人生初のオールインワンに冬でも暖かいリトアニアリネン【2025年買ってよかったファッションアイテム】

2025年も残りわずか。この時期になると“今年買ってよかったモノ”をよく目にする。毎年購入したモノを振り返ってみるものの、意外と思い出せないことが多い。でも今年は違う。「これだ」と即答できる買い物があった。そんな3つの出会いを紹介したい。

人生初のオールインワン

撮影:小雪

LAILAH 『デパタVネックオールインワン(コットンヘンプ)』

出会いは偶然だった。
「洋服を買いに行くからつきあってほしい」と後輩に言われ、いいよーと軽い返事でついて行ったのが始まりだった。お店に入った瞬間、「あ、好きな感じ」と思った。仕立てのよさそうな洋服が美しく並んでいる。主張が激しすぎない優しい色合い、凛とした佇まい。

後輩が試着をしている間、並んだ洋服を見ていた。シンプルだけど少しデザインが効いていてどれも素敵だった。
ふと、ある1着に目が留まった。黒のオールインワンだ。形がすっきりしていて、後ろのリボンがかわいい。しばらく見つめていたが「オールインワンは似合わないしな」と思い、違う洋服を見て回った。

実際に生地に触れてみると、どれも心地よい。オーガニックコットンやシルク、リネンを使っているのだそう。それに1着1着微妙に色が違っている。同じ赤でもパキッとした赤だったり、オレンジが混ざった朱色に近い色だったり。青でも紫がかっていたり、緑が強かったりする。
その理由は「アーユルヴェーダに使われるメディカルハーブや樹木で手染めしているからだ」と教えてもらった。気に入った色味があれば買わないと、二度と同じ色には出会えないかもしれない。まさに一期一会。

洋服はスリランカのアトリエで作られているとのこと。
そして何より驚いたのは、1着の服を何人かで分業して縫うのではなく、ひとりで丁寧に縫い上げている点だ。どれだけ時間をかけて、心をこめて作られているかがわかる。
行ったこともないスリランカを急に身近に感じられたし、なによりそんな素敵な服をまとってみたいと思った。

作った方のサインがタグの中に!

早速気になっていたオールインワンを試着してみた。デザインのせいか子どもっぽくならずに、きれいめにも着られる。まさに大人のオールインワン。光沢感のないざらっとしたリネンの素材も私に合っている気がする。後輩も「すごく似合ってる!」と写真を撮ってくれた。

スイッチが入ってしまった。そこから気になった洋服をいくつも着た。最初は「どんどん試着したら?」と後輩に言っていたのに、そのうちひとつしかない試着室を奪い合うまでに。ただの付き添いのはずだったのに…

試着のたびに写真を撮ってもらったが、オールインワンを着たときがいちばん良い笑顔だった。高揚感がそのまま写真に映ったよう。嬉しくて購入してしまった。

あまりにも気に入って、夏はこればかり着ていた。
似合っていると言われることも多かったが、何より自分がいちばん嬉しかった。出会うべくして出会った、運命の出会いだった。

冬でも暖かいリネンストール

撮影:小雪

Kameli apartment 『リネンストール』

毎年訪れている八重山諸島・黒島に『Kameli apartment Gallery』という新しいお店ができた。滞在中、ちょうどギャラリーのオープン日と重なったので足を運んでみた。
扉を開けると、黒島にいることを忘れるほどシックで落ち着いた空間が広がっていた。ラグ、ストール、バッグなど布ものを中心に店主がセレクトしたアイテムが並び、中央に置かれた織り機が静かな存在感を放っていた。

最初は玄関用にラグがほしいと思っていた。でもラグだと使う頻度が少なくて活かしきれないと思い直し、毎日使えるストールを見ることに。グレーと白のウール混のストールを巻いてみたものの、ブランケットサイズだったので私には大きすぎた。
次に白いストールを巻いてみる。「リトアニアで手織りされたリネンなんですよ」と言われ、リトアニアのリネンって初めて聞いたなと思う。ざらっとした感触はリネンそのものだが、肉厚なわりに柔らかく、巻くと自然に体に沿ってくれる。手織りであるゆえんだという。

しっかりとした編み目

購入の決め手となったのは「このストールは冬でも暖かいんですよ」という言葉だ。え、リネンなのに暖かい?リネンは大好きでいろいろ持っているが、全て夏用だし、夏に快適に過ごせる素材だと思っていた。

ヨーロッパの寒冷地で栽培されるフラックスという植物から作られたリネンは、ラミーやヘンプと違って夏は涼しく冬は暖かい特性があるらしい。本当なのだろうか、私はどうしても試してみたくなった。しかも使い込むとシルクのような光沢が出てきて、10年後がいちばん美しい状態になるとのこと。これはもう、買って試さなければならない。

