アイシナモロールに学ぶ『ご自愛』マインド。【わたしのSWEETなもの】

気が付けばもう今年が半分過ぎ、残りは1/3ほどに迫ってきた。

現代のわたしたちは日々ものすごい情報量にさらされながら生きている。
仕事やプライベートに追われてはメンタルをすり減らし、次第に“自分を労る・愛する時間”さえも満足に持てずなあなあになり…

どういう自分で在りたいのかさえも曖昧になってはいないだろうか?

目まぐるしい毎日にやや疲弊していたわたし。
そんなとき、とある出会いに衝撃を受ける。

もちもちで、柔らかくて、でも地に足をつけて自分らしく生きていく
ちょっぴり大人びた“彼”…サンリオ所属『I.CINNAMOROLL(アイシナモロール)』のシナモン。

これは今までシナモロールには縁のなかった30代女性が綴る、アイシナくんへの偏愛ラブレターである。

近頃お疲れ気味の方、少しの間、一緒に和んでみませんか?

わたしのこと

  • 年齢・性別:30代、女性
  • 職業:ライター、編集者
  • ライフスタイル:誰かと同居、インドア派、リモートワーク/収集癖が止まらないタイプのオタク。キャラものに目がない。
  • 好きなサンリオキャラ:ぐでたま、リトルツインスターズ、タキシードサム(はぴだんぶいも嗜む)、アイシナモロール【New!】

シナモン?シナモロール?ちょっぴり大人な『I.CINNAMOROLL』

出典:サンリオ
© 2024 SANRIO CO., LTD. Sanrio/TBS

『I.CINNAMOROLL(アイシナモロール)』というキャラクターをご存知だろうか。

サンリオ社に所属のキャラクターはたくさんいるが、『シナモロール』のシナモンなら見聞きしたことがあるかもしれない。

そもそもシナモロールとは種族の総称らしく、個体名はシナモン。
よく「シナモンロール」と混同されるが、違いを調べてみるとこういうことらしい。

わたしの幼少期はちょうど世代的にシナモンが登場する前だったから、前提知識もずいぶんとふんわりしていて、
彼が男の子であることも、かわいい垂れ耳は決してホーランドロップ(ウサギ)ではなくワンちゃんモチーフであることも、今回初めて学んで新鮮な驚きがあった。

本人はうさぎだと主張しているが、もちろんこれはかわいいエイプリルフールのウソである。

待って、じゃあ、アイシナモロールって何者?

表情も色使いも元のシナモンと違うし、ずいぶんと印象が違うではないか。

© 2024 SANRIO CO., LTD. Sanrio/TBS

元がキラキラふわふわした女児〜若年層女性向けのイメージだとしたら、アイシナくんはまさに20〜50代くらいの働く大人向けのイメージ(を勝手に抱く)。

サンリオ公式の説明を要約すると、“もしシナモロールがあの日、カフェ・シナモンのお姉さんと出会っていなかったら…?”という世界線で生きている、ちょっぴり大人のシナモンらしい。

某映画・MCUシリーズを見た方なら理解しやすいだろう。
つまり「元の世界とは違う展開の世界で生きる、もうひとりのシナモン」。

シナモンではあるけれど、わたしたちのよく知っているシナモンとは少し違う。
そんな絶妙な世界観もまた、大人っぽい。

アイシナくんはインスタもやっている。

アイシナくんを愛した日。

わたしが彼に出会ったのは、ある日たまたま流れてきたポストがきっかけ。
そこにはサングラスをかけてリゾートでくつろぐ彼の姿があった。

え、このシルエットってシナモロールだよね?
サングラスかけるようなキャラだったっけ…?

