ひとりで行ける居酒屋があると、人生はもっと楽しくなる。女ひとり居酒屋のススメ

同じ時間を過ごした学生時代や独身時代とは異なり、それぞれのライフスタイルが確立されたいま、友人と予定を合わせるのはちょっと面倒というのが本音である。
ちょっと飲みに行くだけなのに、何度メッセージのやり取りをすればいいのだろう。
やっと決まったと思ったら、仕事の都合でドタキャン。仕方ないとはいえ、その脱力感たるやもう…。

そんなやりとりに疲れを感じたなら、ひとりで行ける居酒屋を探してみよう。
行きたいときに、だれにも気兼ねすることなく、自分のタイミングで行くことができる居酒屋が近くにある安心感は、日々の暮らしに潤いをもたらしてくれる。

でも、カフェやバーとは違い、
「女がひとりで居酒屋に行くのってハードルが高い」
と感じる人も多いはず。
そこで今回は、女性がひとり居酒屋を楽しむためのお店選びやポイントを紹介しよう。

わたしのこと

  • 年齢:50代
  • 性別:女
  • 職業:ライター、編集者
  • ライフスタイル: 夫とねこ、旅ジャンキーだけど普段はインドア派、食いしん坊、活字中毒
  • 座右の銘:食べることは生きること

ひとり居酒屋のメリット

出典:Pixta

ひとり居酒屋の魅力はなんといっても自由であること。
友人やパートナー、仕事仲間と行くのとは違い、自分好みのお酒や料理を、自分のペースで自由に楽しむことができるのがひとり居酒屋の最大の醍醐味である。

しっぽりお酒を楽しむも良し。
しっかり食事を楽しむも良し。
連れがいないひとり居酒屋のストレスフリーな時間がなんと心地良いことか!

ひとり居酒屋に向いている人

  • お酒が好き
  • ひとりが苦にならない
  • バーよりも赤提灯が好き
  • 過度に出会いを期待しない

ひとり居酒屋の大前提として、「お酒が好きなこと」は外せない。
もちろん、ノンアルで食事だけを楽しむこともできるが、居酒屋に行くからにはお酒も味わってほしい。ワインやカクテルもバーやレストランに比べて数は少ないけれどメニューにあるお店もあるので、その日の気分に合わせて好きなものを選ぼう。

居酒屋に限ったことではないが、女性がひとり飲みをしていると声をかけられることがある。ときには恋愛に発展することもあるかもしれない。
ひとり居酒屋は“ひとりでお酒と食事を楽しむ場所”とするのであれば、余計なトラブルを避けるためにも、過度に期待をしないほうがいいだろう。

ひとり居酒屋のお店選びのポイント

撮影:おだりょうこ
  • カウンター席がある
  • 店内が広すぎない
  • お酒の種類が多い
  • 旬の料理が味わえる
  • 干渉しすぎない
  • 大将やおかみさん(スタッフ)の接客力が高い

赤提灯が灯った暖簾をくぐると、店内には仕事帰りのサラリーマンや近所のご隠居さんと、おじさま率はかなり高い。入った途端、「アウェイなところに立ち入ってしまった!」と、感じるかもしれないが、そんな杞憂は大将やおかみさんの「いらっしゃい」の言葉で吹き飛ぶ。反対に、「一見様お断り」のような雰囲気を感じたり、直感的に「なんか違う」と思ったのなら、席に座る前にそっと扉を閉めて立ち去ればよい。

カウンター席はおひとりさまの特等席

出典:Pixta

ひとり居酒屋で欠かせないカウンター席はひとりで飲みに来ている人が多く、視界に周りの客が入りにくいので、居心地の悪さをあまり感じない。

はじめて入ったお店でも、厨房と対面式のカウンター席であれば大将やおかみさんが近くにいることが多く、会話がしやすい。
チェーン店の居酒屋は敷居こそ低いが、店内が広く、団体客も多いため、ひとりだと疎外感を感じてしまう。ひとり居酒屋を楽しむのなら、カウンターとテーブル(または座敷)が3〜4卓くらいがちょうどイイ。