手前がフラックス。奥も麻だが質感が違う

さらにリネンは繊維の成分により汚れが落ちやすく、水のみでも汚れが落ち、しかも洗うごとに強度が高まるという。白は汚れると敬遠していたが、迷いがなくなった。もう買うしかない。
真夏の黒島で、早く冬にならないかな、と真逆の季節を想った。

そして寒い季節がやってきた。ぐるぐる巻くと空気の層ができるので暖かい。
外は寒いが屋内に入ると暖かいことも多いので、冬の日常使いにぴったりだ。暑がりの私は、カシミヤでは暑すぎることもあるが、このストールはちょうど良い。まるで私の適温を知っているかのよう。

また160センチ×60センチの大きさも良い。肩にかけたり、マフラーのように首に巻いたりといろいろな着こなしができる。旅行に持って行ったときは、1枚で雰囲気を変えられて重宝した。

そして何より、冬の白はとびきりかわいい。白は顔映りが良いので鏡を見たり、写真を撮るたびにちょっと嬉しくなる。

スキーのときはこれ一択のボトムス

撮影:小雪

MINIMALIGHT 『ORDINARY PANTS W』

スキーが趣味で、冬になると北の地を何度も訪れる。年に7回ほどの旅支度はいつも悩みの種だ。気温差に備えれば服は増え、色合わせまで考えると途方に暮れてしまう。

この悩みを解消すべく考えたのが、ボトムスは毎回同じにする作戦。トップスだけ変えて、コーディネートを考える時間を短縮するねらいだ。

・雪道を歩くためブーツは必須。できれば裾はブーツインしやすい方が良い
・スキニータイプだと足の太さがまるわかりなので、太ももにゆとりがほしい
・どんなトップスの色でも合わせられる黒

以上の願いを叶えてくれたのが、このパンツなのだ。

ORDINARY PANTS』の存在を知ったのは10ヶ月くらい前だった。たまたまSNSで発見し、MINIMALIGHTの製品だったので興味を持った。というのも、現在MINIMALIGHTの財布を使っていて、とても使い勝手が良いからだ。“最低限の要素から、最大限の軽さと使いやすさを引き出す”のコンセプト通り、コンパクトながらも必要な機能が備わっている。

ただ、『ORDINARY PANTS』はその時点で売り切れ。そもそも取り扱い店舗が近くにないため、試着がままならない。イベントに出展する機会を狙って試着をしたところ、履き心地がとてもよかった。そこから販売開始まで待って購入するまで10ヶ月。長い道のりだった。

希望通り、太ももにゆとりのあるテーパードタイプ。ブーツインもスムーズ。
山用のハイキングパンツというだけあって、ストレッチが4方向に入っているから履いていて全くストレスがない。ポケットが4個ある(2個はファスナー付き)のも使いやすい。見た目もすっきりしていて、まさに機能美ここに極まれりだ。

ただのテーパードタイプのパンツなら他にもあるだろう。でもこのパンツが欲しかった最大の理由は“撥水性、防風性、透湿性、防シワ性を持ち合わせた二重織多機能素材、STORM FLEECEを使用しています”とWebに書かれていたから。特に惹かれたのが透湿素材。雨風などの外気はシャットアウトしつつ、内側の汗などの水蒸気は外に出す素材で、屋内外の気温差を快適に過ごすために欠かせない。

起毛していてしっかり暖かいのに屋内では暑苦しくない。しかも水を弾いてくれる撥水機能もあるので、雪がついたあとでもサラサラ快適だそう。もうすぐ始まるスキーシーズンで試すのが楽しみだ。

3つに共通する基準とは?

“今年買ってよかったモノ”を決めるにあたって、自分なりの判断基準を考えてみた。

  • 素材の心地よさ、快適さ(リネン・透湿性)
  • 作り手やバイヤーから直接話が聞けたこと(物の価値やストーリーがわかる)
  • 今まで持っていない(オールインワン・冬のリネン)
  • マイナス面をプラスに変えてくれ、価値観が変わる
     似合わないと思い込んでいた→似合うオールインワンに出会った
     白は汚れる→汚れが落ちやすく気軽に洗える
     コーディネートに悩む→1本で着回せるアイテムを買う

3つとも安い買い物ではなかったが、使うたびに幸せを感じるし、確かな満足感がある。この基準さえ押さえていれば、高価なモノでも後悔しない。そう思えたことが、これからの買い物の指針になったし、安心感にもつながった。これからも自分の基準を大切に、買い物を存分に楽しみたい。

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執筆:風音さん
執筆:織詠夏葉さん

小雪

会社員として働きながら、いつかはライター専業になりたいともっぱら奮闘中。興味ある分野は旅行・グルメ・喫茶店など。