仕事で行き詰まったとき、仲のいい友だちと距離を感じたとき、家族に少し言い過ぎちゃったとき…。モヤモヤを抱えたまま、空を見上げたことはないだろうか?
そんなすっきりしない気分のときにおすすめしたいのが飛行機鑑賞だ。
飛行機鑑賞というと、飛行機の写真を撮りまくっている人や頻繁に乗っている人などを思い浮かべがちだが、そんなガチ勢だけではない。
飛行機鑑賞ゆるふわ勢の、わたしなりの楽しみ方をお伝えしたい。

わたしのこと
- 年齢:40代
- 性別:女
- 職業:会社員(ときどきライター)
- ライフスタイル:誰かと同居、アウトドア派、出社、夜型
ひとり飛行機鑑賞はこんな人におすすめ
- 飛行機が好きな人
- 出張・旅行が多い人
- 空を眺めるのが好きな人
- 写真や動画を撮るのが好きな人
- ひとり時間をのんびり楽しみたい人
- 空港の雰囲気が好きな人
- 非日常を味わいたい人
ちょっとモヤモヤしているとき、空を突っ切る飛行機を見かけると「どこに向かっているのかな」「わたしもどこか遠くに行きたいな」と、しばし現実逃避モードに入る。そうするとなんとなく気持ちが晴れて、悩んでいたことも「まぁ、そんなときもあるか」とふっきれるのが、わたしのお決まりのパターンだ。
元気なときも、悲しいときも、飛行機を見るだけで、日常を飛び出せるような感覚を味わえる。「飛行機鑑賞」と書くとハードルが高いかもしれないけれど、わたしのように「空港の雰囲気が好き」「飛行機の形が好き」くらいのゆるいスタンスでも充分楽しめるのだ。
飛行機鑑賞のためだけに出かけるのはちょっと…という方も、出張や旅行の機会には、ぜひ飛行機を利用してついでに鑑賞してほしい。特に出張の際は、待ち時間や乗り継ぎの間にぼんやりと飛行機を眺めるだけでも気持ちが切り替えられる。思考がクリアになって、仕事のアイデアも浮かんできそうな気がする。
乗らなくても見られる!ひとり飛行機鑑賞スポット
飛行機に乗らなくても飛行機を眺められる、ひとり飛行機鑑賞におすすめのスポットを紹介する。
- 飛行機が見えるカフェ
- 空港内の展望デッキ
- 近くの公園や広場
飛行機が見えるカフェ
カフェでの飛行機鑑賞なら、ひとりでも時間を持て余すことはない。ぼんやり考え事をしながら飛行機を眺めるのもいいし、テレワークをしてパソコンから目を上げたときに飛行機が見えれば気分転換にもなる。
ちなみにわたしは飛んでいる飛行機を見ると万能感を感じるので、「飛行機鑑賞できる環境なら、きっと仕事もはかどる」と信じているふしがある。
近くの公園や広場
空港近くの公園や広場などで、のんびりするついでの飛行機鑑賞もおすすめ。陽の光や風を感じながら、本を読んだり、コーヒーを飲んだり。時折エンジン音が聞こえたら、空に目をやって飛行機を眺める。
飛行機が飛び立つのを見て、行き先を想像するだけでワクワクするし、「次はどこに行こうかな」と、次の旅行に思いを馳せるのも楽しい時間だ。
空港内の展望デッキ
空港内の展望デッキは、まさに“飛行機を鑑賞するための場所”。

離着陸を間近で見るので、迫力たっぷりの飛行機鑑賞ができるのが最大の魅力だ。昼は見晴らしがよく、夜はライトアップされているデッキも多いので、気分転換もできる非日常的な空間が広がっている。
航空会社や機種によって変わるデザインもしっかり観察できるし、運がよければ特別に塗装された飛行機を楽しむこともできる。
ひとり飛行機鑑賞におすすめの空港
飛行機はもちろん、空港そのものも非常に魅力的な場所だ。旅行の目的地を空港にする人も少なくない。
空港の魅力を語り出したらキリがないが、代表的なものは以下だと思っている。
- もちろん飛行機が間近で見られる
- ご当地グルメ・お土産を堪能できる
- その土地ごとの空港の特色を感じられる
- 展望デッキからの景色で四季を感じられる
今回はわたしが行った、個人的におすすめの空港を4つ紹介したい。
【下地島空港】17エンドで知られる絶景と島時間を楽しむ

