1年半前、ふと思い立ちスキンヘッドにした。美容室では剃刀が使えないため、人生初の床屋で頭を剃ってもらった。腰まであった髪とすっぱりおさらばしたのだが、今では髪がないのが当たり前という感覚になっている。
わたしのこと
- 年齢:28歳
- 性別:女
- 職業:少女漫画ライター
- ライフスタイル:誰かと同居、インドア派、リモートワーク、夜型、外食派
わたしがスキンヘッドにした理由
「なんでスキンヘッドにしたの?」
これは初対面の人にほとんど必ず、聞かれる質問だ。
大抵の人は会ってすぐに。気を遣っていたもののどうしても聞かずにはいられなくて、と別れる間際に聞かれることもある。
一般に、女性がスキンヘッドにすることには、何か明確な理由があるに違いないと思われるらしい。
言い換えると、多くの人がのっぴきならない理由がなければ髪を剃るなんてことはしないはずだ、と思っている。
単にやってみたかったから、というだけの理由で髪とおさらばしてしまったわたしからすると、この質問はとても困る。素直に「いや〜、何となく」とか「やってみたくて」と言っても、彼らは満足してくれない。場合によっては信じてもらえず、何度も同じことを聞かれることもある。
でも本当に、深い意味はないのだ。ファッションですとか、趣味ですと答えるようにしている。
「髪あった方が絶対いいよ、伸ばしなよ」
中にはこんなことを言う人もいる。
そんな時、なるべく穏やかに受け答えしようと努めるけれど、大抵うまくいかずにわたしはとても不機嫌になってしまう。
わたしはわたしがやりたいからこの髪型にしているし、正直似合っていると思う。伸ばしたければ伸ばすし、剃りたければ剃る。わたしの髪型は人を喜ばせるためにあるわけじゃない。
暗に「女性がスキンヘッドなんて」と責めるようなこの言葉には“女性らしさ”というフィルターが垣間見えて居心地が悪い。
女性らしさ、男性らしさなどの固定観念はとても窮屈で、そんな枠は取り払って一人の人間としてのわたしを見てほしいと心から願う。
ただし、もし心からスキンヘッドより髪があった方が似合うと感じて、善意からこう言ってくれているのなら、話は別だ。先に「スキンヘッドも素敵だね」とか一言添えてくれれば、もっと素直に言葉を受け止められるんだけど。
「尼さんですか?」もしくは「ご病気ですか?」
こう聞かれると申し訳ない気持ちになってしまう。
仏教には全く明るくない。
以前、わたしを仏門の人だと勘違いしてお寺の話をしようとした人がいた。「すみません、尼さんじゃないんです」と告げると彼女はバツが悪そうにしていたが、わたしの方こそ申し訳ない気持ちでいっぱいだった。
それから髪を伸ばしたくても伸ばせない状態なのではないかと、心配してくれる人にも恐縮してしまう。実際にそういう状況にいらっしゃる方が近くにいたら、いくらでも髪を伸ばせるわたしがこういう髪型をしていることで、不快感を与えてしまうのではないかと、不安も常に感じている。
理由がなくてはいけないのか?
こんな具合に、スキンヘッドにしていて日々思うことは色々ある。でも不思議と飽きないし、まだ当分この髪型でいるつもりだ。
スキンヘッドにしてみて初めて気が付いたけれど、街を歩いていて髪を剃っている女性を見掛けることってほとんどない。
話を聞けば、一度やってみたいと言う人もそれなりにいるのに、なぜ多くの女性はスキンヘッドにすることを躊躇うのか?
なぜ女性がスキンヘッドにすると周りからとやかく言われがちなのか?
