“一生モノ”に弱いわたしが選んだ“Barbour”と過ごす秋。

“一生モノ”という言葉に弱い。
多少値は張っても、一生使えるのであれば決して高い買い物ではないという、都合の良い言い訳を自分に言い聞かせ、長く付き合えるモノを選んでいる。

でも、それは40代になってから気づいたこと。
数で勝負とばかりに安価な服を購入することをやめ、ワードローブを見直したことで、いかにこれまでムダな買い物をしてきたかに気がついた。
なかには数回袖を通しただけの服、いつ、なぜ買ったのかも思い出せないアクセサリー。バッグに至っては千手観音でも持ちきれない数である。

これからは長く付き合える、できれば一生付き合えるモノだけに囲まれて生きていきたい。
わたしにとっての“一生モノ”とは、価格で決まることではない。一生、そばに置いておきたいもの、それが指標。

そんなわたしが数年前に出会ったのが、ブリティッシュメイドのアウター、“Barbour(バブアー)”である。普段使いはもちろん、旅も共にするその魅力たるやもう!
まずはうんちくを語らせてくださいな。

Barbourとは

Barbourは1894年にジョン・バブアー氏によってイングランド北東部のサウスシールズで創業された英国の老舗ブランドである。その歴史は過酷な環境下で働く水夫や漁師のために、ワックスで生地をコーティングし、防水や防風機能を実現させた”ワックスドクロス”を提供したことにはじまる。
耐久性が高いこのオイルドジャケットはブランドのシグネチャーであり、創業当時から現在に至るまで、英国を代表する名品として世界中で愛されている。

“一生モノ”と並んで、わたしの物欲を刺激するのが、“王室御用達”という言葉。そう、Barbourは英国王室から3つのロイヤルワラント(王室御用達の証)を授与された、数少ないブランドのひとつなのだ!

1970年代にはハンティング、フィッシング、乗馬といった英国上流階級の趣味とリンクし、ライフスタイルブランドとしての確固たる地位を築いたBarbour。80年代に発表したハンティング用の「ビューフォート」を中心に、今ではファッションアイテムとしても世界中で愛されている。

オイルドジャケットとは

Barbourといえばオイルドジャケット。オイルドジャケットといえばBarbour。
オイルドジャケットとは、生地の表面にオイルを塗り込んだジャケットのこと。オイルでコーティングすることで表面に光沢と防水性、保温性をもたらしている。

オイルというだけあり、触るとちょっとベタベタするのがオイルドジャケットの特徴。少し厄介なのが、他の衣類と擦れた時にオイルが移ってしまう可能性があること。保管するときは通気性の良い不織布のクロスカーバーをかけること、満員電車では脱いで裏返しに畳んで持つことはBarbour愛用者のマナー。

デニムにもスカートにも合うんです

どちらかというとメンズライクなBarbourのオイルドジャケット。わが家にBarbourを最初に持ち込み、嬉々と着こなす夫を見て、「ドカジャンっぽいな」と思ったのは他でもない、わたしだ。
ところが、借りて羽織ってみると、デニムやチノパンはもちろん、スカート、ワンピースとも相性抜群ではないか!いつものコーデがぴりっと引き締まり、羽織るだけでオシャン度が上がる。襟のコーデュロイ素材もいい感じ。

そんなわたしが手に入れたのは、セレクトショップ“Bshop”スペシャルモデルの「OVERSIZED BEAUFORT」。はっとするような美しい発色にひと目惚れした1着だ。もともとハンティング用に作られたBarbourの「BEAUFORT」をベースに、オーバーサイズにアップデートしており、中に厚手のセーターを着ても、もこもこしない点がとても気に入っている。

手がかかるがゆえに愛着がわく

Barbourのオイルドジャケットを“一生モノ”とするには、日頃のケアと定期的なメンテナンスが必要だ。オイルドジャケットは、基本的には自宅で洗濯ができない。そのため、普段のお手入れがとても重要なのだ。

オイルドジャケットは湿気に弱い

オイルドジャケットの大敵である湿気。シーズン中はハンガーにかけ、風通しの良い場所に置いてからクローゼットにしまうようにしている。雨や風を通さないオイルどジャケットは、空気を通しにくく湿気がこもりやすい性質なので、こまめな風通しを心がけたい。

クリーニングは専門店へ

オイルドジャケットは基本的には自宅で洗濯ができない。クリーニングは専門店に依頼する。数年に1度の割合でクリーニングとオイルの入れ直しをしてもらう必要がある。
このように、手をかけることでBarbourのオイルドジャケットは“一生モノ”になるのである。

経年変化も楽しい、Barbourの魅力

経年変化を楽しめるのもオイルドジャケットの魅力である。購入から3〜4年経った夫のそれは、オイルが抜け出て光沢が薄れ、味わいが増している。わたしの「BEAUFORT」は購入からまだ2年ほどだが、スコットランド旅行で目立つ汚れが着いてしまったので、シーズン前に専門店にクリーニングに出したため、まだフレッシュさが感じられる。

着るほどに風合いが増すオイルドジャケットは、いかにカッコよく変化させるかが、一生モノにできるカギになるように思う。この先の10年、20年、老後と言われる余生を送るときも、カッコよく、粋にBarbourのオイルドジャケットを着こなしていきたい。

さあ、そろそろ今年もオイルドジャケットの季節がやってきた。
まだBarbourに“着られている”感覚のわたしだけれど、ガシガシ着て、馴染ませていきたい。
それもまた、“一生モノ”を手にする醍醐味である。

おだりょうこ

猫と旅、音楽と映画で形成されたライター&エディター。旅欲が止まらない旅ジャンキー。雑誌編集、テレビ局勤務を経てフリーランスに。料理は作るの食べるのも得意だったりする。