“冷たいもの”が少し怖くなる瞬間。快適のつもりが、からだに刺さる日

冷たいドリンクを飲んだあと、胃腸にじわじわと違和感が溜まる日がある。なんとなくキュッとした感じがして、手のひらをそっと当てたくなる。

暑いからと選んだ行動が、逆にからだの負担になっているような…。

夏にうれしいはずの「冷たさ」は、いつでもわたしの味方とは限らない。涼しさが“快適”から“刺激”に変わる瞬間。そんな日の小さなサインと、自分にやさしくする工夫について考えてみる。

わたしのこと

  • 年齢:30代
  • 性別:女
  • 職業:ライター、編集者
  • ライフスタイル:
    • 誰かと同居、インドア派、リモートワーク、超夜型
    • お腹が弱くて寒がり
    • 病院で検査後、過敏性腸炎の薬をもらった経験あり

冷えたドリンクに、なんとなく胃腸がざわつく

撮影:織詠 夏葉

以前書いた記事で「自宅にドリンクバーがあればいいのに」と真顔で願ってしまうくらい、日ごろから飲み物が欠かせない。気分転換や集中のスイッチ、作業のおともとして、何かしら口にしていないと落ち着かないタイプだ。

ところが、真夏の冷房の効いた部屋で冷たい飲みものを摂取した時、ふと嫌な予感がよぎることがある。喉やからだは喜んでいるはずなのに、胃腸だけが「ちょっと急には勘弁してくださいよ」とでも言わんばかりに、ぐるると鳴り始めるのだ。

肌が粟立ち、お腹が重たくなってきて、「あ、やばい」と冷や汗が出る。貧血とはまた違うけれど、もうその場から離れてトイレに駆け込みたくなるし、今すぐに布団を被って横になりたくなる…。

ただでさえ過敏性腸炎の気配があってトイレが近い体質だから、カフェや電車などでそうなると焦り散らかす。女子トイレは基本的に並んでいるし、待っている間は気が気じゃない。ゆえに、ちょっとした不調のサインも見逃せない。

ただ涼しく快適になりたいだけなのに、胃腸が弱い人間はこうも気を遣うとは…。夏のわたしの内臓は、いつもよりももっとがんばっている。

冷房が「逃げたくなる空気」になるまで

カフェに入った瞬間の「涼しい〜」という気持ちよさが、10分後には「寒すぎない?」という絶望に変わる。体感が変わる速度についていけないし、からだの声に付き合うのはとても面倒なもの。

特に長時間同じ場所に座っていたり、移動距離が長かったりするほど、どんどん冷えてきて逃げ場がなくなる。電車や駅ビル、オフィス、映画館など、あらゆる場所に行くのにブランケットや羽織ものが欠かせない。

ただでさえ心配性で荷物が多いのに、身軽なはずの夏の方が持ち運ぶものが増えるまであるのでは?そのくせ外を歩くときにはハンディファンが欠かせなくて、「どっちかにしてくれよ」と自分にツッコミを入れたくなる。

こんな感覚をわかってくれるひとがいたら、多分「あるある」話が止まらない。

“体が冷えている”と気づいたときの対策

外気温が高いほど、クーラーガンガンの部屋との落差で体がついてこなくなる。暑すぎても湿気が多すぎてもだるさでやる気がしないけれど、今度は「冷えすぎ」が原因でからだが縮こまってしまう。

そんなときは、無理せず自分を整えることを優先したい。

  • 我慢せずに何か羽織る
  • 腹巻きをする
  • ホットドリンクで胃腸を温める

電車内や映画館だと周囲に人がいたりして、身動きがとりにくいがゆえに、寒さを我慢してしまうことがある。長時間過ごすときは、あらかじめ肌触りのいいパーカーやブランケットなどをセットしてから席に着くと安心。

寝るときにお腹が冷えるなら、腹巻きをするのもいい。実際、急激に調子が悪くなったとき、カイロを当てて温めたら落ちついたことがある。もちろん、病院に行くべきかの判断は自己責任で行おう。

わたしは冷たいものと温かいものを交互に飲むと、かえってお腹が痛くなることもあるのだが、ホットドリンクで胃腸を温めるのも選択肢のひとつ。コーヒーもいいが、カフェインで胃腸にさらなる刺激がいくことには気をつけたい。

夏でも起き抜けに白湯やスープを飲むと、じんわりとからだに沁みて、気分よく一日を始められる。

夏を乗りこなすために、少しの“温かさ”を取り入れて

撮影:織詠 夏葉

寒がりなわたしは、冬はできるだけ外に出たくないし、夏こそが自由になれる季節のはずだった。でも実際は暑さにもやられやすいし、思った以上にエアコンの“冷え”が堪える。

灼熱の外気から逃がれるために、思いっきり涼める場所は必要。でも、それがかえって自分を苦しめることもあると気づいた今は、“冷たさ”との距離感を考えるようになった。

いつでも体温調節できるよう、外では羽織ものを持ち歩き、家ではタオルケットを近くに置いておく。夏でも毎日お湯を沸かして、ホットドリンクを飲める環境を準備する。

そんな小さな工夫が、快適さとご機嫌を保つための備えになる。夏をうまく乗りこなすには、実は自分に寄り添う“温かさ”が必要なのかもしれない。

織詠 夏葉

おりえ なつは。暮らしのメディア、おでかけメディアにてライターを務める。約3年間エディターやコンテンツディレクターとして稼働し、個人でも執筆活動を開始。映画や音楽、ファッション、雑貨、香水、推し活などに広く浅く興味津々。