手帳会議とは、今使っている手帳を振り返りながら、次に使う手帳を決めること。“会議”という単語がついているが、基本的にはひとりで手帳やノートに書き出しながら考える。
8月下旬から、来年の手帳が発売され店頭に並び始めた。9月に入ると、大きな文具店やバラエティショップに、手帳コーナーができる。手帳の公式ガイドブックや雑誌の手帳特集のチェックも欠かせない。秋は手帳好きにとって心踊るシーズンなのだ。来年の手帳を決めるべく、今日もどこかで手帳会議が行われている。
一方で、手帳を選べない、使いこなせないと悩んでしまう方もいるだろう。そこで、紙の手帳を20年以上愛用しているわたしが、毎年行う手帳会議の末にたどり着いた、自分なりの手帳選びの基準を話してみたい。この記事が、誰かの手帳会議の参考になったらうれしい。
わたしのこと
- 年齢:30代
- 性別:女
- 職業:ライター
- ライフスタイル:誰かと同居、インドア派、リモートワーク/手帳はアナログ派
選ぶのも一苦労?手帳の多様化問題
大きな文具店やバラエティショップの手帳コーナーに行くと、たくさんの手帳が並んでいる。表紙やサイズの違いはもちろん、年々多様化する生活環境に合わせて、さまざまなフォーマットのものが売られるようになった。
手帳は本来スケジュール管理の道具だったが、InstagramなどのSNSで手帳をコラージュしたり絵を描いたりする、いわゆる“手帳デコ”が流行り、手帳デコが映えるフォーマットのものも作られるようになったのだ。
手帳の公式ガイドブックや、雑誌の手帳特集、個人のSNS…そこにはひとつの手帳をびっしり埋めたり、何冊もの手帳を用途別に使い分けたりしている、手帳を使いこなす人たちが並んでいる。
とはいえ、手帳デコなどの趣味は別として、「スケジュール管理はデジタルでできるのだから、紙の手帳はいらないのでは?」という方は、デジタルの時代に、僕がシステム手帳を使い続けている理由を読んでみてほしい。手で書くから頭に残り、思い出として形に残るのが紙の手帳の魅力なのだ。
デジタルの時代だからこそ、見直されるアナログな紙の手帳。たくさんの種類と多様な使い方が増えた現在の手帳は、手帳というアイテムをこよなく愛する人にはうれしいこと。わたしもそのうちのひとりだ。
一方で、「こんなに手帳の種類があっても選べない」「毎年手帳を買っているけど結局続かない」という方もいるだろう。
そこで、手帳が好きな人の一意見として、わたしなりの手帳の選び方や、具体的な使い方を話してみたい。小学生のときにミスタードーナツのグッズ、スケジュールンを手にしてから、20年以上手帳を使ってきた。その間、ライフスタイルの変化ごとに手帳会議を繰り返し、手帳との付き合い方を変えてきたのだ。
母艦と趣味の手帳を分けて選んでみる
わたしの場合、母艦手帳1冊と、趣味手帳を分けて使っている。
母艦手帳
母艦手帳という言葉は、主にSNSなどで手帳好きの方が使っている用語。人によって定義はさまざまだ。わたしの場合、手帳を複数冊使うとき、メインで毎日使う手帳のことを指している。
母艦手帳には、家族、仕事、プライベートのスケジュールをまとめて管理している。毎年新しい手帳に引き継ぐような情報なども書き込む。ちょっとしたメモや日々のToDoリストも1冊の手帳に書き込むのだ。この手帳を開けば、必要なことがすべて書いている。
常に使う母艦手帳を選ぶときは、手帳の仕様の中でも優先度の高い条件から考える。オーダーメイドの手帳でもない限り、完璧な自分の理想の手帳を手にすることは難しいためだ。デザイン、フォーマット、紙質、メモページの量…などを箇条書きで書き出し、優先度順に並べる。上位の条件に合ったものから手帳を選んでみるのだ。
