本好きにはたまらない空間!角川武蔵野ミュージアムに行ってきた

開館以来ずっと気になっていた場所、角川武蔵野ミュージアムに、ようやく行くことができた。初代館長は知の巨人として知られる松岡正剛さんだし、ワクワク気分で訪れたら、やっぱり期待を裏切らない楽しさだった。

今回は本好きにとって夢のような場所、角川武蔵野ミュージアムをご紹介する。

角川武蔵野ミュージアムって?

角川武蔵野ミュージアムは、2020年に所沢にオープンした文化複合施設だ。

株式会社KADOKAWAが運営する「ところざわサクラタウン」の目玉となる施設で、古今東西の文物が集められた空間はさながら知の泉のよう。本好きにはたまらない場所である。

あらゆる知が凝縮された空間

隈研吾さんがデザイン監修した5階建てのミュージアムには、フロアごとに趣向の異なる魅力的なスペースがひしめいている。

特に有名なのは、四方を囲む約8メートルの本棚に本がぎっしり詰まった“本棚劇場”と、テーマごとに25,000冊の本が配架されているエディットタウン-ブックストリート

他にも

  • ライトノベルやマンガを集めた“マンガ・ラノベ図書館”
  • 博覧強記な荒俣宏さんの頭の中を覗き見られるような“荒俣ワンダー秘宝館”と“アティックステップ”
  • 武蔵野に関する資料が並ぶ“武蔵野回廊”
  • ギャラリー

と、興味深いスペースが目白押しだ。

初代館長は松岡正剛さん

松岡正剛さんはあらゆるジャンルに精通し、知の巨人と呼ばれた人だ。

1971年に編集制作チーム・工作舎を設立。編集長として、革新的なスタイルの雑誌『遊』を発行した。
その後1980年代にはさまざまなジャンルをまたいで関係性をつなぎ、情報文化への考察を深める編集工学者として、独自の活動を発展させていった。

日本のアートや思想に多大な影響を与えた方である。
そんな松岡さんが、その知識と経験を活かして監修したブックストリートは、ミュージアムの目玉になっている。

昨年惜しくも亡くなった松岡さんに代わり、現在はジャーナリストの池上彰さんが館長を務めている。

実際に行ってみて

ミュージアムの感想は、一言で言えば「めちゃくちゃ楽しい」。それに尽きるが、わたしが館内でどんな時間を過ごしたか、もうちょっと掘り下げてお伝えしよう。

1日では全然足りない!

今回わたしはお昼過ぎに入館して、閉館の18時までいたのだが、その約5時間のほとんどを4階で過ごした。
50mにわたって本がずらりと並んだブックストリートを端から端まで丹念に見ていたら、とても他の階まで見て回る時間がなかったのだ。

夢中で本や展示を眺めていたら、あれよあれよと時間が経ってしまって、気付けば閉館時間になっていた
本棚の隅々まで見たいタイプのわたしには、1日だけでは全然足りなかった。

今回はマンガ・ラノベ図書館やギャラリーには行かれなかったし、最後の方が駆け足になってしまったアティックステップも改めてじっくり見たい。
ブックストリートだってすべてを見切れたわけではないので、「何度でも通いたい!」と痛切に感じた。

気になる本がありすぎる

滞在時間のほとんどを費やしたブックストリート。
どちらを向いても気になる本が目に飛び込んできて、立ち止まって手に取らずにはいられない。その充実したラインナップに、嬉しい悲鳴を上げてしまった。

物量だけでなく、独自のセレクトと読んでみたくなる導入文が上手いのだ。
写真撮影も可能なので、気軽に気になった本の書影を撮って、後から確認することができるのも嬉しかった。

また、置いてあるものだけでなくその置き方もセンスが良い。四角い本棚に本をただ並べるような、平凡な見せ方ではなく、遊び心を感じる工夫がいっぱいだ。

まさに憧れの本棚の様相で、「本だらけの空間で過ごしたい」という願望を十二分に満たしてくれた。

ミュージアムの見どころ

角川武蔵野ミュージアムの最大の見どころはやはり、わたしがとりこになったブックストリートだと思う。
けれどもちろん他にも魅力的なスペースがあれこれあるので、ぜひじっくり巡って堪能してほしい。

本好きには夢のような場所

特にブックストリートと本棚劇場は、どこを向いても本だらけ!
本に囲まれて至福の時間を過ごすことができる、本好きにとって夢のような場所となっている。

圧倒的な量に加え、一風変わった面白いセレクト&上手な魅せ方は、まさに豊かな知の源泉と言えるだろう。
あまり街では見掛けないような珍しい本や、普段は視界に入っていても素通りしてしまうような本と出会えるのが嬉しい。

また、本棚劇場では定期的にプロジェクションマッピングも行われており、フォトジェニックな演出を楽しむことができる。

荒俣宏さんのファンなら、氏の蔵書を手に取ることのできるアティックステップも必見だ

何度も通いたくなる、遊び心溢れる空間

ミュージアム内のさまざまなスペースは、どこも知的好奇心をくすぐる多角的なアプローチで展示が作られている。それが人々を惹きつけ、心を掴むのではないだろうか。

「ここに行けば何かに出会える」
「行く度に新しい発見がある」

心の底からそう思える場所だ。

媒体やジャンルに囚われることなく、“あらゆる知を再編成”した空間を余すことなく味わいたい。

ミュージアムの隣には、同じく隈研吾さんデザイン監修の現代的な神社、武蔵野坐令和神社がある
この神社は天井画を画家の天野喜孝さんが、狛犬を彫刻家の土屋仁応さんがそれぞれ手掛けている。両氏とも幻想的な作風が人気な芸術家で、祭事の際にはその神々しさ漂う作品を間近に観ることができる。

角川武蔵野ミュージアムを訪れた際は、こちらも併せて拝観しよう。

本好きならぜひ一度行ってみて!

角川武蔵野ミュージアムは、本好きなら大満足の1日を過ごせること請け合いだ。
普段本を読まない方も、思わず手に取りたくなる本がきっとあるはず!

ちなみに現在、ギャラリーではスタジオジブリのアニメーション『パンダコパンダ』の展覧会が開催中だ。
楽しくてかわいい『パンダコパンダ』の世界に触れられる展示は8月末まで。

本好きも『パンダコパンダ』好きも、おひとり様もご家族連れも、ぜひこの機会に所沢に足を運んでみて。

逆盥水尾

さかたらいみおと読みます。昭和の少女漫画が好きで、最近はもっぱら漫画を読みふけりながら普及活動をする日々です。