よくわからないままその日は終了。
でも、どこかでずっと心に残っていた。

わたしにはキャラクターがサングラスをかけている姿に弱いという謎の習性がある。
本当に謎。

それからしばらくしてまたタイムラインに彼が流れてきた。
ショートアニメなのか。見よう。

かわいすぎる。なんだこれは。無理だった。

限界社畜時代を経て、いまだに心が荒んでいたわたし。
あまりの癒やしパワーにすぐにプロダクトとグッズ展開を調べ、注文する手がとまらない。

アイシナファンの爆誕である。

I.CINNAMOROLLのどこに心掴まれるのか

先ほども触れたように、わたしは世代的にシナモロールをがっつり通ってこなかった。
かわいいのはもちろん知っていたけれど、自分が好きになるのはなんとなく恐れ多いというか似合わないなと感じていたし、グッズを見ることにも罪悪感すらあった。

では、なぜいい大人になった今、『I.CINNAMOROLL』のキャラクターやプロダクトが刺さったのか?

少し深掘りして言語化してみよう。

© 2024 SANRIO CO., LTD. Sanrio/TBS

『#ご自愛』というコンセプト

アイシナモロールの決め台詞は、「(自分のこと、もっと)あいしな?」
グッズや投稿にはよく「ご自愛」というワードやハッシュタグが添えられている。

自分のことを愛するって、意外と意識していないと難しい。
他人のことを考えたり優先しすぎたりして、本当の気持ちが見えなくなる。

少しでもミスをしたら容赦なく自分を責めたり、他人にはあたたかい言葉をかけられるのに自分にはそれができなかったり。

わたしのなかにいるわたしは、なかなか自分に笑ってくれない。

モノや食べ物はご褒美と称して(言い訳して)いくらでも買えるのに、なぜか自分の存在価値は認めてあげる気になれない。

そうして自暴自棄になりかけたとき、アイシナくんがわたしの肩をそっと叩く。

「(自分のこと、もっと)あいしな?」

心がほぐれる。そうだ、自分にももっとやさしくしてあげなきゃと思える。
これって、魔法みたいな言葉だ。

動画コンテンツのゆるさ

I.CINNAMOROLLには、YouTubeにて毎週配信されている公式動画が2種類ある。
どちらもスキマ時間や深夜にゆる〜〜く見られる内容が魅力。

ショートアニメではシナモンにセリフはなく、声優の榎木淳弥さんによるナレーションと、おしゃれなカフェで流れていそうなジャズ風のBGMが流れるのみ。
音にもストーリー展開にも“余白”が多めにとられていて、頭を空っぽにしてぼーっと見たいときに本当に心地いい。

毎日考えることが多すぎるわたしたちだけれど、この動画を流している間だけは、何も考えなくたって許される。

そういう“避難場所”のような空気感が全編にやさしく漂っている。

出典:サンリオ

一方で俳優の安田顕さんとのコンビでお届けされるお料理番組は、少年風の声をしたシナモンがお喋りしてくれる。
内容は『ゆるドキ☆クッキング』の名前通りかなり“ゆるい”。

クッキングといいつつ、最初の10話ほどは何も作らないし、ロールキャベツを作ろうとして結局やめてしまう(これにはシナモンの気持ちに配慮したやさしい理由があるので、観てみて!)。

イヤなことも怖いことも、無理してまで立ち向かう必要なんてない。

どんなにしんどくても仕事に向かわねばならないわたしたちにとって、このメッセージは心の柔らかいところに沁みる。

そうだよね、シナモン。
自分を、自分の気持ちをもっと、大切にしたっていいんだ。

既存のシナモンと差別化されたデザイン

© 2024 SANRIO CO., LTD. Sanrio/TBS

最後に、デザイン面の話。

I.CINNAMOROLLはグッズ展開も含めて基本的にパキッとしたカラーリングで、主線も太く濃い。
スンっとした口元に、おもむろに取り出して装着するサングラス。
耳で飛ぶのをやめて、本人曰く地に足をつけた生き方。

ショートアニメでは背景美術も凝っていて、やや写実的なディティールとデフォルメの塩梅が絶妙である。

毎話変わるテーマ(趣味?)に“おひとりさま”で挑戦する彼の姿には共感を抱くし、コーヒー、カメラ、ヨガ、グランピング、温泉、海外一人旅、ビュッフェ、美術館、ガーデニング、ときにはスノボや季節の飾り付けなどなどを楽しむ様子に勇気づけられる。

とにかく徹底して、大人に“なってしまった”わたしにもとっつきやすい。

これまでサンリオや元のシナモロールにさほど馴染みがなかった人にも親しみやすいデザインなのは、
ビジネス的な観点でいえば想定ペルソナに沿ったマーケティング方針によるものではないだろうか?

