指先の“きれい”は自分のためにある。わたしをアゲるネイルの楽しみ方

仕事が多忙を極めると、自分のことはすべて後回しになる。髪と肌はツヤを失い、凝り固まった体は悲鳴をあげている。

そんなボロ雑巾状態でも、わたしの体には1つだけ輝いているパーツがある。

それが、爪。

指先を美しく保つことで気分がアガる、大人の嗜み、ネイルについて語るとしよう。

指先は、自分がいちばん見るパーツです。

指先は自分のためにある。
PCのキーボードを打つ指、スマホを操作する指。指先を見るたびにそれを実感する。
そう。指先は人に見られること以上に、自分がいちばん見るパーツなのだ。

爪がきれいに整えられていると、それだけで気分が良くなる。

入稿前夜の修羅場も、なんとなく嫌なことがあっときも然り。自分を機嫌を良くするために、わたしは爪の手入れをする。

家事や仕事のじゃまになるので、爪の長さはそれほど出さないのがあたし流。

ネイルの手法は断然、もちの良いジェルネイル。
季節や気分に合わせて自分でデザインを提案することもあるけれど、基本はネイリストにお任せ。

そして、デザイン以上に大切なのがケア。
甘皮を丁寧に取り除き、爪の形を整える。
美しさをキープするための保湿ケアも欠かせない。

ああ。あたし今、自分を大切にしている。

ネイリストの手で丁寧にケアされていく指先を見ながら、幸福感に包まれていく。

フットこそ、怠らない。

フットネイルは、思いっきりデザインを楽しむ。
パンキッシュな黒は、指先に使うには躊躇しがちだけど、フットネイルなら遊べる。

フットネイルはオープントゥのパンプスやサンダルのためだけじゃない。

冷え症なので夏でも靴下を履くことが多いけれど、隠れているからといってケアを怠りたくない。

年中フットネイルを欠かさないわたしは普段、見えないパーツこそきれいでありたいと思っている。

ポップなデザインは、フットネイルがかわいい

こだわりなんてものは少ない方が、ずっと自由でいられることは知っている。でも、自分のための“きれい”には、こだわったっていい。

だってそれが私にとってのマインドフルネスなんだもの。

ケアだけでも気分はアガる。

爪にカラーやデザインを施さなくても、ケアだけで気分はアガる。
特に足。かかとは丁寧にケアすることで乾燥する季節もひび割れないし、カサカサしない。

週に1回、スクラブで足全体をマッサージしながら古い角質をやさしく取り除く。

「スクラブはシュガーより、粒子が細かいソルトがいいよ」と、教えてくれたのは、いつも甘い香りがするスタイリストのあの子。

月に2回はスペシャルコースとしてパックで保湿。サロンのケアと合わせることで年中足がつるるん。

自分のきれいは全て、自分のもの。

「世の中が女だけになったら、女は化粧なんてしなくなるんだろうな」
これは男友だちがかつて言い放った言葉である。

時代錯誤も甚だしい。いや、時代云々な話ではなく、そんなしょうもない考えを持っていることに呆れた。

女性が自分を磨くのは、誰かのためだけじゃない。
そりゃ、「きれいだね」って褒められたい。そこに恋愛感情が絡めばなおさらだ。

でも、“きれい”って本来、自分のためにあるものだと思う。

いつもより時間をかけてスキンケアをしたり、爪の手入れをしたり。
新色のリップを試したり。

それはたおやかで優しい時間。きれいになるって、なんてすてきなんだろう。
美しさの指標は見た目だけではない。でも、きれいでいることは自信と笑顔をもたらす。
口角を、視線を、気持ちを上向きにしてくれる。

自分のきれいは全て自分に向けられている。
きれいでいることは自己責任なのだ。

全身のきれいを常にキープするゆとりがない私は、せめて、爪だけでもきれいでいたいって思う。
視線の先にある整えられた爪を見て、わたしは今日も思う。

大丈夫。私はきれい。

今日も美しく、たくましくあれ、あたし。

おだりょうこ

猫と旅、音楽と映画で形成されたライター&エディター。旅欲が止まらない旅ジャンキー。雑誌編集、テレビ局勤務を経てフリーランスに。料理は作るの食べるのも得意だったりする。