我が家の“無理をしない”家事

家事。それは一生終わることのないルーティンである。

もちろん、家事から逃避し続けることも可能だ。けれど、その結果、私たち夫婦は帰りたくない“汚部屋”を生んでしまった。

10年を過ごした汚部屋を離れ、新居に引っ越したのは去年のこと。「今度は心地よく暮らすぞ!」と決意し、夫婦で家事と向き合い、今のところ満足のいく過ごし方ができている。

家事を、無理のない形で生活に取り込むこと。そして、夫婦で感謝の気持ちを伝え合うこと。これによって、我が家は変わることができたように思う。

汚部屋との決別

学生の頃、授業で先生が話してくれた“割れ窓理論”が、強く印象に残っている。1枚の割れた窓ガラスを放置していると、次第に他の窓ガラスも割られていき、建物が荒れ、やがては地域の荒廃にまで繋がっていく。

去年まで住んでいた我が家も、そんな状況にあった。平日は夫婦ともに仕事。休日になれば朝から晩まで外で遊び、家事に手をつけないまま月曜を迎える。後で片付けようと思っていた服が積み重なり、気づけば床には服の山が。テーブルは書類や本で埋まっていき、食事をするスペースがない。トイレや浴室も、もはやどこから掃除に手をつけていいかわからない状況。

家に帰るのが嫌だった。部屋で過ごしていると、気持ちが暗くなった。毎日、「全部リセットしたい! ピカピカの部屋で、一からやり直したい!」と思っていた。

それが叶ったのが、去年の10月のこと。妊娠をきっかけに、新居へ引っ越したのだ。

もう、同じ轍は踏むまい。新しい家を、ホテルのような、カフェのような、心地のよい空間にしたい。割れた窓はすぐに直す。そのためには、どのように家事と向き合えばいいだろうか。

今更ながら掃除のやり方などを調べ、夫とも話し合いながら、新居ではある程度、家事のルール作りをした。ただし、肝は“無理せず、ゆるくやる”こと。これから何年も住む家なのだから、息切れすることのないように。継続することが何よりも大事だ。

我が家の“ゆるい”家事ルール

出典:PIXTA

そもそも、家事とは何を指すのか。定義は人によって違うかもしれない。我が家では、次のものを家事だと捉えている。

  • 洗濯
  • 掃除(掃除機がけ、トイレ掃除、お風呂掃除、キッチン掃除、洗面台掃除など)
  • 片付け(ものをあるべき場所に戻す。お皿洗いや洗濯物の片付けなども含む)

料理や買い出しは、私たち夫婦にとっては半分遊びのようなものだから、家事には含めていない。

このことを前提に、いくつかの家事は決まったルーティンで進めることにした。

日々の家事

ほぼ毎日やるもの。

  • 洗濯(私、ときどき夫)
  • 洗濯物の片付け(各々)
  • 食器洗い(夫、ときどき私)
  • ゴミまとめ・ゴミ出し(夫)

週1の家事

原則、毎週土曜日の午前中に、夫婦で分担して進めるもの。

  • 掃除機がけ(私)
  • 洗面台掃除(私)
  • トイレ掃除(夫)
  • キッチン掃除(夫)

ただ、ルーティンも担当も、“絶対”にはしない。“絶対”にするから辛くなる。土曜の朝に予定があれば次の日に回してもいいし、なんなら1週間ぐらいは飛ばしてもいい。また、夫が忙しそうであれば私がトイレ掃除をするし、逆に夫が掃除機をかけることだってある。

なお、ルーティンに組み込まれていない家事(お風呂掃除、フィルター類の交換など)は、気になったときに気になった人がやることにしている。

人によっては、「これしかやらないの?」と思うかもしれないけれど、家庭内で「ここまでやるべき」の基準が揃っていさえすればいい。夫と衛生観念がほぼ同じなのは、幸いだったと言えよう。

夫婦で暮らしに向き合う

撮影:東樹詩織

共働きの我が家の場合、「家事は夫婦で協力し合ってやるものだ」という認識がお互いにある。私は現在、育休を取っているけれど、生まれた時間はあくまでも育児のためのものであり、家事のためではない。

協力し合う、といったときに、最初から“平等”を目指しすぎると大変だ。分担をきっちり決めて、それが履行されているかお互いにチェックし合う、みたいなことは避けたい。

「自分が少し多くやる」という気持ちが、結果的に負担の平等を叶えると思う。率先して何かをしてもらえたら、「自分もしてあげたい」と思えるものだから。お互いにそうやって“お返し”を意識していくと、いい循環に入る。加えて、どんなに小さなことであっても、進んで家事をしてくれた相手に感謝の言葉を伝えるのが大事だ。

また、夫婦で「こんな家に暮らしたい」というビジョンを描くことが、家事のモチベーション維持につながる。「理想の空間を作る」という共通のゴールがあれば、家事はただの面倒な日課ではなく、目標達成に向けた共同作業になるのだ。

我が家でも、「このテーブルの散らかり具合はカフェっぽくないから片付けるね」「洗面台がピカピカでホテルライクになった!」などと、理想の空間を意識することで、共に率先して家事を進められている。

家事の味方

撮影:東樹詩織

家事へのハードルを下げられるように、手間はできるだけ減らしたい。それを叶えてくれているのは、やはり“新三種の神器”に含まれるドラム式洗濯機と食洗機だ。機械の中に入れるだけですべてが完結する、という魔法は、一度体験してしまったらもう離れられない。

ただ、新三種の神器のひとつであるロボット掃除機だけは、まだ導入していない。家が狭いこと、犬がいること(ロボット掃除機に吠えそう)などが理由で、今のところコードレス掃除機でも十分かな、と思っている。

使っている掃除機は、Web上で高評価の口コミが多かったMakitaのCL108だ。とにかく軽いところがいい。取り回しが楽だと、掃除機がけの億劫さが軽減されるどころか、楽しいとすら思える。吸引力も十分。

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また、新居で新たに取り入れて気に入っているのは、シンクを洗うためのスポンジだ。汚れを見つけ次第、すぐにスポンジでこするようにすれば、常にシンクの“きれい”を保てる。使っているのは、marnaのスポンジ「POCO」だ。吸盤でシンクに取り付けられて、デザインもかわいいので悪目立ちしない。我が家では、キッチンと洗面所で使っている。

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おわりに

家事は、“やらなければいけないこと”だけれど、同時に、住みよい空間を家族と共に作っていく行為でもある。家事を終えて、自分の理想に限りなく近い部屋を眺めたときの満足感は格別だ。無理はしすぎず、日々ポジティブな気持ちで家事と向き合っていたい。

東樹詩織

食や旅の領域でPR・ブランディングに携わる傍ら、執筆活動を行う。アートと本にのめり込み、「as human footprints」名義でZINE出版を開始。写真と動画の撮影・編集も。最近の関心事は、アジア各国のカルチャー、映画、海外文学、批評、3DCG、AI。キャンプ好きが高じて、東京↔︎信州・上田で2拠点生活中。