出世でもお金でもない、幸せな家庭を築きたい【タッタヒトリヲシル#4】

たったひとりの“感性”を深くくわしく知ることで、世の中が見えてくる!?
本当に実現するたったひとりを取材し、さまざまな観点から掘り下げる連載企画「タッタヒトリヲシル」。第4回は本企画初、男性が登場。

これは人間ウォッチング? マーケティングペルソナ? はたまたライフスタイルの参考に…!?
あなたの感性でこのたったひとりを見つめてみたら、何か新しい気持ちに出会えるかも!


福田翔太(仮名)の場合

20代後半。少し前までは元カノのこと、趣味のこと、仕事のことでたくさん悩んでいた。

元カノは束縛が激しかったし、好きな音楽には向き合えないし、経理の仕事は向いてないし。

悩まなくなったきっかけは、新しい彼女から言われた「将来設計が不安定な人とは結婚は考えられない」という言葉。
転職するかしないかをウジウジ悩む僕を見かねて言ってくれたのだ。

そう言われて、「自分の幸せってなんだろう」考えるようになった。

じっくり考えたら、自分らしく生きるヒントが見えてきた。

  • 年齢:27歳
  • 性別:男
  • 職業:会社員(正社員)
  • 年収:400〜600万円
  • 居住地:神奈川県相模原市
  • 勤務地:神奈川県相模原市
  • 家族構成:一人暮らし
  • おもな特徴:経理担当。優しい、いじられキャラ。

福田翔太の共感マップ

見ていること

  • 月曜から夜ふかし
  • 水曜日のダウンタウン
  • 酒のツマミになる話
  • アニメ全般

していること

  • iSPEED
  • ウマ娘
  • 筋トレ
  • 車の装飾いじり
  • バンド
  • 観葉植物

言っていること

  • 「また友達が結婚したんだけど」
    年齢的に、第一次結婚ラッシュ
  • 「まあいっか」
    これは口グセ

聞いていること

  • 「賃金格差開いてるっていうけど、お前の会社、給与上がってる?」
  • 「北海道本当に行きたいと思ってる?ちゃんと考えてよね!」by.彼女

考えていること

  • 彼女との結婚について
  • 共働きでどうやって子育てするのかな

ネガティブな悩み(恐れていること、嫌なこと)

  • 眠れない
    経理という仕事柄、頭は疲れるけど体が全然疲れない…。
    眠るために筋トレ・散歩、寝具の買い替えをした。こんなことしないと眠れないなんて、俺ってこんなに神経質だったっけ?
  • 大雑把な自分の性格と、経理という仕事が合わない
    部長に「経理向いてないよ」と言われた…。
  • バイクを手放すかどうか

ポジティブな欲求(欲しいもの、得たいと思っていること)

  • 結婚したい
  • NISAを使ってもっとうまくお金を増やしたい

おもなライフスタイル

平日の過ごし方

7:00  起床 玄米ご飯と昨晩の残りをたべ、プロテインを飲む 観葉植物に水やり
8:00  出社
8:30  オフィスに到着 社内の敷地を清掃活動
9:00  伝票や資料の確認業務
12:00 ランチ 社内のケータリングを食べたり近所の飲食店に行ったり 10分ほど仮眠
13:00 請求書や領収書の起票など経理処理
19:00 退社 スーパーに寄り、惣菜や食材を買う Youtubeを見る
20:30 オンラインで友人と話しながら食事 資格の勉強 ゲーム、アニメ
22:00 入浴、シャワーや歯磨き 部屋の清掃
23:00 彼女と電話
23:30 就寝

休日の過ごし方

7:00  起床
8:00  YouTubeを見ながら食事
9:00  1週間分の服の洗濯、亀の飼育ケースの水換え、部屋の清掃 ギターの練習
13:00 スタジオで楽器の個人練習
15:00 海老名でショッピング、ゲームセンターでゲーム
    niko and…やSENSE OF PLACE、雑貨を見る
18:00 夕食の準備、資格の勉強
20:30 オンラインで友人と話しながら食事 資格の勉強 ゲーム、アニメ
22:00 入浴、シャワーや歯磨き 部屋の清掃
23:00 彼女と電話
23:30 就寝

最近あった心境の変化

大学時代は軽音サークルのサークル長を務めていた。
担当は、ギターボーカル(ちなみに、ドラムもけっこう上手い)。
「ギターもボーカルも最高ですよ」「いつもかっこよすぎです」なんて褒められ続けて、調子に乗っていた。
サークルという狭い世界の中で、自分はできる人間だと思い込んでいた。

社会人になって、その幻想は見事に打ち砕かれた。
仕事がまったくうまくいかない。
周りからの評価も低く、いくら頑張っても空回り。
自分はできない人間だということを思い知らされた。

会社から帰ってきて、楽器に触れても「過去の栄光に縋っている感じ」だった。
仕事ができない自分にとって、楽器ができることはなんの意味もなかった。
上司を見返すためには、仕事で結果を出すしかない。
「俺は楽器ができます」なんて言ったって何の意味もない。

こうして、大学時代の楽しい思い出は苦い「現実逃避」になり、だんだんと楽器から遠のいていった。

しばらくして、仕事に慣れ結果を出せるようになってきた。
仕事への劣等感が小さくなるにつれ、「後輩や職場の同期からのバンドの誘い」を受け入れられるようになった。
そうして、少しずつ楽器と触れ合う機会が増えた。

