ひとりライブは怖くない!人生の半分以上アイドルオタクなわたしが学んだソロ参戦のススメ

ひとりでライブやコンサート、舞台などに行くこと。慣れてしまえば呼吸するかのように“推し活のいちスタンス”としてできる行動だけれど、初めは勇気が必要な人もきっといるだろう。

しかし、「ひとりで行くと浮いてしまって恥ずかしい思いをするのでは?」「周りがグループだと気まずくなりそう」と不安な方も、一歩踏み出せば「行ってよかった」と実感できるかもしれない。

「あのとき頑張って現地で見ておけば…」と後悔しないためにも、迷っているなら“ソロ参戦”という選択肢をぜひ検討してみてほしい。

25年以上アイドルを応援してきたわたしが学んだ、ひとりライブの楽しみ方やメリット、注意点などを紹介する。

わたしのこと

  • 年齢・性別:30代、女性
  • 職業:ライター、編集者
  • ライフスタイル:誰かと同居、インドア派、リモートワーク
  • 推し活歴:大手アイドル事務所所属のグループを応援(掛け持ち)/物心ついたときからオタク/FC会員歴は最長25年。

ひとりでライブに行くのは恥ずかしい?ソロ参戦を推す理由

ひとりライブとは、その名の通りひとりでライブに行くこと。「ソロ参戦」と表現する言葉もあるくらいで、実はさほど珍しいことでもないように思う。

「ライブ」の概念について

この記事では便宜上「ライブ」という言葉で統一するが、コンサートや舞台、ミュージカル、朗読劇、ファンイベントなども含め、とにかく「現場に行くこと(=その公演を現地で見ること)」全般を指す。

特に社会人になると予定を合わせにくい平日公演や、地方公演などに通う上では、どうしてもどこかのタイミングで「ひとりで行くしかなさそう」という場面に直面しやすくなる。現場に行く回数が多かったり、推し活への熱量が高かったりする人ほど、「人と予定が合わないけれど行くのは諦めたくない」となりがちではないだろうか。

「まだそこまで推してるわけじゃない」「気になってる段階で正式な担当じゃないしなぁ…」という方も、迷っているならぜひ行く方向で検討してみてほしい。というのも、SNSでもたびたび目にする「推しは推せるうちに推せ」という言葉、本当にその通りだと思うから。

わたしはいろいろなアイドルグループを応援してきたけれど、時にはメンバーが減ったり、活動休止になったり、名前や活動形態が変わってしまったりと「朝起きたら世界が変わっていた」ことがあった。

そのたびに子どもみたいに大泣きしながら、「あのとき見たパフォーマンスが最後だったんだ…」と、二度と戻らない瞬間に想いを馳せたものだ。

生身の人間を推している以上何が起こるかはわからないし、いわゆる2次元の作品だったとしても、この先もずっとそのコンテンツ(あえてこの言い方をさせてもらう)が続くとは限らない。

推し活する者、後悔することなかれ。

過去には二度と戻れないのだから、「多少無茶してでも行っておけばよかった」「なんでひとりだからって諦めたんだろう…」なんて思いをしてほしくないのだ。

ひとりライブへの不安を解消する方法

出典:Pixta

では、なぜひとりでライブに行くことを躊躇するのだろうか?「気まずい・ハードルが高い」と感じる理由は、「不安だから」ではないだろうか。主に考えられる理由を挙げてみた。

<ライブ本編が不安>

  • 周りから浮きそう
  • 初めて行くアーティストで空気感がわからない
  • C&R(コールアンドレスポンス)や振り付けができるか自信がない
  • 同担/推し被りが怖い

<準備や移動・宿泊が不安>

  • チケットの取り方/ファンクラブ(FC)の入り方がわからない
  • 会場への行き方や空き時間の過ごし方に困りそう
  • 地方で土地勘がなくて心配

逆に言えばこれらを解消できれば、きっと行く勇気が湧いてくるはずだ。

動画やファンのライブリポートで雰囲気をイメトレする

まず前提として、出演者のファン層にもよるが、体感上ひとりで来ている人は意外といる。

参考情報:ひとりライブについてのアンケート

くまたん商会(https://kumakumata.com/)」による「10代~50代の男女300人に聞いた!ライブに1人で参戦することは恥ずかしいのかアンケート調査(2023年)」では、有効回答300人(10代~50代の男女)中、ひとりで音楽ライブに行ったことがある人の数は287人と全体の9割以上だった。

そもそも現地まで公演を見に行く人は、そこに来るファンを見るために足を運ぶわけではないはずだ。お目当てのアーティストやアイドルなどに夢中になっている間は、周りのことなど気にしている余裕はない。

