癒しのひとりビーチコーミング。シーグラスなどのお宝探しで自分時間を満喫

海は夏がいちばん楽しい!と信じて疑わなかった私。そうビーチコーミングに出会うまでは。

SUP・シュノーケリング・ダイビングなど、海のアクティビティはさまざまあるが、季節を問わずひとりで気軽に楽しみたい人に、ビーチコーミングをおすすめしたい。

ビーチコーミングとは、直訳すると「海岸や砂浜(beach)を櫛(くし)でとく(combing)」という意味で、海岸や浜辺に打ち上げられた漂着物を集めたり観察することをいう。

今回はビーチコーミングの魅力はもちろん、メリット・デメリットや実際のビーチコーミングの様子をお届けしたい。

わたしのこと

  • 年齢:40代
  • 性別:女
  • 職業:会社員(ときどきライター)
  • ライフスタイル:誰かと同居、アウトドア派、出社、夜型

ひとりビーチコーミングの手順・服装・持ち物

◼️手順

ビーチを歩いて、気になったものを手に取ったり観察したりするだけで、とくに手順というほどの手順はない。

◼️服装

普段着で良いが、万が一のために濡れてもいい服装がおすすめ。寒い時期は防寒着もあった方が良い。

  • 歩きやすい靴:怪我をしないためにもスニーカーなど足全体が覆われるもの
  • 日焼け対策の小物:帽子・サングラス・日焼け止め

◼️持ち物

  • 軍手orビニール手袋
    ガラスの破片、割れた貝がらや毒を持っている生き物もいるため、素手で触らず、軍手やビニール手袋を使用する
  • 日焼け止め
    特に夏は汗で流れてしまうため、こまめに塗り直したい。塗り直しにはスプレータイプやロールオンタイプだと、手が汚れなくておすすめ
  • 飲み物
    海辺の近くでは自動販売機がない場所もある。熱中症対策のためにも、飲み物は持参が望ましい

◼️あると便利な道具

  • バケツ・ビニール袋などの入れ物(ジップ付きの袋があるとなお良い)
  • 濡れたとき用のタオル・手拭い
  • カメラ・筆記用具

こんな人におすすめ

1.ひとりでのんびり散策したい人

目の前に広がる海や砂浜を見ながらのんびり歩く。その開放感のおかげで、慌ただしい日常から、ふと自分のペースを取り戻せる気がする。

2.都会の喧騒から離れてリフレッシュしたい人

波の音や鳥の鳴き声を聞いたり、潮風を感じたりすることで、都会では見過ごされやすい感覚を思い出し、リフレッシュできる。

3.漂流物にロマンを感じたい人

どこから流れ着いてきたのかな?と感じる見たことがない木の実や、どれだけ時間をかけてこの形になったのだろう?と思うシーグラスなど、遠い場所や年月に思いを馳せることができるのがビーチコーミングならではの楽しみではないかと思う。

なかには珍しい海洋生物の化石やサメの歯なども見つかるという話を聞くと、ロマンを感じずにはいられない。

4.宝探しが好きな人

そしてなんといっても、自分だけの好みの石・貝がら・流木などを見つけるのが楽しい。

お宝の基準は人によって違うので、人からみればただのガラクタでも、本人にとっては大切な宝物。見つけたときの喜びはひとしおである。とくにひとりビーチコーミングは自分だけの推し探しに没頭できる点が魅力でもある。

