マイペースに大らかに生きる…40代後半に差し掛かって【タッタヒトリヲシル#1】

たったひとりの“感性”を深くくわしく知ることで、世の中が見えてくる!?
本当に実現するたったひとりを取材し、さまざまな観点から掘り下げる連載企画「タッタヒトリヲシル」第1回をお届けします。

これは人間ウォッチング? マーケティングペルソナ? はたまたライフスタイルの参考に…!?
あなたの感性でこのたったひとりを見つめてみたら、何か新しい気持ちに出会えるかも!


江原高子(仮名)の場合

40代後半。結婚や出産、そのあたりが話題になることはめっきり減った。考えるのは、言うことを聞かなくなってきた自分の体のこと、漠然とした不安のある将来のこと。

貯金が少ないから、頑張ってしなくっちゃ。あと、ダイエットもしたいな。でも、欲しいものは欲しいし、フルリモートワークだから人に会わなくて見た目にガッツリ気を遣う気にもなれない。

毎日はそれなりに楽しく過ごせているから、まぁ、こんな感じでいいのかなって思う。

江原高子(エハラタカコ)

  • 年齢:48歳
  • 性別:女
  • 職業:正社員
  • 年収:400〜600万円
  • 居住地:東京都練馬区
  • 勤務地:東京都渋谷区
  • 家族構成:両親、姉
  • おもな特徴:フルリモートワークのため、オンラインでのコミュニケーションがメイン。車が趣味。実家暮らし。

江原高子の共感マップ

見えているもの

  • 山田裕貴・星野源・松下洸平・滝沢眞規子
  • LINE・X・Instagram ついついぼーっと見てしまう

テレビとYoutubeをいつも付けっぱなしにしていて、ドラマ・「ボクらの時代」・「上田と女が吠える夜」が、今は好き。
やることがない時は鳥羽水族館のラッコ水槽の生配信をひたすら垂れ流している、気が向いたら目をやって。

していること

  • お肌のケアはオールインワンジェルで

言っていること

  • 貯金をしたい
  • ダイエットしたい
    …ってコレ、かれこれ2年くらい、言い続けてる気がする(もっとかもしれない)

聞こえていること

  • 「結婚しないの?」が「結婚はもう、しないんだよね?」に変わった
  • 「MEGUMIの美容法がすごい」
  • 「医者の力を借りないと健康でいられなくなってきた」

考えていること

  • 今の仕事を何歳までするのか
  • 65歳まで働かなくてはいけないのか
  • 年金はもらえるのか。
    あまり貯金ができないので、もしかすると70歳くらいまで働かなくてはいけないのかも。でも、70歳でできる仕事ってなに?今から準備していかなくちゃ。

ネガティブな悩み(恐れていること、嫌なこと)

  • 老後の貯金がない
  • 年金もらえるのかな
  • 理想と現実のギャップ

ポジティブな欲求(欲しいもの、得たいと思っていること)

  • 老後を生き抜く力
  • おばあちゃんになって一人暮らしをしても、困らない力
  • 宝くじが当たるとしたら、マンションくらいの価格の車が欲しい
    高ければ高いほど、車はやっぱり良い

おもなライフスタイル

平日の過ごし方

8:00 起床
8:30 朝食
9:00 業務開始
12:00〜15:00 好きなタイミングでランチ
18:00 終業 夕食、洗い物、テレビやYouTubeの視聴、入浴
24:00 アプリで漫画を読む、ゲーム、ラジオ
2:00 就寝

休日の過ごし方

9:00 起床
11:00 ブランチ
13:00 日用品の買い出し、掃除、テレビやYouTubeの視聴 友人との外出
18:00 夕食、テレビやYouTubeの視聴 たまに映画鑑賞
24:00 アプリで漫画を読む、ゲーム、ラジオ
2:00 就寝

最近した大きな決断

17年近く車業界にいた。若い頃はいつも車で現場に出ていたので、飲み会らしい飲み会をしたことがなかった。食事をする程度の会はあったけれど。

年を重ねて中堅になって、本社勤務になり車通勤ではなくなった。お客様対応窓口担当。電話口で理不尽に怒鳴られることもしばしば。「きょうは何分怒鳴られれば良いのかな〜」なんて、人の文句を右から左に受け流す力が身についた。

車通勤でないことと仕事のストレスから、飲み会が増えた。飲み会の場では上司として、若い子たちから気を遣われる立場になっていた。よく考えてみたら、接待をしたこともない。だから、飲み会の場をセッティングして気を使うようなこと、人生で一度もなかったんだよなあ。