食事が楽しめる

撮影:おだりょうこ

居酒屋に求めるのは、“ぬるめの燗に炙ったイカ”という人もいるが、ひとりで居酒屋に行くときは、食事を兼ねることも多いはず。お刺身ならあそこ、焼き鳥ならここ、煮込みならあっちと、頭の中に描いた家の近くの“居酒屋マップ”を頼りに出かけてみよう。そろそろ山菜の季節というときなどは、旬を狙って行くのもおすすめ。

美味しい食事とお酒を、ストレスフリーで楽しめるって、とても贅沢なこと。そういえば、近くの居酒屋に行くときはすっぴんで行くことが多いなあ。それが許されるのも、ひとり居酒屋の魅力である。

ほどよい距離感

ひとり、しかも女性となると、お店によっては親切心から必要以上に話しかけてくる場合がある。
わたしの場合、ひとりで居酒屋に行く目的はひとり時間を楽しむため。干渉されすぎると疲弊してしまうことがある。

会話は最低限にとどめ、ほどよい距離感を保ってくれるお店がイイ。
とはいえ、寡黙にひたすらお酒と料理を味わうのはちょっと寂しい。
例えば、珍しい食材について質問をしたり、美味しい料理に出会ったときはそれとなく調理法を聞いてみよう。お酒選びに迷ったときは、料理に合うおすすめを尋ねてみるのもイイ。

ひとり居酒屋は寂しくない

撮影:おだりょうこ

居酒屋に限らず、ひとりで食事やお酒を楽しむ姿は、側から見ると寂しそうに見えると思い込んではいないだろうか。かくゆうわたしも30代までは“おひとりさま”が苦手だった。その最たる理由は“手持ち無沙汰”である。

連れがいないひとり居酒屋では、同じ境遇のひとり客との会話を楽しむことができる。それは一期一会の出会いかもしれないし、通っているうちに何度か顔を合わせることになるかもしれない。そんな出会いをわたしは“居酒屋ともだち”と呼んでいる。

ぐっと距離が近い関係性ではなく、あくまでお店を介しての知り合い。この、ほどよい距離感がひとり居酒屋には合っているように思う。

出会ってから数年が経つ居酒屋ともだちが何人かいるが、本名も知らなければ、どんな仕事をしているかも知らない。お店でのひとときを共有することは、家族や友人と過ごす時間と違った、特別な時間になる。大袈裟にいうなら、違う自分になることができる。それがちょっと楽しい。

手持ち無沙汰には文庫本を

とはいえ、いつも都合よく居酒屋ともだちがいるとは限らない。お会計までひとりで過ごすことも多い。そんなときは文庫本が強い味方になる。スマホで動画を見る人も多いけれど、わたしは俄然、アナログ派。それは、「わたしは今、食事をしながら本を読んでいるので、放っておいて大丈夫です」というメッセージにもなる。そう、本を読むことで「ひとり居酒屋の女」から、「本を読んでいる女」になれるのだ。

ひとり飲みのときは酔いすぎないように注意しているつもりでも、会話がないせいで気がつくと結構な酒量になり、千鳥足で帰路に着くこともしばしば。
飲み過ぎを防ぐためにも、物語の世界観に入り込める、本があると便利だ。
少しお行儀が悪いけれど、そこはひとり居酒屋の自由ということで、ご勘弁を。

女ひとり居酒屋は旅と似ている

出典:Pixta

ひとり居酒屋が心地良く感じるのと同じくらい、友人やパートナー、家族と過ごす時間も楽しい。どちらかが勝るという意味ではなく、いろいろな過ごし方があっていいはず。

ひとり飲みが旅とちょっと似ているように感じるのは、旅ジャンキーのわたしだからだろうか。
行くまでは緊張するけれど、一歩踏み出せば(暖簾をくぐれば)、楽しい世界が待っている。
でも、行きつけにしたい店を見つけるには、“新規開拓”という冒険をする必要がある。

おひとりさまには孤独という自由がある。それはひとり居酒屋もひとり旅も同じ。
だれかと食事や飲みの予定を合わせるのが面倒と感じたら、ひとり居酒屋デビューをしてみよう。
冒険の先には、どこにも属さない自分として過ごす、贅沢な時間が待っているはず!

おだりょうこ

猫と旅、音楽と映画で形成されたライター&エディター。旅欲が止まらない旅ジャンキー。雑誌編集、テレビ局勤務を経てフリーランスに。料理は作るの食べるのも得意だったりする。