プロダクトの方向性や打ち出し方、ターゲット層がしっかり定まっているような印象で、そんなところにも感銘を受けた。

そもそも既存の人気キャラクターをほぼリブランディングするかのような大胆なイメージチェンジ自体、なかなかできるものではない気がする。
小心者のわたしからすると、どうしたって既存ファンからの反発や、現実的なことを言えばファンの離脱からの収益減少を想像してしまうから。

© 2024 SANRIO CO., LTD. Sanrio/TBS

とはいえ既存のシナモロールがいなくなったわけではないし、意外と棲み分けはできているようにも思う。
実際SNSをリサーチしてみると、わたしのようにこれまでシナモロールに触れてこなかった人たちも、アイシナモロールに関心を寄せている様子が散見された。

人気のほどは各所とのコラボレーションやその反響にも表れている。

ちょうど2024年7月にNEWoMan新宿でポップアップショップが開催されていたので立ち寄ってみると、20〜40代くらいの女性が何人もグッズを買うために並んでいた。
中には家族連れや男性の姿もあり、幅広く受け入れられているのを感じる。

『シナモンと安田顕のゆるドキ☆クッキング』にもたくさんのコメントが寄せられ、2024年8月2日から8月20日までは東京・赤坂のブランチパークにて『ゆるドキ☆カフェ』も実施。

わたしももちろん予約競争に参加し、途中サーバー混雑で繋がらなくなりながらもなんとか席をゲットできた。

I.CINNAMOROLL、これからますます世界に広まっていきそう!

アイシナくんと過ごす『ご自愛』な日々。

© 2024 SANRIO CO., LTD. Sanrio/TBS
※左側のサングラスは私物。コラボ商品ではなくたまたま持っていたのは運命的。

なかなか自分を大切に(=やさしい言葉や目を向けることが)できないわたしだけれど、アイシナくんに出会って『ご自愛』マインドをこれまでよりも意識するようになった。

もともと自分にご褒美のグッズや好きな食べ物、飲み物をあげるのは大好きなのに、これまではどうしてか
「わたしは他の人よりも仕事ができない」
「ミスしたからもう価値はない、ゼロどころかマイナスに戻ってしまった」
「なんでこんなに打たれ弱いんだろう」
「うまくいかないから何をやってもダメだ」
…などと延々自己嫌悪に陥ることがあって、これがなかなかしつこく消えてくれない。

そんなときでも、ふと彼の姿が目に入るとなんだか気持ちがゆるんで、もう少し自分を許してあげてもいいのかも…と、肩の力が抜けるのだ。

アイシナモロールのコンセプトには、こんな説明もある。

人の目より、自分の目。ほんとうに大切なことだけを大事にしています。

出典:サンリオ

人からの評価は、最後はコントロールできないもの。
やるだけやったのなら、そんなに落ち込まないで。

シナモンがそばにいたら、もしかしたらそんな風に言ってくれるかもしれない、なんて考えると、不思議と「まあいっか」という気持ちが湧き出てくるのは、わたしにとって驚きの変化だ。

『ご自愛』。
いい言葉だよね。

別世界に生きるちょっぴり大人なシナモン。
これまで縁がなかったわたしに、新たな世界を見せてくれてありがとう。

心にアイシナモロールを宿したわたしは(わたしたちは)、君に出会う前よりもちょっぴり強くなれた気がするよ。

織詠 夏葉

おりえ なつは。暮らしのメディア、おでかけメディアにてライターを務める。約3年間エディターやコンテンツディレクターとして稼働し、個人でも執筆活動を開始。映画や音楽、ファッション、雑貨、香水、推し活などに広く浅く興味津々。