デジタルマーケティングで中小企業の集客ジレンマを救う。NANDOMIが目指す“ワクワク”する社会の実現

内野敏樹(うちの・としき)さん

NANDOMI合同会社 CEO

千葉県出身。大学卒業後、新卒で電力会社に入社、法人営業を担当。その後、アプリベンダーにジョイン、スマホアプリやLINEミニアプリの開発、顧客行動データアプリマーケティングの事業に携わる。2021年6月にECサイト制作、マーケティング、SNS運用、広告運用、採用支援を行うNANDOMI合同会社を設立。

新たな商品やサービスの開発に力を入れている一方で、市場競争力を維持できずに悩んでいる経営者は多いことでしょう。これに対し、デジタルマーケティングで企業支援を手がけているのがNANDOMI合同会社です。中小企業が市場における自社の優位性を高めることに特化した同社のサービスを支えるのは“ワクワク”の創造。代表を務める内野敏樹さんの原体験や思考から、その真髄を探りました。

遊び倒した大学時代で培ったコミュニケーション力

――どんな学生時代でしたか?

高校まで野球に打ち込んでいました。その反動からか、大学4年間はとにかく遊び倒しましたね。笑 今振り返ると、そこでコミュニケーション力が培われ、後の営業テクニックにつながったように思います。

――大学時代から起業を目指していたのでしょうか?

性格的にも目立つことが好きだったこともあり、社長ってかっこいいな、儲かりそうだなという漠然とした憧れはありましたね。でも、当時の僕にそのノウハウがあるはずもなく、卒業後は電気に関するトータルソリューションを提供する電力会社に入社、法人営業を担当しました。

大手電力会社でセールスの才能が開花

――電力会社に入社を決めた理由をお聞かせいただけますか?

500億の売り上げ規模、従業員数も1200名というスケール感が魅力でした。それに、人と話すことが好きな自分にはセールスが向いていると思ったのも大きな理由のひとつです。新卒時代は、朝から晩まで飛び込み営業をするスタイルでしたが、仕事そのものはまったく苦ではありませんでした。また、若手でも数字を上げられれば役職に就くことができる完全成果主義の会社だったので、売れば売るだけ稼げるロジックは楽しかったです。周りもものすごい営業マンばかりだったので、刺激的でとても充実していました。

――とても充実していたように思われますが、5年で退職されたんですね。

仕事である程度成果が出せると、「自分は上司よりもできる、もっと数字を作ることもできる」という根拠のない自信が生まれてきました。自分より成果が出ていない上司に噛み付いたり、ケンカを売ったり、今思えば若気の至りという言葉に尽きます。そんなギラギラした若手だったので周囲とそりが合うはずもなく、異動を命ぜられました。

移動先は精鋭が集まる本社の営業部。営業力、コミュニケーション力など、高いスキルを持った人が多く、すべてがキラキラしていました。本社では社長と顔を合わせる機会もあり、何度か実際に話せたことも刺激的でしたね。そんな環境で仕事をするうちに、もっと上を目指すにはどうすればいいかを考えるようになりました。でも、企業の一員としての成長には限界があるため、やるならばゼロから自分で事業を立ち上げたいと思ったんです。

中小企業のマーケティングDXをなんとかしたい

――さまざまな業種があるなか、デジタルマーケティングの世界に飛び込んだのはなぜですか?

僕はビジネスにおいて、時流を捉えることが最も重要だと思っています。

そのため事業起こすとしたら、マーケティングかAI領域か、脱炭素の3つに絞っていました。

営業時代、中小企業の経営者と商談をするなかで、「マーケティングやITが集客に必要なことはわかっているけれど、うちでは使いこなせないからやっても無意味」という声をよく耳にしました。素晴らしい技術や製品があるのにもったいない。ならば、僕がマーケティングDX支援をすればいいじゃないか!という考えに至りました。

――電力会社を退社後、すぐに起業ではなく、アプリベンダーに転職したのはどのような理由からなのでしょう。

デジタルマーケティングのノウハウを学び、実務を身につけるためです。武者修行のつもりで転職を決意しました。その会社が当時、アプリの新規事業を立ち上げるタイミングだったこともあり、セールスマーケティングという立場でジョインしたのですが、思った以上にキツかったです。

クライアントは大手企業のマーケティングのプロばかり。集客と利益につながらなければ即、切られる世界です。常に頭はフル回転。マーケティングのおもしろさと重要性を改めて実感できた充実の日々でした。

――マーケティングの重要性とは?

例えば、購買意欲って、自分が欲しいと思う気持ちから生まれますよね?その潜在意識に働きかけるのがマーケティングです。アプリがインストールされている端末にプッシュ通知で自動的にセール情報などを通知することで、消費者の購買意欲を促します。この他、MEOやSNS運用も集客に効果的です。大手企業と商談をするなか、中小企業にこそ、デジタルマーケティングが必要であることを、改めて実感しました。

念願の起業をしたら1期目で資金ショート。うつ状態に

――2021年6月に設立したNANDOMI合同会社の事業内容とは?