スキンヘッドはただの髪型の一つで、そんなに大仰に捉えなくていい。
やりたかったらやったらいいし、スキンヘッドを髪型の選択肢にする女性はもっといてもいいと思う。
メリットもデメリットも知っておいた方が候補にもしやすいだろうから、これから幾つかご紹介しよう。
スキンヘッドのいいところ
1.すぐ覚えてもらえる
やっぱり髪がないと見た目のインパクトが強い。
初対面の人にも覚えてもらいやすいし、話のとっかかりとしてスキンヘッドはネタにしやすく、声を掛けやすいようだ。
遠くから見ても誰だかすぐ分かるから、道でばったり出会って声を掛けられたり、こちらは知らない人にも認知されていることもある。
特徴的な見た目は、人と関係を築く時にけっこう役に立つ。
2.何でも似合う
自分の見た目が髪の色や雰囲気に左右されないので、どんなテイストの格好も着こなせる。
モード系からガーリーまで何でもござれだ。
化粧もすっぴんでもバッチリ決めても、どちらも顔を引き立てるように感じている。
強いて言えばあまりカジュアルすぎると男に見えがちなのと、いかめしい顔立ちだと怖い人に見えてしまうかもしれない。でも基本的には、適当に選んだ服に適当にメイクをしてもそれなりにキマるし、着飾るのも楽しい。
何でもできるぜ! と気が大きくなって、モデル撮影にも挑戦するようになった。
3.洗うのが楽チン&髪をセットしなくていい
スキンヘッドにしているとちょくちょく「楽そうだよね」と言われる。スキンヘッドにしたことはなくても、こういうイメージを抱いている人は多いようだ。
確かにスキンヘッドは楽チンだ。髪を洗う手間もないし、長い時間をかけてドライヤーをかけたりセットしたりする必要もない。汗をかいてもさっと拭いてさっぱりできる。
髪の毛の手入れに時間を取られないので、その分他の美容に注力することもできる。
スキンヘッドの面倒なところ
1. 高頻度で剃らないといけない
手入れ自体は楽なのだが、二日に一回程度剃らないといけないのは面倒だ。坊主頭ならバリカンでパパッと済むのかもしれないけれど、剃刀で剃り残しなくツルツルに仕上げるには意外と時間が掛かる。
あまり伸びすぎると剃刀で剃れなくなってしまうので、まめな手入れが欠かせない。
旅先などで風呂場に大きな鏡がないと、手触りを頼りに剃ることになるので、剃り残しがちなのもちょっと困る。
2. 頭がデコボコしていると剃るのが大変
幸いわたしは後頭部も断崖絶壁ではなく、わりとコロンと丸い形をしていたので困らなかったのだが、頭がデコボコしていると剃るのが難しいという話をよく聞く。
凹凸があると剃刀やシェーバーの刃がうまく当たらず、剃り残しやすいとのことだ。
他にもほくろがあると刃が引っ掛かって切ってしまったり、そもそも頭皮が弱いと剃刀に耐えられなかったり。身体的な向き不向きは少なからずある。
3. 夏も冬も帽子が欠かせない
冬の寒さはスキンヘッドの大敵だ。素肌が丸出しだととにかく寒い。
頭頂がキンキンに冷やされると、何だか頭が痛くなってくるような感じがする。
守ってくれる髪がないので、暖かい帽子は必需品だ。
一方の夏も帽子が手放せない。容赦なく降り注ぐ直射日光で、熱を持った頭はやっぱり痛くなるし、うっかり日焼けすると頭の皮が剥ける。
暑くも寒くもない春と秋だけが、地頭で過ごせる素敵な季節。
逆に帽子を集める楽しみもできた。
4. スキンヘッドと少女漫画の相性が悪い
これはわたしに限った話だけれど。
わたしは昭和の少女漫画が好きで、最近はその普及活動に精を出している。
ただ、“少女漫画好き”と聞いてイメージされるのは間違ってもスキンヘッド姿の女ではない。
意外な組み合わせが面白いギャップとして認識されればいいが、そう上手くはいかないもので、イメージと違うことで驚かれたり敬遠されたりと、見た目の重要さを突きつけられている。
ルッキズムに翻弄されたくない気持ちもありつつ、見た目ってやっぱり大切だ。
やってみたい気持ちはあるけど踏み出せない人へ
似合うか似合わないかはやってみないと分からない
メリットもデメリットも分かった上で、やっぱりスキンヘッドに興味があるな〜と思っているあなた。あと一歩が踏み出せないのは、スキンヘッドが似合うかどうか不安だからではないだろうか?
わたしもやるまでは断崖絶壁だったら嫌だな、と思っていた。でも結局、剃ってみないことには自分の頭の形は分からないのだ。
似合わなければすぐ伸ばせばOKだし、伸ばし途中はウィッグを被っていればいい。
頭がつるっとしていても、意外とウィッグは滑らない。しかも色々買い揃えれば、気分に合わせて色や形は思いのままで、ウィッグ生活もなかなか楽しい。
どうせ髪はすぐ伸びるんだし、と大きな気持ちで、構えずに一回試してみるのも手だ。
どんな髪型でもあなたはあなた
もしかして、スキンヘッドにすることで誰かから心ない言葉を投げかけられることもあるだろう。思ったほどスキンヘッドが気に入らなくて後悔する可能性だってある。
でもどんな選択も、あなたがそうと決めたことに間違いなんてない。
それに髪型ってあくまで外見なので、あなたの一部分に過ぎない。外と内が合わさって、あなたを作っている。
見た目がどう変わっても、あなたはあなた。中身までガラッと変わるわけじゃないからご安心を。
最後に一つアドバイス!
床屋は女性が入店できないお店もあるので、確認の上予約してから行くのがおすすめ。
バリカンで刈るのではなく、剃刀で丁寧に剃っていくので時間もお金もかかる点にもご注意を!
この記事が、スキンヘッドに興味はあるけど踏ん切りがつかない……という人の背中を押せたら嬉しい。
あなたも明るいスキンヘッドライフを!