宮古島にある下地島空港。その近くにある17エンドは飛行機の離着陸を近くで見ることができる、飛行機好きなら一度は訪れてみたい場所だ。
エメラルドグリーンの海と長く伸びる桟橋だけでも充分美しいが、そこに飛行機が加わることで他にはない絶景を堪能できる。その景観ゆえに、飛行機好き以外にも多くの人が訪れる観光スポットだ。
飛行機が頭上をかすめるように飛ぶため、その大きさや音にただただ圧倒される。
ただ、フライトの本数が限られるため、飛行機が必ず見たい人は、事前に時間を調べていこう。
わたしが行ったときは曇っていたため、青い空と海との美しいコントラストを写真におさめることができなくて残念だった。天候に左右されることもあるし、飛行機が見られない時間帯もあるが、それでも17エンドは行く価値があると思う。
また、17エンドの近くにはピーチもあり、真っ白な砂浜と透明度抜群の海を楽しむことができる。海で泳ぎながら、迫力ある飛行機を間近で楽しめる機会はそう多くないのではないだろうか。

満潮時にはビーチがなくなってしまうので、干潮の時間を調べていくのがおすすめ。また、周辺は日差しを遮るものはなく、自動販売機もトイレもないため、訪れる際はその点も考慮したい。
ついでに行きたい!みやこ下地島空港ターミナル
17エンドに行ったら、是非、みやこ下地島空港ターミナルも訪れてほしい。
2019年にできた比較的新しいターミナルで、入り口付近からリゾート感たっぷり。ターミナルに入る前からワクワクする。

中に入ると、天井が高く広々としていて、店内なのにどこか風が吹いているような、そんな開放感を味わえる。

特産品のマンゴーを使ったお土産や、地元の泡盛など、お土産も充実している。
わたしの心をくすぐったお土産は、下地島空港を意味する航空会社コードの「SHI」と「RORS」、そして滑走路番号「RWY17」がデザインされたジェットスターのTシャツだ。

なかなか来られない場所、しかもご当地で買う特別感もあり、つい購入してしまった。
みやこ下地島空港ターミナルでの時間は大満足だったが、ひとつだけ残念だったことがある。
時間の都合で、島時間郵便局からハガキを出せなかったことだ。
島時間郵便局
お好きな絵ハガキを選んでポストに投函すると、島時間でハガキが届きます。
※注:島時間なので、いつ届くかは誰にもわかりません。◯場所:インフォメーションカウンター
◯料金:絵葉書1枚+宮古島ゆかりの切手+風景スタンプ捺印+投函サービス=500円
出典:島時間郵便局 みやこ下地島空港ターミナルビル
旅先から友人や叔母にハガキを出すのを楽しみにしているのだが、文面を書いている時間がなく出せなかった。
インフォメーションセンターに問い合わせたところ、ハガキのみでも一律200円で購入できるとのこと。島にちなんだハガキはお土産にも最適なので、時間がない人はぜひハガキだけでも購入してみてほしい(現在は郵便料金の値上がりで、絵葉書1枚+宮古島ゆかりの切手+風景スタンプ捺印+投函サービスが600円になったとのこと)
「島時間なので、いつ届くかは誰にもわかりません。」というのもいいなぁ。自分宛に手紙を書いて、いつ届くかを楽しみにするのも、旅の良い思い出になるはず。
【種子島空港】ローカル感たっぷり!運がよければロケット鑑賞も

続いて紹介するのは、鹿児島にある種子島空港(愛称:コスモポート種子島)。
種子島といえば、JAXA種子島宇宙センターのロケット発射場があることで有名な島だ。
船路もあるが、時間が惜しいわたしは飛行機で向かうことにした。
鹿児島空港からプロペラ機で種子島空港に向かった。プロペラ機に乗る機会があまりないので、それだけで特別感がある。
飛行機は小さく、機内はせまいが、短時間なので問題ない。独特のプロペラのボボボボボという音と多少の揺れが「あぁプロペラ機に乗っているんだな」とワクワクする。
外を見ると、高度が低いプロペラ気のおかげで、景色がいつもより近くに見えた。

