お味噌汁の中に広がる無限の世界

みなさん、こんにちわ。
音楽ユニット「鼻ホームランの森」の山下です。
今日は僕が感じている、お味噌汁作りの魅力について書いてみたいと思います。

お味噌汁と私

みなさんはご自身でお味噌汁を作られますか?
僕は1年半程前から自分で作るようになりました。
それからは大体毎朝作ってます。
おおよそ30歳の頃から日常的に料理をするようになったものの、お味噌汁作りって何となくハードルが高くて敬遠してました。

特に、“出汁を取る”という工程が自分には余りにも未知の世界で、到底自分には無理だと思い込んでいたのです。
それが、ある日ふと。我が家にあったそのまま食べる用の煮干しを見て、なんとなく「汁に入れてそのまま具材として食べれば良いのでは?」と思い、それを試してみたくなり、お味噌汁作りを始めたように記憶しています。

恐らく、よく目や耳にしていた料理研究家の土井義晴先生のさまざまなお言葉が自分の中で無意識に蓄積されて、このような思いに至ったのではないかと思います。

非常にめんどくさがり屋で、勉強が苦手な僕。
料理をするにしてもレシピを見ないで勘で作り始めてしまいます。そこから試行錯誤してちょっとずつ軌道修正して、自分なりのやり方を身につけていく。
これは子どもの頃からずっとそうで、例えば絵を描くのも、曲作りも、ほとんどこれと同じでした。
まず手を動かす。それで生まれた何かしらの兆しを元にして形にしていく。

今回書いているお味噌汁作りの話は、世間一般のお味噌汁作りや料理の常識に沿わない部分も多々あるかもしれませんが、どうかご容赦ください。

実家で作ったお味噌汁。実家で写真を撮ると、何故かそれだけで昭和の雰囲気が漂います。

お味噌汁作りって自由。

お味噌汁というのは、大きく言うと出汁×具材×味噌の組み合わせになると思いますが、この組み合わせパターン数ってほぼ無限だな、とある日思いました。

出汁

煮干しや鰹節、昆布、干し椎茸等、何で取るかは種類の選択肢があり、それぞれ産地や品種の選択肢も付随します。
水出しにするのか、煮出すのか。
分量や火入れ具合によっても結果が大きく変わります。
また、今我が家には煮干しと鰹節、昆布、干し椎茸があるのですが、組み合わせて使ったりもします。
出汁だけでも「無限」の文字が頭によぎる…。

具材

ほぼ、何を入れても良いのではないでしょうか。
野菜やきのこ類、豆腐、肉、海藻や魚介類は一般的だと思いますが、インターネットで検索してみると、ウインナーやチーズのお味噌汁のレシピも出てきます。
また、具材と具材の組み合わせによっては1+1が10くらいの魅力になったりすることもありますし、具材は一種類だけではなく複数を合わせて入れるのが一般的だと思います。
(主役具材、脇役具材、アクセント具材といったように具材の役割を考えてみても分類がありますね)
そうすると余計に無限、、!
僕は一時期10種類くらい入れてました。
それはやり過ぎかもしれませんが、入れたいだけ入れてみても良いのでは。

味噌

大きな分類では、豆味噌、米味噌、麦味噌、調合味噌の4種類、細かな分類では色(赤、白、淡色)や味(辛口、甘口)でも分かれて種類があるようです。
また日本全国の各地域ごとの特色、各味噌蔵ごとの特色、そして更にそれぞれの味噌を何種類か組み合わせたって良いのだ、と考えると味噌だけでも無限、、!

うーん、無限×無限×無限ですね、、!
極端なことを言うと、1日3食×365日×100年=10万9500食
食べ続けたとしても到底全パターンを網羅することはできない、、!
(仮に出汁100種類×具材100種類×味噌100種類だとしても100万種類存在することに)

そして、この無限に広がっている選択肢の中から、選び放題!
毎日違うものでも良いし、毎日同じものでも良い。

自由に楽しめる!

美味しい×美味しい×美味しいのフォーマットなので
基本的にはどうやったって美味しくなります。
恐らく、味噌(塩分)の量の調整と、味噌を入れるタイミングを適切にできれば。

極力楽に作りたい場合は、例えば沸かしたお湯に乾燥ワカメを入れて出汁入りの味噌を溶かせばそれで完成。

極めたい場合は、出汁の取り方や、具材の火の入れ具合、各登場人物の組み合わせの調和具合等、こだわりによって味を昇華させていける要素がたくさんあるので深い沼に没頭していくこともできます。
味覚も美学も人それぞれ。