ひとりビーチコーミングのメリット・デメリット

◼️メリット

1.ビーチさえあれば、気軽に始められる

そこにビーチがあればすぐにでも始められるのが、いちばんのメリットだと思う。身近に海がなくても、旅行や出張などの目的地の近くにビーチがあれば気軽に始められる。

また、目的地に到着するまでの間にビーチがあれば、寄り道してみるのもおすすめ。

2.お金をかけずに始められる

何か趣味を始めようとすると、道具に初期投資がかかる場合が多い。その点、ビーチコーミングは身ひとつで始められるので、かなりコスパが良いように感じる。

3.五感フル活用で、癒しを感じられる

五感をフル活用してビーチを楽しむことが癒しになると思う。例を挙げればきりがないのだが、私がよく観察するポイントをまとめてみた。

  • 視覚:海の色や透明度 
    同じ青でも場所によってさまざまで、コバルトブルーやターコイズブルーなど、場所・季節・時間によってのさまざまな青が楽しめる。
  • 聴覚:波、鳥、遠くから聞こえる船の汽笛など
    その場所で何が聞こえるか?目をつぶって近くの音や遠くの音を感じてみる。
  • 触覚:砂の感触
    通常は危ないのでスニーカー推奨だが、何も漂流物が落ちていないきれいな砂浜の場合は裸足になるのもおすすめ。波打ち際に素足で立っているだけで、水が流れる感触や、足裏の砂が動く感触が感じられて心地良い。
  • 嗅覚:潮の香り
    潮の香りがすると、海の近くにいることを実感できワクワクする。

4.宝探し的楽しさがある

漂流物として、シーグラス・貝がら・サンゴ・流木・石・植物の種・木の実などが挙げられる。

自分が好きなものを探すワクワク感や、コレクションする楽しさがある。さらには持ち帰ったお気に入りをあとから見直して、旅行の思い出に浸れるのもいいところだ。

その時間、その場所にいなければ出会うことのなかった一期一会の漂流物との出会いは特別だ。

5.アートに昇華できる

シーグラス・貝がら・流木などをアートに昇華できる人もいる。私自身は残念ながらその心得はないが、流木をアート作品にして売っている友人もいる。

絵を描くのが得意な人は、拾ったものを絵にするのも素敵だと思う。

6.適度な運動になる

漂流物を探しながら歩くと時間を忘れて夢中になり、運動をしている意識をさほど感じない。体を動かすハードルがぐっと下がる気がする。またお気に入りを拾うときにしゃがんだり立ったりを繰り返すので、ただ歩くよりは運動量が多いと感じる。

◼️デメリット

1.日焼けに注意

夏はもちろんのこと、それ以外の季節でも日焼けに気をつけたい。持ち物にも書いたが、日焼け対策万全で臨みたい。

日焼け止めは塗るタイプやスプレータイプだと、気軽に塗り直しができる。

帽子はツバの広いタイプや、首の後ろをおおう布がついているタイプ、夏は暑いのでメッシュ素材で風通しが良いものを選ぶなど、自分にあった帽子を選ぼう。

風で飛ばされないよう、紐がついたタイプもおすすめだ。

2.採取してはいけないもの、持ち帰ってはいけないものがある

場所によっては、漂流物を持ち帰ってはいけない場合もあるため、各自治体のルールに従おう。

例 沖縄県庁のホームページ

3.足腰に負担がかかる

メリットには適度な運動になると記載したが、屈伸運動やしゃがんだままでの観察は、足腰に負担がかかる場合もある。ご自身の体調・体力と相談しながら無理のない範囲で楽しむようにしたい。

4.お目当てのものに出会えない

ビーチによっては、海藻や石しかなく、貝がらやシーグラスなどのお目当てのものは落ちてないかもしれない。そんなとき、私は他の楽しみも見つけるようにしている。

たとえば暑い時期はかき氷やアイスを、寒い時期はカフェラテをテイクアウトして海辺で飲んだり、お店がない場合は自動販売機で買ったりすることも。

お気に入りの飲み物を持参するのもおすすめ。お店とは違った開放感で3割増しでおいしく感じる気がする。

また、ビーチコーミングだけを目的にするのではなく、他の海のレジャーやイベントと合わせてビーチコーミングを楽しむと、お目当てのものに出会えないショックもやわらぐ気がする。