わずか40分ほどで種子島空港に到着。

ボーディングブリッジ(搭乗橋)がないため、飛行機を降りてから空港の建屋までは、地上を歩く。種子島空港だけではなく、比較的小規模な空港ではよく見られる方式である。飛行機がより大きく、身近に感じられる貴重な瞬間だ。
地上を歩けるとはいえ自由に歩き回れるわけではないので、空港スタッフの指示に従って行動しよう。
空港内にはJAXAの展示室もある。人工衛星の模型や写真などが展示されていて、種子島宇宙センターを訪れる時間がない人でも気軽にその雰囲気を楽しむことができる。
わたしが訪れた日は、偶然にもロケット打ち上げ日と重なっていたのだが、打ち上げが失敗してしまい、ロケットが格納庫に戻るのを見ることとなった(それはそれで貴重な体験だと、たまたま同じ場所に居合わせた、ロケット鑑賞が趣味だという男性に教えてもらった)。
空港内でロケットの画像や展示を見ることができて、ちょっと悲しかった気持ちが上向きになったし、またロケットの打ち上げの日に合わせて旅行に来たいなと思えた。
その土地の特色を活かした展示が見られるのは、地方空港ならではだと思う。
【青森空港】豪雪地帯で、ホワイトインパルス大活躍!
足繁く青森に通っているわたしだが、「青森空港のおすすめをひとつだけ挙げるとすれば?」と問われると迷いなく「ホワイトインパルス!」と答える。
ホワイトインパルスとは、青森が誇る空港除雪隊のこと。
ただ、雪の季節に行けば出会えるというわけではない。除雪隊の名の通り、除雪が必要なとき、すなわち雪がガンガン降っているときにこそホワイトインパルスは活躍する。晴れていたり、天候が安定していたりすると出会えないのだ。
滑走路内を縦横無尽に走る車両たち。しかもかなりのスピードで除雪している。その姿はもうほれぼれするくらいかっこいい。強さの中にも柔軟性が垣間見えて、白い背景もあいまって「バレリーナみたいだ」とさえ思ってしまう。

ファンも多いようで、ホワイトインパルスが活躍する際には場内アナウンスが流れるほど。そしてそれを写真や動画におさめている人も多い。
除雪が間に合わず、飛行機の離陸が遅れた経験が何度もあるし、飛行機内で除雪作業を待つことも多々ある。でも、ホワイトインパルスが外で頑張っているのを見ると「こんなに雪が降っているのに、飛行機を飛ばそうとしてくださってありがとうございます」と感謝の気持ちしかない。ホワイトインパルスは青森空港の誇りだなと思う。

冬に青森空港に行く機会があれば、ぜひホワイトインパルスの活躍を体感してほしい。
【千里川土手】 大阪国際空港に隣接!至近距離で楽しめる
ゴオオォォォという音が近づき、音とともに機体がどんどん大きくなってきたかと思ったら、頭の上を一瞬で通り過ぎていく。
写真におさめたいと思ってもうまく撮れない。気がつけば頭の上を通り越して、しゅーっという音とともに着陸していた。

大阪国際空港(通称:伊丹空港)に近い千里山土手に行ってみた。飛行機をここまで近くで見られる場所はめったにない。飛行機にあまり興味がない人でも訪れる、鑑賞ポイントとして有名である。飛行機を撮影する人にとってはもはや聖地ともいえるだろう。
わたしが行ったときは、ファミリー、ご夫婦、カップル、友だち同士など、さまざまな人がいた。もちろんひとりで来ている人もいた。
意外だったのは、年齢層が高いファミリーやご夫婦がいたことだ。なんとなく、小学校低学年くらいまでの子どもがいるファミリーが多いと想像していたが、高校生くらいのお子さんと一緒に来ていたり、年配のご夫婦が散歩のついでに立ち寄っていた。
一眼レフを持った人もいれば、スマホで写真を撮る人、写真を撮らず飛行機を見ている人、ランニング途中の人や、犬の散歩、デート、いろいろな楽しみ方をしている人がいて、その自由度の高さに驚いた。飛行機鑑賞というと改まってしまうが、飛行機を気軽に楽しんでいる人がたくさんいるのも、ここが土手であるゆえの特徴だなと思った。
なかにはイス持参で、飛行機をほとんど見ずに本を読んでいる人もいた。飛行機の音をBGMに本を読むという楽しみ方は斬新で、新たな発見だった。
わたしが行った朝10時時点で、約20〜40人が出入りしていたが、基本的にみんな飛行機を見ているので、誰もまわりのことは気にしていない。ひとりで飛行機鑑賞をしていても気後れする必要もないし、思う存分飛行機を堪能できる。

気ままに飛行機鑑賞をしていると、急に「スター・ウォーズ来た?」とおじさまに話しかけられた。なんのことがわからず返事できないでいると、その様子を察知してくれて「スター・ウォーズが描かれた飛行機があってね、最近全然見ないけど、ときどき来るのよ」と説明してくれた。近くに住んでいて、よく散歩に来ているらしい。彼は「天気も穏やかだし、寒すぎないし、いい日に来たね。楽しんでね」と言って去っていった。