「自分にあったやり方でさぁ、自分が食べたい、自分が美味しいと思うお味噌汁を作れば良いと思うんだよね」
お味噌汁はそんな風に語りかけてくれている。
かも。

嗚呼、そしてこれは。
音楽作りにも共通する話だなぁと、書いていて思いました。

茄子とトマトのお味噌汁。エリンギやネギも入ってます。赤味噌で。

お味噌汁作りって楽しい。

そして、音楽作りとの共通点として感じたこと。
曲をCD等の音源にするときに、歌や各楽器の音量のバランス等を整える、「ミックス」という作業があるのですが、これ、お味噌汁作りにも通じるんですよね。
例えばギターの音を大きくし過ぎると、歌が聞こえづらくなってしまう、ということが起こるのですが、同じように、味噌を入れ過ぎると出汁の旨味を活かしきれない、ということが起こります。
お互いの良いところをそれぞれ引き出せる、お互いの適切な、絶妙な分量というのがあるので、それを追求するのは、楽しい事でもあります。日々試行錯誤。
(こういうのは、世の中にこれまた無限近く存在すると思われる「レシピ」というものを見ればすぐに解決できる話なのかもしれないのですが、自分はどうしても自分のやり方でしか物事を行えない、非常に遠回りな人生を歩んでいます)

お味噌汁作りの楽しいこと。
日々、上記のように自分で試行錯誤しながら作るのも楽しいのですが、下記のような楽しみも生まれました。

季節ごとの旬を存分に味わえる。

例えば夏はオクラやきゅうり、トマトのお味噌汁をよく食べますが、暑い時にサッパリ食べれてとても美味しいです。

旅先のお土産の興味の範囲が広がる。

以前の自分には想像もできなかったのですが、最近の旅では、その地域独自の味噌や、昆布を買ってみました。人によっては、お味噌汁を入れる器に興味が行く方もいらっしゃるかもしれませんね。

とろみが出て美味しい、オクラ。食感を残すために火を止める10秒くらい前に入れてます。他にカボチャやズッキーニも入って色とりどり。

こんな感じで作ってます。一例のご紹介。

さて、ではここでひとつ、自分が最近よく作っている夏にぴったりのお味噌汁のご紹介です。
全然別物ではあるものの、なんとなく冷汁からインスパイアされたものです。
豆腐やサバ缶を使う等、具材をもっと冷汁に寄せても美味しいと思います。
自己流でやってる部分が多いのですがご容赦ください。

◆材料(2人分)

・水400cc
・煮干し 6グラム程度
・ネギ 1/4本程度
・茄子 1/2本程度
・生姜 適量
・きゅうり 2/3本程度
・かつお節 2つまみ程度
・味噌大さじ2~2.5程度(麦味噌がおススメ)

◆行程

  1. 具材を切る。 ※1
  2. 水に煮干し、ネギ、茄子、生姜を入れて、中火で火にかける。※2
  3. 沸騰したら火を弱火にして3~4分程度煮込む。※3
  4. きゅうりを入れて10秒程度待つ。 ※4
  5. 火を止めて鰹節を入れて混ぜ、味噌を溶く。※5

※1:きゅうりは極力薄い輪切り。茄子はお好み次第ですが、僕は早く火が入るように極力薄い輪切りにしてます。ネギもお好みですが、2センチ程度の輪切り、生姜はみじん切りか千切り。

※2:茄子のアク抜きや、煮干しの頭と腹ワタ取りをしてないのですが、気になる方は適宜どうぞ。
煮干しを擦って粉々にして入れると出汁が手っ取り早く濃く出ます。生姜は、フレッシュな刺激が欲しい場合は最後に投入で。

※3:強烈な沸騰が続くと煮干しの生臭さが出てしまうため、沸かし過ぎないように気を付けてます。

※4:きゅうりはほとんど火を入れず。

※5:味噌は大さじ2を溶いてみて、薄いと感じた場合は追加してみてください。僕は大体大さじ2.3程度入れてます。出汁についても薄く感じる場合は、煮干しを前の晩から水出ししたり、分量を調整したり、昆布等の別のものを加えたりしてみると良いと思います。

こんな感じで、その時々の旬の野菜を積極的に使って、出汁用の煮干しもかつお節も具としてそのまま食べる楽ちんな方法で作ってます。

自分としてはだいたいいつも美味しく味わえており、奥さんも美味しいと言って食べてくれてます。
ありがたく、幸せな朝食。

商品説明では、水800ccに対して20〜30グラムが目安と記載されてました。具として食べるとなるとそんなに入れなくても良いなと感じてこのくらいの分量にしてます。もう一匹足すと6グラムになりました。
野菜を沢山食べたいので、たっぷり入れてます。
このくらい沸いたら弱火にしてます。
かつお節は、ざっくりこのくらい入れて混ぜてます。
味噌を溶いて、盛り付けて完成。いただきます。

そんなこんなでお味噌汁を作るようになって一年程経ったある日。
突然、お味噌汁のメロディーが降って来ました。
それで作ったのがこちらの曲です。30秒程度の短い曲なので、もしよかったら聴いてみてください。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。
ごきげんよう。

山下 健太

音楽ユニット「鼻ホームランの森」のギター&ボーカル。作詞作曲や、自主レーベル「鼻ちょうちんRECORDS」での音源制作等も担当。井の頭公園アートマーケッツ所属。お酒、料理、散歩、サイクリング、海水浴など好きな事がたくさん。基本的には端っこで静かに佇んでます。