ひとりならではのメリット

  • 思い立ったら当日にでも行ける(友人を誘ったり、休みを合わせる必要がない)
  • 誰にもじゃまされないので五感が研ぎ澄まされる

ひとりならではのデメリット

  • 自分が写り込んだ写真が撮れない
    通りすがりの人に頼んだり、自撮り棒持参で撮ることで解決できる
  • 人の気配がないのは集中できるなど良い面もあるが、孤独感が増す可能性がある
    SNSに投稿したり、お店に入って店員さんと会話することで解決できる

ひとりビーチコーミングを実際にやってみた

1.竹富島 星砂の浜(カイジ浜)

※採取に関する注意:サンゴの採取はNG、星砂は常識の範囲内ならOK

撮影:小雪(この写真以降は全て小雪撮影)
  • 季節:夏
  • 服装:シュノーケリングと同じ服装(水着・ラッシュガード・ラッシュパンツ・タイツ・マリンシューズ)首の後ろが隠れる帽子(通気性の高いメッシュタイプ)・サングラス
  • 持ち物:軍手・ビニール袋

私のひとりビーチコーミングデビューは、竹富島の星砂の浜だった。竹富島は石垣島からフェリーで約15分。日帰りでも楽しめる離島だ。

星砂の浜でのお目当てはもちろん星砂。名前の通り星の形をした砂のことだが、正確には砂ではなく、甲虫類の殻だそう。

砂粒の大きさなので、探すのも根気がいるし、せっかく見つけた星砂をつかもうとしてもポロッと落ちて、他の砂と混ざってしまって悔しい思いをすることが多々あった。

探すコツは、手のひらにぎゅっと砂を押し付けて、手についた砂粒から探すこと。あとは岩場やぬれている場所を探すと見つかりやすい気がした(ちなみに星砂は売店でも売っていた)

そしてきれいな星砂の形をしているかが判断しにくいので、たまたま持っていた黒いメガネケースが役に立った。黒を背景に白い砂を見ると、一目瞭然で形がわかる。持ち運びするなら、ビニール袋よりジップのついた小袋があれば便利だと悟った。

ひとりで大粒の星砂を7粒見つけるのに1時間はかかった。事前にWebなどで予習してから探せばもっと効率が良かっただろうが、すぐに見つかるものだろうと思ったことと、自力で探したい気持ちを優先してしまった。熱中症に気をつけながら探したが、夢中になると時間を忘れてしまいがちだ。夏は特に注意したい。

2.黒島 仲本海岸

※採取に関する注意:サンゴの採取はNG。やどかりは種類によって、採取や持ち帰りが禁止のものもあるので注意が必要

*季節・服装・持ち物は、1.竹富島 星砂の浜(カイジ浜)と同じ

海藻・サンゴ・流木などがたくさん見つかるが、最初に目につくのはやどかりだ。きれいな貝が落ちているなと思って拾うと、中身が入っていたこともしょっちゅうで、貝がらの数よりやどかりの数の方が多いのではないかと思うほど。

サンゴも落ちているので、このサンゴの形はきれいなYの字だなとか、スッとのびたまっすぐな形は数字の1みたいで逆にレアだなとか、サンゴ1つをとっても深掘りして楽しめる。気付けば自分の世界に没頭している。

仲本海岸は夏に幾度となく訪れているが、ビーチコーミングにおすすめなのは朝だと思う。

朝は日差しも比較的やわらかく、日中に比べると暑さも落ち着いている。

人もほとんどいないのでビーチを独り占めできるし、声がしないので波の音を存分に楽しめる。波打ち際に立っていると、今こうやって波の存在にようやく気付いたけれど、実際は私が仕事をしているときも、寝ているときも、いつも絶え間なく寄せては返しているんだなと思う。

何の足跡だろう?朝いちだと、誰にも踏まれていないので足跡が見つりやすい

3.兵庫県 浜坂県民サンビーチ

  • 季節:秋
  • 服装:ウィンドブレーカー・厚手のスウェット・カーディガン・薄手のインナー・デニム・スニーカー(水に濡れても良いもの)首の後ろが隠れる帽子・サングラス
  • 持ち物:軍手・ビニール袋・ジップ付き袋・手ぬぐい