今回たまたま話しかけられたが、ひとりが寂しくなったら逆に誰かに話しかけてもいいだろう。ほどよい距離感が心地よいと感じた。
そして、思わぬところで一体感もある。
最初、飛行機は肉眼で黒い点くらいの大きさにしか見えないため、その存在に気付きにくい。肉眼でとらえた人が「来るで!」と言い、まわりが「来た!」と反応する。これから頭上を飛行機が通るんだ!のワクワク感を共有することができる。

飛行機鑑賞というと、見るのがメインだが、それ以外の五感でも楽しむことができる。
まずは音。これは外せない。耳が慣れてくると、飛行機によって音が違うことがわかる。プロペラ機のなんともいえないブブブブ音。大きなジェット機になると、ゴオォォという爆音だけではなく、シューっという音も含まれ、どこかスマートにも聞こえる。
飛行機以外が通らないときは、グラウンドから聞こえる部活の練習の声や、鳥の声が聞こえる。ひとりで鑑賞しているからこそ、今、その場所で聞こえる音に集中できる。
そして風。土手ならではの風が吹き抜ける感覚を肌で感じることができた。
隣のカップルは持参したコーヒーを飲んでいた。即席ヒコーキカフェだ。わたしも今度来るときはマネしようと思った。
わたしが行ったのは12月だったが、太陽が主張する時期は、陽のあたたかさを感じることもできるだろう。ただ、土手なので日除けもない。特に夏は万全の日焼け対策が必要だと感じた。

飛行機が途切れなく頭上を通るわけではないので、待ち時間も結構ある。わたしが滞在した1時間ほどで頭上を飛んだのが約10回。少し離れたところを飛んだのが5回程度。
10:36と10:37に立て続けて飛んできたのを見て、トイレに行きたくなり退散した。
周りにはトイレも座る場所も日陰も自販機もないので、その点を考慮して楽しみたい。
本当に、飛行機鑑賞といってもいろいろな楽しみ方がある。ひとりだからこそ、自分がやりたいことを自由にできるのが最大の魅力だと感じた。
◯千里山土手への行き方
阪急宝塚本線 曽根駅からレンタサイクルで15分弱。
(HELLO CYCLINGが曽根駅改札口を出たところにあり)
何度もリピートしている空港での楽しみ方
- とにかく飛行機が見られる展望デッキに行ってみよう
- お土産コーナーをじっくり見る
- ローカルの冊子を見る
展望デッキのよさは先に述べた通りだが、通い慣れた空港でも、意外と足を運ぶことは少ない気がする。展望デッキは椅子があることも多く、ゆっくりできるし、飲みものや食べものを持ち込んでもよい場合は、飛行機を見ながら飲食を楽しむのも非日常感を味わえるだろう。
通い慣れた空港だからこそ、四季の移ろいを感じるかもしれない。風のあたたかさ、咲いている花、太陽の傾き加減、木々の紅葉、コーヒーが冷める早さ…同じ時間帯を以前と同じく過ごしているようでも、ひとつとして同じ時はないのだと気がつくかもしれない。
「もうどこに何があるかも把握している」というお土産コーナーをじっくり歩くのもおすすめ。わたしの経験では、青森空港で、前月にはなかったホワイトインパルスグッズコーナーを見つけたときに、リアルにガッツポーズをした。それ以外にも、前月は売り切れていた人気商品の在庫が復活していたり、季節限定の商品が出ていたりするのでマメにチェックしたい。

また、あるとき、暇を持て余してウロウロしていたら、通りすがりのラックに置いてあるチラシにふと目が止まった。そのチラシは『ふらっと北東北』という北東北5空港が合同で作成した情報誌だった。
情報収集はWebやSNSに頼りっきりで、紙の情報を見ることはほぼなかったけれど、『ふらっと北東北』は観光地などの見どころが見やすくまとまっていてとてもかわいかった。読者プレゼントがあったのでつい応募してしまった。
こういうちょっとしたワクワクに出会えることが、同じ空港を定点観測し、深掘りする醍醐味だと感じた。
最後に
飛行機鑑賞は堅苦しくない。散歩中に飛行機を眺めてみたり、写真を撮ったり、飛行機が見えるカフェをチョイスしたり。自分好みのスタイルが見つかるに違いない。
ちょっと足を延ばして、空港デッキでじっくり見てみよう。そして、実際に飛行機に乗って旅に出よう。きっと楽しい世界が広がるはず。