どれもこれも、イヤになるほど、わたしらしい【今週の選択肢 #10】

「心が動く瞬間」という、わかるようなわからないことを切り取って言語化したい。

そんなことから心が動いた瞬間、とくに「選ぶ」ということに着目した連載をしております。

編集長自らの一週間のなかから“選んだ”ことをまとめた「今週の選択肢」。
第10回をお届けします!

めずらしく活動的な朝(1月30日10時33分)

わたしは、ものすごく、ものすごーく朝が弱い。
どのくらい苦手かというと、眠る前から朝起き上がる瞬間を思って憂鬱になるほど。

物心ついた頃から寝起きは悪かったし、そもそも「毎朝決まった時間に起きる」という行動を強いられることが苦しい毎日同じ手順で仕度をすることもままならないので、学生時代・会社員時代は苦労したものだ。早朝ロケやイベント時の緊張感が忘れられない…。

そんなわたしも年に数日、奇跡的に目覚めのよい朝がある

この日はオットが出張中で、目覚めると同時に愛犬・ドレの散歩に行かなければ!とスイッチが切り替わったのも大きかった。

寒い中散歩に行くのだから、とご褒美気分でお風呂の給湯スイッチ「自動」を押してから出かけた

ひんやりした空気のなか首をすぼめながら歩いていたはずが、ドレの早歩きに付き合ううちに体がぽかぽかしてくる。寒い寒いと文句を言いながら家に戻るつもりだったのに、少し調子が狂う。

帰宅してお風呂が沸いているのを確認すると、キッチンに戻ってメローゴールドの皮を剥いた。分厚い皮に包丁で十字に切れ込みを入れて、ひと房ずつ袋をひらいて、実をはがす。

まるまるひと玉分のメローゴールドをガラス容器に盛ったら、そのまま器ごと冷凍庫に入れた。

さて、人間は朝風呂へ。

お風呂上りにビタミンが染み入りますわー

朝は大の苦手だけど、朝風呂は大好き。贅沢気分が気軽に味わえる気がしてときどき嗜む。

ゆっくり朝風呂を堪能したら、キンキンに冷えたメローゴールドにどっさりヨーグルトを盛る。ヨーグルトが無糖の分、はちみつをたっぷりかける。

後輩男子からお父上の自家製はちみつを分けてもらった。いい感じのクセを感じる古き良きはちみつ。なくなってしまうのが惜しくて、大事に少しずついただいている。

味わい深いラベルでしょ?

打合せのない平日の午前中を満喫できた。くるしゅうない、余は満足じゃ。

246で待ち合わせ(1月31日17時44分)

随分と久しぶりに池尻大橋駅に降り立った。

コロナ以降でははじめてかな?その昔、勤めていた会社のオフィスがあって、しばらく通っていたというのに、それももうだいぶ前のこと。

懐かしんで商店街と以前のオフィスの近くをぐるりとしてみたけど、小さな街だものね、すぐに回れてしまった。

「246を渡ってあちら側にも行ってみようかな?ちょっと手持ち無沙汰だな…早く来ないかな…」なんて独り言ちていると、LINEの通知が彼女の到着を知らせる。

しょっちゅう飲んでいる古くからの友人だけど、普段は横浜界隈で会うことが多く、都内での待ち合わせは久しぶり。横浜のあっちとそっちのわたしたちは、この日彼女の勤務先の近くの池尻大橋で待ち合わせることにしたのだった。

最近の渋谷はちょっとうるさくて、時間に余裕があるわたしが彼女のオフィス近くに寄って行った。池尻はわたしも知らない街じゃないし、なんだか少しノスタルジックな気持ちになるじゃない?

同僚たちとたまに行くというお店に連れて行ってもらい、何ひとつ気を遣わない宴のはじまり

日々いろいろんなことを選び続けていて、疲れていたかもしれない。気心知れてる友人に判断を委ねて過ごす夜はなんだかとても心地がよかった。

買ってしまったホウジチャ(2月1日13時17分)

「失敗した…」朝から何度もそんなことを思って、小さく自分を責めていた

たいした出来事ではないの、本当に。ちょっとスケジュールをうまく組めなかっただけ。自分の勘違いで少し無駄な時間をつくってしまっただけ。誰ひとりとして迷惑もかけていない。

日常的にもっと無駄なことしてるくせにさ、こんなときには必要以上に落ち込むんだよな。
…なんて思いながら、駅前のスタバのテラス席でオンラインミーティングの準備をしていたら、政治家さんの街頭演説がはじまった。なんとも間が悪い。

アツアツのホウジチャ、カッチャッタよ?

モバイルオーダー愛用中。登録名もしっかり「kayokonboo」に変えている

想像以上の大音量だったので、買ってしまったほうじ茶を手に移動することに。時間的に間に合いそうだったので、電車で移動してふた駅先のコワーキングスペースに駆け込む。

けっきょく、また無駄に移動しちゃったなー
きょうは本当に予定の組み方が下手くそだったなー

心の反対側では「無駄を愛して、自分のことも愛してあげようね?」と思う自分もいるのに、自分を責めることがやめられない、そんな自分もいる。

どれもこれも、わたしだ。

伏見 香代子

「Sense of…」編集長/聞き手クリエイション責任者/1979年、東京都生まれ。文学少女からコギャルを経て、広義の編集者に。WEBコンテンツ&クリエイティブ、マーケティングに関わることそろそろ四半世紀。好きな映画は「カラー・オブ・ハート」って答えることにしている。感性至上主義。