実際に現地がどんな雰囲気なのか想像できないときは、YouTubeやInstagram、TikTokなどでライブの様子が配信されていれば、一度見てみるとイメージを掴めるかもしれない。ブログやSNSなどで参戦レポを上げている人も多いから、ファンの空気感を参考にしよう。

大手事務所のアイドルならコンサートDVDが発売されていることも多いので、過去の曲の履修がてらチェックしてみるのもおすすめ。見ていくうちに、自然と振り付けやコールアンドレスポンス、曲ごとのノリなども頭に入ってくる。

チケットの手配方法や会場での動き方を予習する

チケットの取り方はアーティストや公演の種類によっても異なるから、初めてライブに行く人だとどうしたらいいかわかりにくいかもしれない。いつもはファンクラブから申し込む人も、大型フェスや外部主催のイベントへの出演だと勝手が違うこともあるだろう。

周りに経験者がいれば聞いてみるか、SNSでファン同士のコミュニティに入って教えを請うのもいい。会場での困りごとはスタッフに聞けば大抵の場合は案内してもらえる。地方への移動や宿泊が伴うときは、下調べして不安を潰しておこう。

とはいえ、わたしも初めてのライブは家族に連れて行ってもらったから、どうしても不安が拭えない場合は、最初の一回は誰かについてきてもらうのもありだと思う。そうして自信がついたらひとりライブにチャレンジする、という順番だっていい

ひとりでライブに行くメリットと楽しみ方

出典:Pixta

そもそも、ひとりでライブに行くことで何かいいことはあるのだろうか?思いつく限り挙げてみた。

  • 同行者に気を使わなくていい
  • 公演内容や自担(推し)のパフォーマンスに集中できる
  • 感動して泣いても気まずくならない
  • 周りにファン友達や熱量が同じ人がいなくても現場を諦めなくて済む
  • 応援スタンスの違いで揉めない
  • チケットの座席を自分の好みで選べる
  • 自分の好きなスケジュールを組める
  • 遠征時も交通費や宿泊費・飲食費などの予算を調整できる

自分のペースで行動できる

基本的におひとりさま行動の場合、同行者に合わせず自分のペースで動けるのが大きなメリット。公演日によって曲目や対バン相手、出演キャストなどが変わるステージの場合、自分の好みだけを考慮して日程を選べるのも強い。

公演中は誰かと一緒だと曲間に感想や感情を共有する瞬間があるかもしれないけれど、ひとりならそれもないので、逆にその公演だけに集中できる。応援スタンスによっては、推しが違う友人と一緒に入るとお互い自分の推ししか見ていないせいで感想がまったく噛み合わないこともあるが、ひとりならそのようなことも起こらない。

移動や宿泊・食事内容で揉めない

また、遠征する場合はプラン立てや旅程において価値観が違うと揉める原因になりがち。「せっかくなら観光したい」「現地の料理を楽しみたい」タイプの人と、最小限の行動で食事もチェーン店で構わないタイプの人が一緒に過ごすには、どちらかが合わせる必要があるからだ。

移動手段も同じで、新幹線で余裕をもって行きたい人と夜行バスで安く済ませたい人がいるし、ホテルもある程度の質を担保したい人とカプセルタイプで構わない人がいる。

実際、わたしも友人と行き帰りや宿泊先、チケットの手配などをすべて別にして、現地の会場周りで会ったり夜の打ち上げ(食事)だけ一緒に行ったりしたことがある。無理せず、自分が過ごしやすいように振る舞っても疎遠にならない友人とだけ仲良くしたっていいのだ。

ひとりライブのメリットは、自由度の高さにある。

ひとり参戦するときのデメリットと解消法

反対に、ひとりライブで感じるデメリットもいくつかある。あらかじめ対策できるものがあれば準備しておこう。

  • 感動や興奮をその場で共有できない
  • ファンサをもらったときに喜びを受け止めきれない
  • 声出し(コールアンドレスポンス)や歌うときに抵抗がある
  • グッズやドリンクの購入など分担して行動できない
  • グッズ列が長くなっても途中抜けしにくい
  • 席を離れるときに荷物を置いて行けない(盗難リスクが上がる)
  • 体調不良や予期せぬトラブルにひとりで対処する場面がある

まず感情の共有については、SNSを活用するのが解決策になる。日程が合わなくて一緒に行けなかった友人がいれば、電話やメッセージアプリなどで連絡してみるのもいい。ライブの席が別でも、お互いにひとり参戦する仲間がいれば、公演の前後だけ協力して行動する手もある。

