日が暮れると、祭囃子が聞こえる季節になった。
笛や太鼓、鉦の音などに合わせて、「ソーレ!!」といった掛け声も聞こえてくる。近所で一年に一度開催される大きなお祭り。その本番に向けて、練習をしているのだろう。
そんな祭囃子を聞いていると、「もうすぐだな〜」と胸が昂ってくる。お祭り当日はさまざまな屋台がひしめき合い、何万発もの花火が打ち上げられる。いつも過ごしている街一帯が煌びやかに賑わう様子は、非日常感があって心が躍る。
浴衣デートに何度も誘われるものの…
浴衣を着てお祭りへ向かう人たちを見かけると、いつも以前お付き合いをしていた女性のことを思い出す。彼女は「浴衣デートがしたい!!」としきりに言っていた。
その度にぼくは「浴衣で出歩くのは恥ずかしいから嫌だ!!」と断っていたと思う。「え〜、絶対似合うのに」と彼女はぼくをおだてたが、首を縦に振ったことはなかった。
恥ずかしいという理由の他にも頑なに断っていたのは、疲れるからという理由もある。浴衣に合わせる靴は基本的には下駄。お祭りでは屋台を巡ったり、花火を見る場所を探したりするのに、かなり歩き回る。
ただでさえ人が多く疲れるのに、履き慣れていない下駄だと、疲れは倍増する。楽しいはずのデートなのに、「早く帰りたい」と思ってしまうのは悲しい。そんなふうに考え、彼女の提案を断っていたのだ。
いまは、「そんなつまらないことを言わずに、浴衣デートをすればよかったなぁ」と後悔の念に駆られている。お祭りには一年に一度行くかどうか。結婚もしていなければ、パートナーもいない自分からすれば、浴衣デートなんて憧れのものだ。
雲の上を歩くような浮遊感を味わえる雪駄スニーカー
いつかまた誰かに「浴衣デートがしたい!!」と言ってもらえたなら、躊躇なく「いいね!!」と言いたい。でも、疲れてせっかくのデートが楽しめなくなるのではないかという心配はやはりある。
そんなぼくのような人間にぴったりの商品を見つけた。雪駄スニーカー『unda-雲駄-(ウンダ)』である。“日本の伝統×最新技術”をコンセプトに、日本の伝統製品を現代のライフスタイルに合わせて再構築してきた「goyemon(ゴヱモン)」というブランドが販売している商品だ。

2025年7月には、『unda-雲駄-』の新作である『unda HOVER(ウンダ ホバー)』が販売開始された。
『unda-雲駄-』の最大の特徴は、名前の通り雲の上を歩くような柔らかい履き心地なんだそう。『unda HOVER』では空気を入れたクッション構造を持つ薄型のクリアソールで靴底全体を覆っており、伝統的で雪駄らしい佇まいでありながら浮遊感のあるデザインとなっている。

そもそも雪駄と下駄の違いすら知らなかったのだが、素材や形に違いはあるものの、現代では浴衣に合わせる分にはどちらでも問題はないらしい。
カラーは、BLACK・WHITE・SUMIの3色展開。どれもシンプルで、浴衣だけではなく、普段着にもいろいろと合わせやすそうだ。
いざというときのために履き慣れておきたい
そういえば以前、マラソン大会に出るために反発性の高いスニーカーを買って、初めて履いたときに、「なんだこの浮遊感は…!」と感動したことがあった。どこまでも走っていけそうなほど、足への負担が少ないように感じた。
『unda HOVER』は雪駄でありながら、そんなスニーカーの機能性もあるというのだから惹かれる。それにお祭り以外のときにも気軽に履けそうだし、履きなれておけば、いざ「浴衣デート」に誘われたときにも躊躇しないだろう。きっと最後まで屋台も花火も、存分に楽しむことができるはずだ。
ちょうど長年愛用していたストラップサンダルのソールがかなり削れてきていて、買い換えようかなと思っていたので、これはいい機会かもしれない。前向きに検討してみよう。