また、自分のライフスタイルに合った時間軸のフォーマットを選ぶと、手帳を使い続けやすい。月のスケジュールをざっくり分かればよい人は、カレンダーのような“マンスリーブロック”、時間軸で予定を書き込みたい人は、横軸に日にち、縦軸に時間が入った“ウィークリーバーチカル”などがある。
固定された条件から選び出す母艦手帳選びは、賃貸物件選びに似ていると思う。
趣味手帳
スケッチやコラージュなどの創作物や、日記やカフェ巡りの記録など、個人の楽しみのために使うのが趣味手帳。わたしの場合は、システム手帳を使っている。システム手帳は、ルーズリーフのように中身のリフィルを自由に入れ替えできるのがポイント。
わたしは、コラージュを作ったり、スターバックスで飲んだドリンクの記録をしたりする。写真と一緒に、出かけたときのチケットやショップカードを貼れば、読み返したときにも楽しい日記ができる。
趣味手帳は、自分が使っていて思わず笑顔になるような手帳を手に取ればいいと思う。システム手帳やノート型の綴じ手帳などのフォーマットを問わず、自分がピンときたものを使いたい。テンションが上がるデザインや、手触りのよい素材を使ったものなど、自分だけの居心地のよい秘密基地を作る感覚で選んでみるのだ。
役割を明確に分けることで、手帳が使えるようになった
わたしの場合、20代前半のときは、仕事の反省を書いた手帳をデコってみる、など仕事も趣味もごちゃまぜに手帳を書いていた。また、さまざまな手帳のフォーマットを使ってみたくて、用途別に5冊手帳を同時に使っていたときもある。
しかし、年齢を重ねるにつれ、責任のある仕事と手帳デコが合わないと感じるようになった。結婚してからは、家族のスケジュールを確認する必要があった。複数の手帳を使うと、うっかりスケジュールが漏れてしまうかもしれない。日常に家事と育児が増え、そもそも複数の手帳を使う時間がなくなり、ページに空白ができるのも寂しい。
そこで、母艦手帳と趣味手帳を分けるようになったのだ。スケジュールもToDoリストもメモも、とりあえず母艦手帳1冊にまとめて書くと決める。母艦手帳を決めておくことで、書くときも確認するときも迷いがなくなった。手帳デコなどの装飾のない手帳は、ビジネスシーンでも人前で開きやすい。
趣味手帳は、自分が楽しむための手帳なので、使えない日々が続いても問題はない。ページの空白が気になる方は、日付がないフォーマットや日付を自由に書き込めるフォーマットを選べばいい。仕事や家族のプライバシーに関わることを書いていないので、SNSに気兼ねなく手帳の写真をアップできるのもいいところだ。
本人が納得していれば、手帳は何冊あってもいい
ここまで個人的な手帳の選び方や使い方を紹介したが、実のところ、本人が納得するのなら手帳は何冊でも使っていいと思っている。例えば、メイクが趣味の方は、シーズン毎に新作を購入する方もいるだろう。それは、その人の趣味だからだ。
だからこそ、まぶたは2つしかないのに、アイシャドウをたくさん揃えても問題ないように、手帳が趣味なら何冊あってもいい。
また、年の途中で違う手帳に変えていいとも思っている。どんなに口コミのよい化粧品だって、自分に合わなかったら使わなくなるだろう。手帳も自分の使い方に合わなかったら、別の手帳に変えていいのだ。
わたしは、今のところ少ない冊数の手帳で運用している。けれども、自分の時間に余裕ができたら、以前のようにたくさんの手帳を使うかもしれない。
「同じメーカーの手帳を毎年1冊だけ買って、20年以上愛用しています」という方に憧れるときもある。でも、わたしは季節が変われば服装も変わるように、自分のライフスタイルに合わせて、軽やかに手帳を変えていきたいのだ。
「手帳を使いこなして生活をよくする」と思うから苦しくなる。「手帳と楽しんで生活する」ことを基準に選んだらいいのではないだろうか。