公演中に出演者から「一緒に歌って!」「〇〇と言って!」など煽られたときは、ひとりだと声を出すのに躊躇するかもしれないが、周りがみんなノッていれば意外と自然に溶け込めるから大丈夫。

当日の睡眠はしっかり取って、体調は万全に。想定外のアクシデントに備えるには、早めの行動を心がけるのがポイント。次で紹介する注意点も踏まえて、余裕をもったスケジュールを組むのがおすすめだ。

ひとりライブで失敗しないための注意点

ソロ参戦だからこそ気をつけたいのは、記憶違いや忘れ物など。特にリカバリーが効かないチケットについては慎重に管理したい。いくつか注意点を記載する。

  • 公演日の覚え間違いをしていないか何度も確認する
  • 遠征する場合は予約内容を確認する(交通機関、宿泊先など)
  • 当日は時間に余裕をもって行動する
  • 忘れ物に注意する(チケット、スマホ、身分証、貴重品など)
  • 事前発券のチケットは家から行きやすい場所で発券する
  • 貴重品の管理を徹底する
  • ファン同士で不用意に連絡先を交換しない

公演前の注意点

いちばん後悔すると断言できるのが、入れるはずの公演に入れなくなってしまうこと。自分でもまさかと思うミスが起こることはあるので、日付間違い、昼・夜の時間間違い、会場間違いには注意!複数公演に入る場合は、別日のチケットを持っていないか慎重に確認しよう。

電子ではなく物理チケットの場合は、家を出た瞬間や電車に乗った瞬間など、必ず手元にあるかチェック。同行者がいないからこそ、自分で確認するタイミングを作ることが大事だ。

またこれはソロ参戦に限らないが、事前の発券が必要なものは万が一の中止や返金に備えて、自宅から再度行ける範囲の場所で発券しよう。電子の場合はあらかじめアプリをダウンロードしてスクショもしておくなど、通信障害に備えるのがいい。

飛行機や船・新幹線を使う場合は、天気予報や運行情報に注意。電車が遅れたり、交通機関が止まったりした場合の迂回路を想定しておくと安心できるだろう。遠い土地へ行くなら前乗りもおすすめだ。

公演中〜公演後の注意点

公演中は、夢中になると足元や背中に意識がいかなくなる。スタンディングの場合は荷物を預け、椅子がある場合もカバンを放置して前を見ていると盗難リスクがあるので、貴重品は常に見える場所に置いておこう。公演中にトイレに行くときも、荷物を持ち歩くようにしたい。

わたしの実体験からの注意事項としては、終わったあとテンションが上がりすぎて、不用意に連絡先やSNSのアカウントを交換してしまうことがあった。その場では楽しく話せていたけれど、結局は連絡を取らなくなったり、応援スタンスやメンバーへの考え方などが合わなかったりして、フェードアウトの仕方に困ることに…。

もちろん仲良くなれる場合もあるのでそれもご縁だけれど、ノリだけで繋がると後悔するケースがあることは留意しておいてもよさそう。

ひとりライブは楽しい!迷うなら思い切ってソロ参戦してみよう

ひとりでライブに行く人は珍しくないし、おひとりさま文化が浸透してきている日本では特別に恥ずかしいことでもない。現場に行くと、ひとりで来ている人の年代もさまざまなので「おばさんだから…」とか「男ひとりだと…」などと気後れしなくてもいいと思う。

それに、一緒に行く人がいないからという理由で本当は行きたい公演をスルーしてしまうと、そのアーティストやアイドルにハマればハマるほど「あのとき現地で見ておけばよかった…」と数年単位でずっと後悔することになるかもしれない。

わたしは高校生のときからソロ参戦していて、30代になった今でも平日にサクッとライブや舞台のチケットを取って観に行くことがある。むしろ大人になったからこそ、誰かと予定を合わせることなく好きなステージを観られるのはおひとりさまのメリットだ。

ちなみにシステム上の都合なのか単なる運なのかはわからないが、わたしの経験では、座席がランダムの公演では入退場しやすい通路側の席に割り振られることも多かった(個人的にはソロ活のおかげだと思っている)。

いざやってみたら、今回の記事では紹介しきれなかったメリットに出会えることもあるはず。気兼ねなく入れるひとりライブのよさを知って、ぜひ一歩踏み出してもらえたらうれしい。

織詠 夏葉

おりえ なつは。暮らしのメディア、おでかけメディアにてライターを務める。約3年間エディターやコンテンツディレクターとして稼働し、個人でも執筆活動を開始。映画や音楽、ファッション、雑貨、香水、推し活などに広く浅く興味津々。