東京は「どこもかしこも桜が咲いている」街

池尻大橋の桜

「東京はどんな街?」と聞かれたら、あなたは何と答えるだろうか。僕はこの質問についてあまり考えたことがなかったが、今年の花見でその答えのひとつが見つかった。

渋谷・桜丘町の桜

花見をする

今年は花見へのモチベーションが珍しく高かったので3回花見をした。井の頭公園、代々木公園、そして渋谷の桜丘町。どれもマジで良かった。花見はしていないけど池尻大橋の桜も良かった。

そのうちの1回でとても印象的だったことがある。渋谷で花見をした回なのだが、その日は関西出身の人や北海道在住の人などの4人で、桜丘町の桜並木の下で缶ビールを飲んだ。

近くには新卒入社っぽいスーツ姿の男女がワイワイしていて、僕ら4人のうちの誰かが「浮かれてんなあ」みたいなことを言っていたが、満開の桜の下でビールを飲んでいる僕らもしっかり浮かれてるよなあなどと思った。

そんな感じでまったりしていたとき、関西出身の人か北海道在住の人かどっちだったか忘れたが「東京はどこもかしこも桜が咲いているよな」と言った。「たしかに」と僕もほかの人も納得して、その話題が少し続いた。

それから20分くらい何だかよくわからない話をしたあと、知り合いが道玄坂の店にいるということで桜丘町の桜並木から道玄坂に移動することになった。

移動する

桜並木の坂道を登りきって右へ曲がるとセルリアンタワーが見える。セルリアンタワーの敷地を突っ切り246を横切る歩道橋を渡り、マークシティ方面へ。ナチュラルローソン横に入り、左に曲がると道玄坂上の交差点に出る。

そこまでの道を歩く間、僕は関西出身の人か北海道在住の人かのどっちかが言った「東京はどこもかしこも桜が咲いている」という言葉について考えながら、ひとりで「そうだよなあ、たしかにそうだなあ」と心のなかで反芻していた。

そして道玄坂の交差点で信号待ちをしているときに、僕が「東京を『どこもかしこも桜が咲く街』って捉えるの、めっちゃ良いですね!」と言ったら、「まだそれ言ってんの?」とほとんど相手にされなかった。

だけど、そういう東京の捉え方をしたことがなかった僕にとってはとても新鮮に感じられたので、もう少し噛み締めたい気分だったのだ。

東京は人も建物も電車も多いしゴミも騒音もひどくて、とにかくグチャグチャな街だと思っているので(だからこそ好きなんだけど)、桜なんていう、そんなきれいなものが多くても、東京のグチャグチャ感にかき消されて気が付かなかったのかもしれない。いや、でもちょっと調べれば桜の名所がたくさんあることなんてすぐわかるわけだから、自分自身が気にしていなかっただけなんだと思う。

話は逸れる

そういえば、宇都宮敦という歌人が書いた短歌の連作タイトルは『東京がどんな街かいつかだれかに訊かれることがあったら、夏になると毎週末かならずどこかの水辺で花火大会のある街だと答えよう』だった。

タイトルとして長すぎるだろ、という点は一旦置いといて、東京をこんな風に説明するのはすごく良いなと思う。僕が同じことを聞かれたら「東京はどこもかしこも桜が咲いている街だ」と答えたい。だけど、もっとたくさんの別解を見つけたいとも思う。

ほかにどんな魅力があるだろう

東京には、僕が気づいていない魅力がまだまだあると改めて思った。グチャグチャな東京では何かを魅力的に感じては飽き、何かを見つけては見失う。

でも桜は毎年咲く。毎年「東京は桜が多い街」ということを思い出させてくれる。だから東京の魅力はいくつ見つけたって大丈夫。

さて、今年の花見は3回でした。来年の目標は5回です。というか、今年もまだ行けるんじゃないか?

お誘い待ってます。

荒井 貴彦

ビジネス分野を中心にライフスタイル系、医療系などの記事を執筆。主な執筆先は「日経クロストレンド」「LIMIA」「Let’s Enjoy東京」。ビジネス分野では記事の執筆だけでなく資金調達サポートも行う。