松葉カニ漁が解禁になった11月某日。1年に一度のお祭り、浜坂みなとカニ祭りに参加した。そのすぐそばに浜坂県民サンビーチがあったのでビーチコーミングしてみようと思い立った。

最初にビーチを見た瞬間、正直「あ、きょうは無理かも」と思った。

砂浜を見渡すかぎり、葉っぱと木くずと石しか落ちてないように見えた。きょうはお目当てのものに出会えないかもしれない。

毎年夏は沖縄の離島に行き、アクテビティと一緒にビーチコーミングをしていたので、貝がらやシーグラスやサンゴなど、探さなくても拾う対象物はたくさんあった。

でもせっかくだから、ちょっと歩いてみることにした。

子どもたちが波打ち際で遊んでいた。周りに大人の姿がなかったから、おそらく地元の子どもたちなのだろう。楽しそうな声を聞いていると、「何も拾えないかも」とがっかりしていた気持ちも上向きになった。

最初に見つけたのは木の実。そのあとは、いろんな形の木くず。ここまでは想定内。そのあとに見つけたのは砂浜に書かれたニコちゃんマーク。子どもたちが書いたのだろうか。

さらに歩いていると、透き通るような薄さの貝がらを発見。

貝がらがもっと見つかるかもしれないと、波打ち際ぎりぎりを歩くことにした。

本の数メートル移動しただけなのに、ざーっという波の音が近付き、足裏から伝わってくる砂の感触は、さらさらからねっとりと重くなった。

波打ち際には小石が敷き詰められていた。グレーや黒や茶色い小石が多い中、真っ白の石があって、きれいだなとぐっと目線を落として歩いていると、シーグラスが見つかった。

探せばあるんだと気付いたので、歩いて探すだけではなく、ときどき座って石を眺めていると、陶器のかけらや他のシーグラスも見つけることができた。どんどん視点がマクロになっていく

落ちているシーグラスの写真を撮っていたら、大きな波がきて足元がぬれてしまった。

帰りも同じ砂浜を歩いていたら、行きには見つけられなかったシーグラスを見つけることもできて、だんだん目が肥えてきたことがわかる。

今回に限って言えば、シーグラスや貝がらは波打ち際の小石にまざって落ちていることが多かった。

45分ほどの散策で見つけたお気に入りたちはこちら。

木の枝、木の実、松ぼっくり、浮き、シーグラス、真っ白な石、陶器のかけら、貝がら

最後には小さな花をみつけた。行きにはまったく気付かなかった花の存在。

こういう一期一会があるから、ビーチコーミングがやめられなくなるのかなと思った。

ビーチコーミングの懐の深さ

浜坂県民サンビーチを歩いているとき、“足るを知る”の言葉がふっと浮かんできた。

夏の透き通った青い海が好きで、きれいな貝がらやシーグラスやサンゴがいっぱい落ちている沖縄のようなビーチを好んでいたけど、海の楽しさは決してそれだけではないのかもしれない。

海で泳げなくても、天気が良くなくても、マクロで目を凝らせば良いところがたくさんある。

ふと自分の日常と今回のビーチを重ね合わせてしまい、足るを知るの目線で日常を振り返ってみようかなと思った。いつもと同じ毎日に思えても、きっと良いところが見つかるはずだ。

思考をめぐらせながら歩いて、今回のように新たな視点に気付くもよし、何も考えずに歩いて頭をからっぽにするもよし、ただひたすら漂流物探しに向き合うもよし、ビーチコーミングには一人ひとりにあった楽しみ方ができる懐の深さがある。それが最大の魅力かもしれないと思った。

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小雪

晴れた日は「こんな日にスキーしたいな」と思い、雨の日は「これが雪だったらな」と願うスキー愛好家。普段は会社員として働きながら、ライターとしてのパラレルキャリアをスタート。興味ある分野は離島(沖縄メイン)・旅行・グルメ・喫茶店など。