でも、なんとなく一番好きなギターボーカルは無理だった。
好きだからこそ、今の俺がやるのは、なんか違う。
ドラムなら触れるから、ドラム担当を引き受けた。

そんなある日、掃除をしていると、ほったらかしにしていた音楽プレーヤーが出てきた。
大学時代に聞いていた音楽を聞き直したら、ギターボーカルをしていたころの楽しかった思い出がよみがえってきた。
俺はこんな大事なものを放っておいたんだな、って思った。

また、ギターボーカルをやりたい。
大学の後輩に連絡をとり、バンドを組み、ギターボーカルを担当させてもらえることになった。

数年越しにギターボーカルを練習して、自分自身を表現することの楽しさを思い出している。
サンボマスターやブルーハーツのような、ダサい部分も含めて飾らずにさらけ出すパンクロックが大好きだ。
ステージに立てるのは20分という短い時間。
だけど、その20分間、どう演奏して、どう自分をさらけ出して、どう皆の印象に残すか、を考えながら練習するのが、本当に楽しい。
音楽に向き合えている今が、幸せだ。

最近買ったちょっといいもの

ゲームの主人公が、スーパーカブに乗って田舎の山道や海沿いを走っているのがカッコよくて、憧れた。
自分もカブに乗りたくてバイクの免許を取ることにした。
ところが、バイクの免許を取っている途中で気づいた。カブは車の免許で乗れるじゃん…。

会社の先輩にカブを貸してもらって、思う存分乗って満足すると、せっかく取ったバイクの免許を活かしたくなった。
買ったのはSR400というヤマハのバイク。
今流通しているバイクのほとんどは、エンジンスイッチを押しただけで動き出す。
でも、SR400はキックをしないとエンジンがつかない。
そのレトロさと、色がカッコよくて選んだ。

SR400に乗って、会社の同僚とツーリングをしていたある日。
山を走っていると、土砂降りになった。
急なカーブを曲がろうとしたときに、金属のレールのうえでタイヤが滑った。
焦った俺は、急ブレーキをかけてしまった。
ブレーキによってタイヤは止まったものの、バイクはそのまま滑り続け、俺はバイクから転げ落ちた。

一歩間違えば死んでたと思う。
身体中あざだらけで、膝も擦りむいて血まみれ。
ヘルメットのおかげで顔は無事だった。(フルヘルだったので助かったけど、一歩間違えば顔も皮が剥がれていたと思う)

めちゃくちゃ痛いけど、体は動いた。
夜遅いし、その日は病院に行かず、帰宅。
寝ようとしたけれど、痛くて、動悸が止まらなくて眠れなかった。
次の日病院に行くと、左手の中指を骨折していることがわかった。

完治には半年を要した。
治った記念に、久しぶりにバイクに乗ってみた。
山道のカーブを曲がろうとした瞬間、体が強張ってどうすればよいのかわからない。
バイクを傾けなければ転ばないのはわかってる、平坦な道ではそれができるのに。
山道にきた途端、できなくなるのだった。

その後、友人とバイクでツーリングをしたときに、山道で雨が降ってきた。
怖くてスピードを落とした。
走り方が、わからない。
「そんな運転続けてたら死ぬぞ」と友人。
それほど、危なっかしい運転をしていたらしい。

それからというもの、バイクがうまい人を頼りながらリハビリしていくか、結婚を機にバイクを実家に置いておこうか悩んでいる。
大好きなバイクだから、手放したくない。
どうしたらいいんだろうなあ、わからないなあ。

最近のパートナーとの関係性

マッチングアプリ始めて2ヶ月間で、15人くらいの女性と会った。
メッセージをやりとりして、何度か電話をしてからデートをする。
電話では気が合うと感じたのに、お酒が入るとイメージが違う!ということが多発した。
電話のときは「仕事が大好きなんです!充実してるんですよ〜」って言ってたのに、酔った途端「職場最悪!」って言い出して、ギャップにびっくりする、みたいな。

その点、今の彼女は、裏表がまったくない。
電話で話したときもお酒を飲んだとも、今もイメージがぜんぜん変わらない。
常にその子らしくいてくれる安心感がある。

彼女は保育士をしていて、いつも頭の中が子どもたちのことでいっぱいだ。
電話をすると「今日は○○ちゃんがこんなことを言ってくれて可愛かった」と毎日毎日子どもたちとのエピソードを聞かせてくれる。
学芸会の衣装も「子どもたちにとって、少しでもよい思い出になるように!」とイチからひとりで作っていた。

そんな彼女をステキだと思うし、尊敬している。
一緒にいて心地がよいし、ずっと一緒にいる将来が想像できる。

生き生きと働く彼女とは対照的に、俺は仕事のことでずっと悩んでいた。
経理の仕事は難しいし、部長には「お前は経理に向いていない」なんて言われるし。
同年代の人たちが仕事で活躍したり、転職したりしているのを見て焦っていた。
自分がどうなりたいのかを決めるために自己分析の本を購入して実践し、転職サイトに登録をして転職先を探した。

ところが、よくよく自己分析をしてみたら、自分がしたいのは「結婚をして幸せな家庭を築くこと」だということに気づいた。
昔から、『あたしンち』みたいな仲の良い家族に憧れて、いつかは結婚して幸せになりたいと思っていたんだ。
出世したいわけでも、仕事で大きな成果を残したいわけでもない。
彼女と幸せになれれば、それでよい。

今はなにより、彼女と将来設計している時間が幸せだ。
趣味も、自分を支えてくれている。

たくさん悩んだけど、生き方を決めてから楽になった。
プロポーズは今年か、来年かな。

Sense of…編集部

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