わたしは強度近視。普段はメガネをかけて過ごしている。ただ、遠くの距離が見える外出用のメガネは、パソコンのディスプレイなど近くを見るときには、度数が強すぎて目が疲れてしまう。そのため、昔使っていた弱い度数のメガネを仕事用として使っていた。ところがある日、仕事用のメガネのフレームが折れてしまう。
外出用のメガネでは、やはり目が疲れて仕事にならないため、新しいメガネを作りに行く。そのとき、店員さんに中近両用メガネを勧められたのだ。
わたしのこと
- 年齢:30代
- 性別:女
- 職業:ライター
- ライフスタイル:誰かと同居、インドア派、リモートワーク
15年間使っていた仕事用のメガネが壊れた
いつものようにメガネのフレームに手をかけると、小さくパキッと音を立てて、視界がぼやけた。メガネのフレームが折れたのだ。
わたしは、5m用視力検査表の一番大きなCの切れ目が見えない、視力0.1以下の強度近視だ。小学校2年生からメガネをかけはじめ、メガネ歴は約28年。29歳までじわじわと視力が落ちていき、30歳を過ぎたら視力の低下は落ち着いた。
そのため、普段はメガネをかけている。ただ、車の運転などに使う外出用のメガネは遠くが見やすいものの度数が強く、パソコンを使ったり本を読んだりすることには向いていない。長時間強い度数のメガネで手元を見ると疲れてしまうのだ。
わたしの仕事はライターなので、パソコンのディスプレイを長時間見ていられない状況は困る。なので、視力が落ちる前に使っていた弱い度数のメガネを、仕事用として使っていたのだ。15年は使っていたので、ついにフレームの寿命がきて折れてしまったのだろう。
メガネがないと何も見えないので、日常生活を送るのもままならない。仕方がないので、外出用のメガネをかけることにした。家事を行う分には問題がないものの、やはりパソコンのディスプレイを眺めると疲れてしまう。これでは仕事にならないので、あらためてパソコンを見るために、弱い度数に合わせたメガネを作ることにした。
新しいメガネを買おうとしたら、“中近両用メガネ”を勧められる
さっそく、メガネ屋に行って新しいフレームを選んだ。レンズの度数を決めるため、視力検査を店員さんにお願いする。「車の運転ができる度数に合わせたメガネを使うと、パソコンを使ったときに目が疲れてしまいます」「基本的に在宅ワークなので、たまに家事しつつ、パソコンも使える視力で調整してください」と説明した。
店員さんは、わたしの視力検査の結果と、持参した外出用メガネや壊れた仕事用メガネの度数を確認して、「お客様の使い方ですと、中近両用レンズを入れた中近両用メガネをおすすめします」と提案してきた。
中近両用レンズとは、1つのレンズで中距離から近距離までをカバーする多焦点レンズ。1つのレンズに2つの度数が設計されているので、視線を上下するだけで適切な視力に調整されるのだ。近視用レンズと老眼鏡を兼ね備えた遠近両用レンズの中近距離バージョン、というとピンとくるかもしれない。
中近両用レンズの場合、テレビ視聴や料理などの中距離を見る作業と、パソコンやスマートフォンを使う近距離を見る作業を、メガネをかけ変えることなく行える。オフィスワークや在宅ワークにぴったりのメガネなのだ。
そのかわり、遠距離を見ることには向いていないため、別に外出用のメガネが必要になる。わたしの場合、外出用の強い度数のメガネはすでに持っているので問題ない。
在宅ワークにぴったりのメガネとはいえ、中近両用レンズは、1つの度数に設計した単焦点レンズよりも価格が高くなってしまう。店員さんに提案されたとき、正直なところ、「今まで強い度数のメガネと弱い度数のメガネのかけ替えで対応できたから、中近両用メガネにする必要はないかな…」と思ってしまった。
しかし、強度近視のわたしにとってメガネは体の一部のようなもの。毎日使うものならば、少しでも快適に使えるものがいいだろう。それに、フレームが壊れたメガネは15年使っていたのだ。一度買ったらしばらく買い替えないだろうから、思い切って中近両用メガネを買うことにした。
中近両用メガネを使って過ごしてみたら、目が疲れにくくなった
中近両用レンズは特殊なレンズのため店舗に在庫がない。メガネを注文して届くまで、仕事中は壊れたフレームにセロハンテープを貼ってしのいだ。そして、心待ちにしていた中近両用メガネがやってきたのだ。
とある日の中近両用メガネを使った1日の行動を振り返ってみる。
朝起きて、中近両用メガネをかける。身支度から朝食の準備まで、中距離の範囲を問題なく見られる。その間スマートフォンを軽くチェックするときもあるが、近距離の範囲も疲れることなく見られた。
子どもの保育園の送迎は車で行うので、いったん外出用の強い度数のメガネを使う。
自宅に帰ると、中近両用メガネをかけて、パソコンや資料を眺めながら近距離の範囲で仕事をする。スケジュールにもよるが、仕事の途中でその日の夕食の準備をするときもある。そんなときも、メガネをかけ替えることなくキッチンに立ち、中距離の範囲を見て料理する。
わたしは自宅で過ごす時間が多いので、中距離と近距離の範囲で、見たいものに合わせた適切な視力で見られるのは予想以上に快適だった。無理にピントを合わせなくてもよくなったので、目が疲れにくくなったのだ。
中近両用メガネは、メガネをかけ替える時間と用意する時間を減らしてくれた
プライベートの時間に、テレビを観ながらスマートフォンをチェックするときも楽になった。
実は、以前使っていた家用のメガネは、パソコンを使うときはちょうど見やすい度数だったのだが、テレビの字幕を読むときは、度数が足りないため少しぼやけてしまったのである。そのため、ちゃんとテレビを観たいときは、外出用の強い度数のメガネをかける必要があった。
また、別のメガネを使いたいけど手元にないとき、取りに行くのもおっくうだ。だからといって、メガネをかけ替えないと、度数が合わない状態になり、後から目が疲れてしまうこともあった。
それが、中近両用メガネならば1本で済んでしまう。メガネをかけ替えること自体はささいな動作だが、1日のうちに何度も繰り返すのは地味に面倒である。中近両用メガネのおかげでメガネをかけ替える時間と、メガネを用意する時間が減ったので、日常のストレスも減ったのだ。
外出用の強い度数のメガネは、カバンの中に入れっぱなしにできるのもうれしい。車の中で仕事用のメガネからかけ替えようと思ったとき、「外出用のメガネをカバンに入れ忘れてしまった!」と気づくときもある。そのたびに車から部屋に戻るはめになっていたのだ。
イメージによる敬遠はやめて、新しいものにチャレンジしたら生活が快適になった
中近両用メガネを勧められた直後は、老眼鏡でもある遠近両用メガネのイメージがあり、多焦点レンズのメガネはまだ早いのでは?と思っていた。また、今まで単焦点のレンズで事足りていたので必要ないのでは?と断ろうとも考えていた。
でも、試しに使ってみたら、自宅を中心に過ごし中距離と近距離の範囲を行き来きする、自分のライフスタイルに合っていて快適だったのだ。目が疲れにくくなり、メガネをかけ替える時間と用意する時間が減ったのは大きな収穫である。
だからこそ、毎日使うアイテムはイメージによる敬遠はやめて、新しいものにチャレンジしてみたい。少しの勇気を持って取り入れることで、心地よい未来が待っているかもしれないから。