感性が色濃く出るのって、人生の選択肢が現れたときなんじゃないかなって思ってるのね。小さいことで言えば買い物とかもそうだし、就職・転職・結婚・離婚とかもそう

5歳 女性の場合は、出産とか子育てとか選択肢がたくさんあるから、とくに大変かもしれないですよね。取った選択肢に縛られることもあるし、取らなかった選択肢のほうが合っていたのかも…って考えてしまうこともあるだろうし

伏見 そっか。そういう選択肢って、感性関係なく現れちゃうこともあるよね

5歳 社会のノイズも多いから、気にし出すと疲れちゃいますよね。僕は自分の好きな人生を生きてるつもりだからノイズとかはあんまり気にならないけど

伏見 自分の好きな人生を生きるっていうのも意外と大変じゃない? 自由なだけじゃないというか、自由という名の不自由…みたいな

5歳 やっぱり「人と比べない」って大事なんじゃないですかね。足るを知るっていうか。もう最近毎晩『PERFECT DAYS』観てますよ。BGM代わりみたいに

伏見 あ~、浅草の地下街で飲むのを楽しみに暮らす感じね

5歳 そうそう。大切なのは「小さな幸せ」なんだなと思います

伏見 じゃあ今は小さな幸せを望んでるってこと?

5歳 今はこの麻婆豆腐を絶対うまくいかせるぞってテンションでやってるけど、心のどこかでは、静かに森で生活したいなっていう思いはありますよ。そっちの方が自分っぽいっていうか、本来はそっち側の人間って感じがする。

最近よく、自分の人生のなかで何がおもしろかったかなって考えるんだけど、やっぱり子育てと旅なんですよね。その時間って本当にかけがえがなくて、できるならもう一度やりたい。

ただ、子育ても旅も今やってることも、根本的には自分がワクワクすることだから、本質的な部分は変わらないのかなとも思いますけどね。麻婆で大きなイベントに出店するときはやっぱりワクワクするし、台風が近づいてるときも、どうなっちゃうんだよ!ってドキドキするし

伏見 大変でも、楽しむ気持ちが大切ってこと?

5歳 「やばいやばい」って言ってるのが楽しいのかもしれないですね。アドレナリンが出るっていうか

伏見 ヒリついてる瞬間が楽しい、みたいなことはあるよね

5歳 そうそう。アドレナリンでしか得られない刺激もありますよね。ただ、さっき言った森の生活っていうのは、オキシトシン的な幸せだと思うんです。僕はどっちも体験してるけど、たどり着きたいのはオキシトシン的な生活かなぁ。最終的には、心の平安みたいなものに寄っていくんじゃないかなと思います

何をおもしろがるか。何に気を留めるか。感性ってそこにあらわれる

5歳 僕、自分はどこから来て、どうやって生きて、そしてどこに行くのかみたいなことをよく考えるんですよ。そういう哲学的なことを考える時間って楽しくないですか?

伏見 文章書く人って哲学的に生きる傾向があるかもしれないね

5歳 「自分のなかの答えはこれだ」っていうのを読者に提示するのが文章を書くことだと思うんですよね。とくにエッセイやコラムの場合は。僕もコラムをたくさん書いていたころは、毎回自分なりの答えを出そうと思って書いてました

伏見 私の仕事はマーケティング寄りなんだけど、仮説を立てて立証していくっていうことをよくやっていて、それもある意味では哲学的かもしれないな

5歳 普段の生活のなかで、自分がよりよく生きるにはどうしたらいいかって考えるのって楽しいし、それがタダでできるってすごくないですか? 哲学タダなんだって思いますもん

伏見 考えたことをアウトプットするの?

5歳 今もそうですけど、人に話すのは大事ですよね。パスカルが弟子と歩きながら答えを見つけてた、みたいな話があるじゃないですか。哲学者って、対話のなかで答えを見つけてたわけで。そういう意味では僕、『瞬間日記』っていうアプリで、毎日感じたことをひとこと日記みたいな形で書いてるんです。たまに読み返すとおもしろいんですよね

5歳さんが書いている『瞬間日記』の中身。「発想は人格」から「下品にならない下ネタの言い方」まで、5歳さんの頭の中がたっぷり詰まっていました

伏見 へ~、おもしろい! そのとき思いついたことをパッとメモしてる感じ?

5歳 そう。人って1日に3万個の決断をしてるって言われてるんですよ。決断もそうだし、思考や思いつきみたいなものも無限にしてるから、おもしろいことって絶対思いついてるんだけど、覚えてられないんです。だから、こうやって書いておこうと思って。そうじゃないと、おもしろい思いつきを見逃しちゃうから

伏見 私も脳内多動なタイプだから、考えてることはたくさんあるのはわかってるんだけど、どんどん流れていっちゃうんだよね。これ私もやってみようかな

5歳 めちゃくちゃおすすめですよ。まわりにもすすめてるんだけど、あんまり誰もやってくれなくて。だから、こういうのを飽きずに続けられるっていうのが僕らしさなのかもしれないです

伏見 「メキシコのシコの部分」とか「元アルペンかよ」とかもある(笑)

5歳 あ~、それはドライブ中に元アルペンの建物(居抜き物件)を見てメモったんだ。なんかそういうの目についちゃうんですよね。僕は「元アルペン」が気になる人生なんですよ

伏見 それ、それだよ。それが感性だし、偏愛なんじゃないかな

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イトウ ウミ

昭和生まれのフリーライター。美容系メディアを中心に取材・執筆しています。今後はエッセイをたくさん書きたい!