MEOやSNS運用による集客サービスと、Web制作、システム開発、求人広告代理店事業を展開しています。社名には「一度、二度。いや、何度でも頼れるマーケティング企業」という想いを込めました。

――NANDOMI合同会社を設立されてからはいかがでしたか?

とにかく起業したかった僕は、とにかくノリと勢いで事業をスタートさせてしまいました。持ち前のセールス力で案件を取ることはできても、計画性がないのでメンバーを確保することができず、睡眠時間を割いて、僕がすべての案件を対応していました。一時期は会社の口座に300円しかないときもありましたね…。追い討ちをかけるように、信頼していた人物に新規事業の資金を持ち逃げされたこともありました。さすがの僕もうつ状態に…。

そんな状態から這い上がることができたのは、まさにお客さまの支えでした。会社員時代、根拠のない自信で虚栄を張っていた僕ですが、マーケティングに真摯に向き合い、実績を積んだことで根拠のある自信を身につけることができました。会社の利益はなくても、お客さまに確かなサービスを提供してきたことが、ピンチを救ったと思っています。

利益がしっかり見えてきた3期目。アイディアの源は“ワクワク”を創ること

――まもなく4期目を迎えるNANDOMIの現在地は?

1期目でキャッシュフローという課題が明確になったことは大きな収穫でしたね。以降は集客サービスを中心に実績が増え、3期目で利益がしっかり見えてきました。昨年比で261%の成長となり、事業投資も行えるまで成長しています。スタッフもアルバイト業務委託を含め、11名にまで増えました。

当時を振り返って思うのは、勢いだけではどうにもならないこともあるけれど、勢いがなければできないこともあるということです。矛盾しているかもしれませんが、自分の人生をかけてやりたいことがあるって幸せなこと。そこにコミットするまでの困難はすべて財産になると思っています。

ひとつはITやマーケティングの力で困っている人の役に立ちたいという想いです。これはサラリーマン時代に出会った中小企業の経営者の困り事に触れたことが大きく関係しています。集客、顧客管理、CRM、採用などの困り事をデジタルマーケティングで解決に導くことができます。その結果、つまらないが“ワクワク“に変わり、事業に創意⼯夫、夢が生まれます。我々自身がワクワクすることで、お客さまと共にワクワクする仕事をしていきたいと思っています。

――今後の展望についてお聞かせください。

やりたいことがたくさんありすぎて困っているのですが(笑)、明確に掲げているのがNANDOMIを3年以内で売り上げ総額10億円規模の会社にすることです。現在の事業を拡充し、販路をさらに広げることを目標にしています。

どんなに会社の規模が大きくなっても変わらずに持っていたいのが“遊び心”です。オフィスにはフリーアドレス制、バーやハンモック部屋を設けるのも楽しそうだなって思っています。一日の大半を費やすのが仕事です。どうせなら従業員が”ワクワク”する環境を整えていきたいですね。

「社長の学舎」が目指すもの

――今回、ローンチした経営者メディア「社長の学舎」とは?

経営者はさまざまな思いを抱え、ビジョンを描いています。その声をインタビュー形式で発信できる場が「社長の学舎」です。僕自身、学生時代の就活や、転職活動の企業研究ではトップのメッセージが最も刺さりました。人に人格があるように、企業にも“法人格”があります。経営者の言葉がブランド力の強化につながり、顧客との確固たる関係性が生まれると僕は信じています。

例えば、M&Aを実行するとき、相手の会社の理念やビジョンをトップが語ることで売却までのプロセスがスムーズになることがあります。また、「社長の学舎」を通して顧客との直接のコミュニケーションが生まれ、新たなビジネスチャンスが得られることもあるでしょう。発信方法としてはWebメディアの他、インタビューの模様をショートドラマに仕立て、SNSで発信する予定です。

たった一度の人生。とことん楽しもう!

――最後に、読者に向けメッセージをお願いします。

だれにでも平等に与えられているのが一日24時間という時間です。それをどう活かすかは自分次第。僕は学生時代、部活、体育祭、文化祭などのイベントでワクワクしていたあの時の感情を常に持っていたいから起業という選択肢を選びました。どうせやるなら熱中できる方がいい。それが起業であればぜひ、トライしてみてはいかがでしょう。

起業まではできないと思っているのであれば、ぜひNANDOMIのメンバーとして働きましょう。

Are you ready to get excited?

おだりょうこ

猫と旅、音楽と映画で形成されたライター&エディター。旅欲が止まらない旅ジャンキー。雑誌編集、テレビ局勤務を経てフリーランスに。料理は作るの食べるのも得意だったりする。