ひとりで温泉、楽しめる?日帰りや泊まりの魅力とおすすめの過ごし方

「ひとりで温泉に行ってみたいけれど、少しハードルが高い」。いざやってみようと思っても、躊躇することはないだろうか?周りの目や、ひとりで過ごす時間への不安から踏み出せない方もいるかもしれない。

「温泉にひとりで行く女(男)」と聞いて、わたしは真っ先に「最高じゃん」と思う。そこには自由と余白と、自分に向き合いたっぷり癒やしてあげる“ご自愛マインド”があるから。

ハードルを越えた先には、ひとりだからこそ味わえる至福のリフレッシュタイムが待っているはず。わたしが思うひとり温泉の魅力や楽しみ方、泊まる宿選びのコツを紹介する。

わたしのこと

  • 年齢・性別:30代、女性
  • 職業:ライター、編集者
  • ライフスタイル:誰かと同居、インドア派、リモートワーク
  • どこにでもおひとりさまで行きがち。

ひとり温泉の魅力とは?自分時間を大切にする過ごし方

ひとり温泉の最大の魅力は、なんといっても“自由”。行き先はもちろん、食事の時間や入浴のタイミングも、自分のペースで決められるのは大きなメリットだ。好きなときに湯に浸かり、疲れたら部屋でゴロゴロ、気が向けばふらりと散歩に出かけたっていい。

誰にも気を使わず、心からリフレッシュできる時間を持つことは、日ごろの気疲れや消耗した体を整えるいい機会になる。

ひとりで行動していると、普段は気づかないような風の音や、湯けむりが揺れる様子、湯船に反射する光さえも特別に感じられる。こうした静かなひとときは、普段の忙しさから解放されるぜいたくそのもの

自分と向き合う時間を大切にする人にとって、ひとり温泉はぴったりの選択なのである。

ひとり温泉でおすすめの過ごし方アイデア

  • 日帰り温泉で気軽にリフレッシュ
  • 宿泊してゆったりぜいたくに過ごす
  • 温泉以外の楽しみも取り入れて思い出を残す

日帰り温泉は、気軽にリフレッシュしたい人にぴったりだ。例えば、午前中は周辺の観光スポットを巡り、昼は地元の食材を使ったランチ、午後は早めからのんびりと温泉に浸かる過ごし方。限られた時間でも“旅行している感”を存分に楽しめる。

一方で、宿泊すればさらにゆったりとした時間を過ごせる。夜は露天風呂で星空を眺めながら湯に浸かり、朝は鳥のさえずりとともに目を覚ますような、“心をゆるめる”時間。静けさの中で読書や日記などの書き物を楽しむのもいいし、ただぼんやりと過ごす時間もまた格別だ。

温泉地なら街並みの散策や写真撮影、地元のお店でのちょっとした会話やグルメも旅の楽しみのひとつ。温泉街の風情を感じながら歩く非日常な時間は、後から振り返ったときにもきっと心を温めてくれる。

ひとり温泉をもっと楽しむためのアイテムや準備

ひとり温泉は、ただ温まるだけでなく、自分自身とていねいに向き合うための時間でもある。だからこそ、過ごし方や持ち物選びにも“自分らしさ”を込めてみたい

ここではあると便利なものや、ひとり時間を充実させるためのアイテムをまとめてみた。

  • ホットアイマスクやフェイスパック(旅先での休息に)
  • 軽量なワンマイルウェアやパジャマ(宿での快適な時間のために)
  • カメラやスマホ三脚(思い出を残すために)
  • サブバッグやエコバッグ(散策やお土産用に)
  • フェイスタオルやスパバッグ・ミニサイズの入浴セット(公衆浴場での入浴に)
  • 携帯用のスキンケアセット(荷物を増やさずケアを継続)
  • リラックスできる音楽や読書用の本(余白時間の活用)

旅をより快適にするには、ちょっとしたアイテムの存在が心強い。たとえば、目元用のホットアイマスクやフェイスパックを使えば、移動の疲れもやわらぐ。湯上がりでゆっくり過ごす時間には備え付けの浴衣もいいが、着慣れたワンマイルがあると軽い外出もそのまま楽しめる。

温泉街を散策するなら、カメラ用の軽いサブバッグやスマホ用の三脚を持っていれば、気になった風景を自分のペースで記録に残しやすい。自分のために残す旅の記録は、あとから見返すたびに気持ちをやわらげてくれるし、お気に入りのフォトをSNSでシェアすれば孤独感も薄れる。エコバッグはお土産を買うにも便利だ。

公衆浴場の多いエリアでは、備え付けのタオルや備品がないことも多い。また、タオルのレンタルが有料の温浴施設もあるので、自前のものを用意すると出費を抑えられる。スパバッグにミニサイズのボディソープや使い捨てシャンプーを入れておくと役立つはずだ。

また、使い慣れたスキンケア用品や、気になっていたお試しパックのアイテムをまとめたミニセットを用意しておくと便利。必要最低限の量なら荷物にもなりにくいし、自分をていねいに扱う時間が旅の満足度をぐっと高めてくれる

宿でのんびり過ごすなら、お気に入りの本やタブレットにダウンロードした映画、旅の記録を綴るノートなどを持っていくのもおすすめ。自分だけの時間にふさわしい“ちいさな相棒”があるだけで、滞在の充実度は大きく変わる。

