手のひらにすっぽり収まる“ミニペン”が好きだ。どこにでも入るサイズ感は実用的で、持ち歩く負担がない。なにより、その小さな姿がひたすらにかわいらしい。わたしがミニペンを愛する理由と、日々使っていて気に入っているミニペンを紹介したいと思う。

わたしのこと
- 年齢:30代
- 性別:女
- 職業:ライター
- ライフスタイル:誰かと同居、インドア派、リモートワーク、朝型、自炊派
子どもの鉛筆が短くなった

今年、小学校に入学した子どもの鉛筆が、気づけばずいぶん短くなっていた。学校では新しい鉛筆を持たせるが、短くなったものはお家用として残している。
短い鉛筆は手動の鉛筆削りで丁寧に削り、補助軸をつけて使っていたが、さらに短くなり持ちにくくなったため、補助軸を外して小さなジップ袋にまとめて保管した。
ふとそれらを見ながら、わたしは学生時代から短い鉛筆、そして“小さい筆記具”に惹かれてきたことを思い出す。短い鉛筆にはどこか素朴さがあり、その小さな姿に愛着が湧いてしまうのだ。
わたしが“ミニペン”好きになった理由
わたしがミニペンを好きになった理由は、とても単純である。鉛筆を最後まで使い切ったときに生まれる、小さな達成感だ。短くなった鉛筆を眺めると、「ここまで書いたのだ」とひとつの物語を見たような気持ちになる。
やがて、短い鉛筆や小さなペンのほうがペンケースにたくさん入るという実用面にも魅力を感じるようになった。文具好きとしては、種類も本数もできるだけ多く持ち歩きたかったのである。
最終的には、“ちょこん”とした姿そのものが、ただただかわいらしく感じられるようになった。小さいものは、理由はいらず愛おしい。
わたしの好きな“ミニペン”
ここからは、実際にわたしが日常で愛用している“ミニペン”を紹介したい。ミニペンに正確な定義はないが、全長12cm以下の手のひらに収まるサイズのものを選んでいる。

サイズの参考に、デルフォニックスのリングノート『ロルバーン ポケット付メモ ミニ』(縦105mm×横82)と綿棒(長さ78mm)を並べて写真を撮ってみた。比べてみるとその小ささがわかると思う。一口に“ミニペン”と言ってもそれぞれに特徴があり、用途によって使い分けている。
三菱鉛筆 ユニボールワンP

三菱鉛筆の『ユニボールワンP』は、同シリーズの『ユニボールワン』よりも、ぽってりとしたフォルムが特徴。丸みのある小さな軸は手に収まりよく、その佇まいだけで心が和む。
また、『ユニボールワン』シリーズは替芯に互換性があるので、豊富なインクカラーを『ユニボールワンP』でも楽しめる。わたしは手帳に合わせてブルーブラックのインクに変えたり、軸色に合わせて替芯を選んだりしている。

さらに魅力的なのが、定期的に発売されるカラー違いの限定軸である。コレクションしたくなるデザインが多く、キャラクターコラボやイベント限定品もあり、文具好きの心を刺激する。わたしは個人的に白色が好きなので、白軸のユニボールワンPを集めている。
色違いの軸同士で上下を組み替えるアレンジが楽しめるのも面白い。クリップに小さなチャームをつけても愛らしさが増す。カプセルトイなどで手に入るめじるしアクセサリーはぴったりのアイテムだ。
サイズ(約)
| 長さ | 最大軸径 | ボール径 | 重さ |
| 116.8mm | 13.9mm | 0.38・0.5mm | 13.7g |
ゼブラ SL-F1 mini

ゼブラの『SL-F1 mini』は、コンパクトな手帳用ボールペン。一見短いボールペンに見えるが、軸を引っ張ると伸びてペン先が出るというギミックが実に楽しい。ペン先収納時は全長約84mmだが、ペン先を出すと全長約107mmになる。
携帯性と使いやすさを両立した構造は、“ミニペン”好きはもちろんガジェット好きの心をつかむ。わたしは『SL-F1 mini』を、M5サイズのシステム手帳のペンホルダーに挟んで使用している。やはりコンパクトな手帳との相性は抜群。

