香水を選ぶ理由は人それぞれ。
スタンダードな選び方は香調で、シトラスやウッディ、花のような存在でありたければフローラルブーケ。あるいはシャネルというラベルを身につけたい、シンプルに流行っているものがいいという人もいるでしょう。
わたしはというと、シーンで選ぶ。香りが呼び覚ます、あの日あの時。
「怠惰な日曜の朝」という香り
過去には香水をさまざま使ってきたけれど、いま落ち着いているのはメゾン マルジェラの『レプリカ オードトワレ レイジーサンデーモーニング』。プロダクトコンセプトにたちまち惹かれたのだ。
イタリア、フローレンスの清々しく晴れた日曜日の朝、洗い立てのやわらかいリネンのシーツに包まれて過ごす心地良い時間をイメージしたレプリカ オードトワレ レイジーサンデー モーニング。
Maison Margiela
わたしが求めていたのはこれよ!香水で誰かを振り向かせたいわけでもない。フェミニンさもいらない。ただ自分自身にとって心地良い香り。ミニマルなボトルもまた好み。
- トップノート:ペアー アコード、リリー オブ ザ バレー アコード、アルデヒド
- ミドルノート:アリス アコード、ローズ アブソリュート、オレンジフラワー アコード
- ベースノート:インドネシアン パチュリオイル、アンブレット シード アブソリュート、ホワイトムスク
香調としてはフローラルムスキーで、スズランとホワイトムスクがまさに洗い立てのシーツのような清涼感。目を閉じればイタリアの温かい日差しが降り注いでくる…。
しかし、実際の我が家のシーツは市販の洗濯洗剤の香りです。イタリアには一度も行ったことがないし、もっと言うとシーツはリネンですらない。だから正確には香りで思い出を懐かしんでいるのではなく、わたしは、「あったかもしれない情景」を夢想していることになる。
ただ、日曜日の朝に洗い立てのシーツに包まれて過ごす心地良さについてはよく知っている。怠惰という最高の贅沢。
ところでわたしは猫と暮らしているので、家の中で香水をつけることはありません。あくまでも外交用。つまり、日曜の気だるさを身に纏ったまま仕事をしたり人に会ったりしているんですね。
『レプリカ オードトワレ レイジーサンデーモーニング』は、それが許される(勝手に許されていると思っている)ぐらいの大人になって初めて似合う香水なのかもしれません。