ひとりで温泉は変?不安の解消法と宿の選び方

出典:Pixta

「ひとり温泉に行ってみたいけど、どこか不安」。漠然とした気持ちを紐解いてみると、「慣れていない」「想像できない」ことが理由だったりしないだろうか?そんなとき、できるのは対策を考えてみること。

  • 周囲の視線が気になる → ひとり客歓迎やひとり旅プランのある宿を選ぶ
  • 食事シーンの気まずさ → 部屋食プランや素泊まりで外食して解消
  • 移動やスケジュールの不安 → バス乗り場の近くや送迎付き宿が便利
  • 夜の時間を持て余しそう → 本・動画・散策など“ひとり時間の友”を用意

たとえば「ひとりで旅館に行くと浮かない?」という不安に対しては、“一人旅歓迎”や“ソロ旅プランあり”と記載のある宿を選べばOK。宿泊レビューでも「おひとりさまでも楽しめる」「スタッフがていねいに対応してくれた」といった声を見かけることもあり、思っているよりずっと気楽だ。

「夕食を一人で食べるのが気まずい」という人には、部屋食タイプの宿がおすすめ。近年は“ひとり焼肉”や“ひとり寿司”も市民権を得ているように、“ひとり温泉宿ごはん”も、周囲は思ったより気にしていない。どうしても難しいなら、素泊まりプランにしてふらりと食べに出るのもいい。外でのひとり飯なら、旅館で家族連れに囲まれるよりもハードルが下がる。

また「話し相手がいなくて時間を持て余しそう」と感じるなら、読んでみたかった文庫本を持っていく、スマホやタブレットに映画をダウンロードしておく、温泉街をぶらぶら散策して早めに寝る、などひとりならではの過ごし方はいくらでもある。旅は予定通りにいかないこともあるからこそ、スケジュールは“ゆるく”組むのがコツだ。

心配ごとの多くは、事前のリサーチと少しの準備で軽やかに解消できる。むしろ、そうやって自分の“心地よさ”に敏感になることこそが、ひとり旅の醍醐味かもしれない。

【実体験】20歳のとき、女ひとり旅で温泉に泊まった。

「ひとり旅で温泉に行こう」と決意したのがなぜだったのか、今振り返っても意外に明確なきっかけはなかったように思う。ただ、20歳になった記念にどこかへ旅をしたくなって、行き先は宮城県に決めた。

「なぜ宮城?」というと、当時は仲のよかったオタク友達が仙台に住んでいて、オフ会がてら会いたかったから。せっかくそっちに行くから、旅程のどこかで遊ぼうというくらいの気楽な約束だった。もう10年以上前の話のため写真は掘り起こせなかったが、今でも旅の空気感とともに心に残っている記憶だ。

宿泊先に向かうため、仙台駅からバスに1時間ほど揺られ、どんどん繁華街から離れていく。当時はまだGoogleマップもなく、ガラケーの時代。バス停に降り立ってから宿までは、事前に調べた地図を元に歩いた。

着いたのは、秋保温泉のとある旅館。記憶を遡って照らし合わせても該当する宿が見つけられないのだが、確か部屋から川の音が聞こえていたはず。当時はまだ女のひとり旅を断る旅館も散見されたものの、わたしがお世話になった宿では快く迎えてくれた

部屋食ではなかったことと、しっかりした品数がありサッと食べて退席するのも難しかったので、さすがにひとりでは少し気まずさがあったことを覚えている。そのわりには、ちゃっかりと夕食に合わせて日本酒を楽しんだあたり、わたしには根っからのソロ活適正があったのかもしれない。

ひとりなので、湯に入るタイミングも自由。夜の風と静かな川の音を感じながら浸かる温泉は格別だった。部屋に戻ってからは明日会う友達とメールのやり取りをして、特にテレビを見ることもなく、ぼーっとする。畳に敷かれた布団でごろごろするのはぜいたくな時間だ。

翌朝はかなり早めに起床し、朝風呂を楽しんだ。ちなみに朝食も部屋食ではなかったが、この頃にはすっかり慣れて気まずさなど感じなくなっていた。チェックアウトまでは時間があったので、また部屋に戻る。自然の音や、窓から差し込む柔らかい緑の光を浴びながら、布団でうとうとしたときの心地よさが今でも忘れられない。

あえて繁華街やお店の少ないエリアで宿泊することで、宿で過ごす時間が長くなり、“余白”をゆったりと感じられる。自分のほかに誰もいない部屋で、何にも気を遣わずに過ごすこと。デジタルデトックスをしたいときにも、ひとり温泉はいいリフレッシュになる。

ひとり温泉で得られるもの。旅の余白で心の在り方を整える

出典:Pixta

温泉に浸かり、自分と向き合う時間。それは、日々の忙しさで見落としていた自分自身を取り戻す大切な機会。誰にも干渉されない“自分のためだけの時間”を過ごすことは、思っている以上に心を整えてくれる。

予定を詰めすぎず、湯に浸かり、風にあたり、空を見上げる。そんな一つひとつの瞬間や、自分のペースで過ごすひとときが、心に余裕をもたらしてくれる。

忙しい日々の合間に、思い立ったままにひとり温泉旅をする選択肢。心に静かな余白をつくりたくなったときに、そっと思い出してもらえたらうれしい。

織詠 夏葉

おりえ なつは。暮らしのメディア、おでかけメディアにてライターを務める。約3年間エディターやコンテンツディレクターとして稼働し、個人でも執筆活動を開始。映画や音楽、ファッション、雑貨、香水、推し活などに広く浅く興味津々。