42歳で文章を書く仕事をしたいと思うようになった。未経験の私が転職先として見つけたのはデジタルマーケティングのお仕事だ。車の会社を辞めて、転職をした。
今年の5月に宿泊研修をすることになり、企画運営に立候補してみた。セッティングも、企画も人生で初めて。自分の中では、大きな挑戦。年齢が20個下の子(Tちゃん)と取り組んだ。

弊社はフルリモートなので、東京に住んでいる人もいれば静岡、鹿児島に住んでいる人もいる。宿泊研修には、みんながバラバラの場所から来る。「宿泊地とスケジュールさえ決めておけば問題ないだろう」と思っていた私に対して、Tちゃんは「静岡の方の車のルートも考えなきゃ」とか「鹿児島の方には前泊してもらった方が良いかも」とか、とても細やかな気配りをしていて驚いた。

研修中はTちゃんと同室になった。飲みながら話をしていると酔いが回ったことも手伝ってか、Tちゃんが泣きながら彼氏の愚痴を話し始めた。その内容の繊細なこと。Tちゃんは2時間近く泣いていたけれど、「そんなこと気にしなくて大丈夫だよ、彼氏に言い返してみなよ」って何度言ったか。前職のお客様担当窓口で怒鳴られ慣れてしまった私は、ずいぶん図太くなってしまったんだな、なんて感じた。

Tちゃんの、細やかな気遣いの理由がわかった気がした。「人のことを過剰に気に掛ける子」なんだ。そして、自分の気の利かなさと、大らかさは(図太さ?)は表裏一体なのかも。

研修後、Tちゃんは今まで溜まっていた不満を彼氏に直接ぶつけ、その結果彼氏が今までにないくらい優しくなったらしい。「江原さんのおかげです!」とやたら感謝され、何かと食事や飲みに誘ってくれるようになった。懐いてくれて、うれしいよ。いっしょに図太く生きようね。

こんな感じで、人生初の宿泊研修のセッティング・企画は、たくさんの気づきと思わぬ副産物をもたらしたのでした。

最近買ったちょっといいもの

4万円ほどのノートパソコンの入るバッグをオンラインで購入した。

実物を見ずに購入するのも不安だし、フルリモートワークでノートパソコンを持ち歩く必要がそもそもほとんどない。でも、万が一クライアントに外部で会うときに、良いバッグに入れて歩きたいじゃん。そんなことをぐるぐる考えて3ヶ月答えが出ず。

でも、定額減税もあるし、ボーナスも出ることになったし、副業収入もあるし。思い切って頼んでみた。

黒いシンプルなバッグ。手持ちも肩がけもできて、フォーマルにもカジュアルにも合う。使い勝手が良さそう。7月に届くのが今から楽しみだな。

税理士の姉からは「ボーナスは全額貯金しなよ!」とか「貯金しようって言いながらなんでそんな高いバッグ買うの!」とか言われる。そりゃ貯金はしたいけど、欲しいものを欲しい時に買うのも大切でしょ。

最近興味がある話題・趣味

両親と姉と共に暮らしている。娘たちに囲まれて幸せそうな親は、老後の不安などないだろう。でも、私は?親も姉もいなくなった後、どうなるんだろう。

このままだと、独居老人になる。はっきり言えば、寂しい。そうならないためにどうしたら良いか、いつも考えている。

友人がたくさん暮らす、神奈川に移住しようかな。片田舎で静かに住めれば良い。で、「2〜3日連絡なかったら、気にして見にきてもらう」ようにお願いしよう。幸い車移動は好きだから、田舎暮らしも苦ではないはず。

でもさ、これって老後の話なんだよね。最近話題の、高齢者の運転問題につながっちゃうんだよな。神奈川に移住する頃の私は、70歳くらいかな。車を運転してもいいのかしら。危ないかな?
でも20年以上も先の話だから、車の自動運転技術がもっと発達してるかもしれない。そもそも運転免許っていう概念がなくなってるかもしれないし。何歳でも安心して車に乗れる世の中なら、問題ないな。

さらにいえば、老後の収入が心配だよ。年金制度が破綻しているかもしれない。いくらもらえるのかもわからない。貯金がないから、70歳になっても働き続けられるように資格の勉強をしなきゃな。

家族からは宅建を取るように勧められている。不動産系の会社で嘱託勤務ができるかもしれないから。でもなー、いまいち腰が重い。難しいもんなあ。ちょっとレベルを下げてファイナンシャルプランナーを取ろうかな、なんて。お金の管理が下手だから、自分のお金の使い方を考えるうえでも役に立ちそうだし。でも、簡単な資格を取ったところで老後の役に立つのかしら。こんなことをかれこれ2年以上、悩み続けている。

廃れた生活はしたくない。ひとりでも良いけど、たまには友人と連絡を取りたい。そんな関係性を維持できているような老後がいいな。

Sense of…編集部

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