このモデルは近年、手帳シーズンに合わせて限定発売されており、手帳売り場に置いてある場合が多い。毎年カラーバリエーションが変わるので、つい集めたくなってしまう。手帳が売り出される時期が終わると売り切れているときもあるので、早めにチェックしてみてほしい。
サイズ(約)
| 長さ(収納時) | 長さ(使用時) | 最大軸径 | ボール径 | 重さ |
| 84mm | 107mm | 8.1mm | 0.7mm | 11.8g |
パイロット バーディ

パイロットの『バーディ』は、手帳用のボールペンのなかでも細身のモデル。最大径5.6mmというスリムな設計は、多くの小型ペンホルダーに無理なく収まり、ミニペンとしての携帯性がとても高い。

細身ながらも金属軸ならではの適度な重量があり、持ったときのバランスがよく、書き始めから筆記が安定する。個人的には、細いボールペンの中でも特に書きやすいと感じている。
ステンレスボディのシンプルなシルバーは飽きがこず、ビジネス・プライベート問わず使いやすい。『バーディ』は小さくても“道具としての美しさ”を備えているのだ。
サイズ(約)
| 長さ | 最大軸径 | ボール径 | 重さ |
| 111mm | 5.6mm | 0.7mm | 7g |
オート ミニモ(TL01)

オートの携帯用ボールペン『ミニモ』は、“世界最小のノック式ボールペン”。こんなに小さいのにしっかり替芯が使える。
口金を外して替芯を取り出すと、軸の大部分がほとんど替芯そのものという構造で、小さなボディにぎゅっと詰め込まれた仕組みの面白さに惹かれてしまう。

上部のノックボタンでペン先を出し、しまうときはクリップ横のサイドボタンを押す仕様もユニークで、ミニサイズながら操作感が楽しい。

『ミニモ』はボールペン単品で売っているものと、カード型ペンホルダーが付属しているものがある。カード型ペンホルダーを使えば、名刺入れなどにそのまま入れて使える。カードケースがある財布や小さな手帳にも収まりやすい。
2025年10月以降はリニューアルされ、カード型ペンホルダー付きの『TL01』という商品名で店頭に並んでいる。
サイズ(約)
| 長さ | 軸径 | ボール径 | 重さ |
| 91mm | 3.7mm | 0.5mm | 2.8g |
BIBLIOPHILIC CLICK PENCIL & SHARPENER(大人の鉛筆)

書籍関連雑貨ブランドBIBLIOPHILICが企画し、北星鉛筆が制作した『CLICK PENCIL & SHARPENER』は、“大人の鉛筆”シリーズの中でもひときわ小さくかわいらしい存在である。

シャープペン型の構造を採用しつつ、木軸の温かみをそのまま残しているのが魅力で、シダーウッドのなめらかな手触りは使うたびに心地よい。SHARPENER(芯削り)もセットになっているので、細い線も引ける。

本体はオリジナルの『大人の鉛筆』より短めで、手のひらにすっと収まるサイズ感がたまらない。鉛筆に近い太さ2mmの芯は折れにくく、アイデア出しや図をがしがし書き込むときに頼もしい。わたしは趣味の書写にも使っている。
短い鉛筆を使っていた学生時代の感覚がふっとよみがえる一本である。
サイズ(約)
| 長さ | 軸径 | 芯径 | 重さ(本体のみ) |
| 115mm | 8mm | 2mm | 9.9g |
なにもなにも、ちひさきペンはみなうつくし
“ミニペン”は、実用性とかわいらしさを兼ね備えた存在。どこへでも軽やかに持ち運べる小さなサイズは、必要なときにそっと助けてくれるような健気さがある。いくつ集めても場所を取らず、気分に合わせて選べる楽しさも魅力だ。
そして、小さいものに心惹かれるのは多くの人に共通する感覚ではないだろうか。なにしろ、“なにもなにも、ちひさきものはみなうつくし。”(枕草子第151段「うつくしきもの」より)清少納言が1000年以上前に書いたその言葉どおり、ミニペンにも小さきものの愛らしさが宿っている。
手のひらに乗せただけで満足感があるのは、ミニペンならではの強みなのだ。





