ひとり映画館の楽しみ方。ふらりと訪れ、没頭できる

以前の私にとって、映画館は王道のデートスポットだった。近すぎも遠すぎもしない絶妙な距離感で好きな人と同じ時間を過ごせるので、付き合う前や付き合いたてに訪れる場所としてふさわしい。上映中は、映画の内容よりも、隣に座る彼の動向が気になってしょうがなかった。たとえば、いつ手を繋ぐのか、とか。

時が経ち、最近はひとりで映画館に行くことが多くなった。“ひとり映画館”には妙な緊張感がないので、作品に没頭しやすい。空き時間にふらりと立ち寄れるところもいい。鑑賞後は、ひとりで余韻に浸りながら、じっくりと作品を消化することができる。

この記事では、そんなひとり映画館の魅力を詳しく紹介したい。

わたしのこと

  • 年齢:30代
  • 性別:女
  • 職業:PRプランナー
  • ライフスタイル:夫と同居、インドア派時々アウトドア派、リモートワーク、夜型、切ない映画が好き

ひとり映画館のメリット

まず、私の感じるひとり映画館のメリットを3点挙げてみたい。

気軽に訪れることができる

休日、美容院やネイルなどのひとりで外出して済ませる予定が終わり、まだ時間があるときには、近くの映画館に行く。逆に、映画を観たあとに予定を済ませてもいい。平日の仕事後に、ふと思い立って映画館を訪れることもある。

ひとり分であれば、上映直前の予約でも、いい席が空いていることが多い。席さえ確保できれば、気軽に訪れて楽しめるのがひとり映画館のいいところだ。

自分の好きな作品を気兼ねなく観られる

自分から誰かを誘って映画を観にいく場合、「選んだ映画が面白いかどうか」ということに責任を感じざるを得ない。特に私の場合は、内容がわかりにくく静かで余韻のある作品が好きなので、上映中「つまらなそうじゃないかな」「飽きていないかな」と、同行者をちらちら気にしてしまう。もし同行者が寝ていたら、一気に申し訳ない気持ちになる。映画のチケット代は安くないので、せっかくなら「観てよかった」と思ってほしい。そのため、事前にレビューサイトを読み込んだりと、結構気を遣う。

ひとりで映画館に行く場合は、自分の直感に従って作品を選ぶことができる。ニッチな領域のドキュメンタリーなんかも、誰にも気兼ねすることなく観られるのがいい。

鑑賞に集中できる

誰かと映画館を訪れると、つい隣が気になってしまう。昔、今の夫がまだ恋人だった頃は、「おなかが鳴る音が聞こえちゃったらどうしよう」などと始終そわそわしていた。今は、夫が隣で寝ていないかどうかが気になって仕方ない。せっかく一緒に来たからには感想を語り合いたいので、寝られると困ってしまう。そのため、定期的に様子を確認し、うとうとしていたら揺すって起こすなどしている。

ひとりで映画館に行くと、そんなストレスとも無縁だ。周りを気にすることなく、スクリーンだけに向き合って、作品に没頭できる。

ひとり映画館が向いている人

ひとり映画館を特におすすめしたいのは、こんな人だ。

観たい映画にこだわりがある人

興行収入ランキングには入らないようなニッチな作品が好きだったり、ホラーなど人を選ぶジャンルの映画が観たかったり。そういう場合は、好みが合う同行者を探すより、ひとりでさっさと観に行ってしまった方が早い。もしも、無理に誰かと一緒に行って「面白くなかったね」などと言われたら、テンションが下がること間違いなしなのだから。

映画に没頭したい人

家で動画配信サービスを使って映画を観るのとは違う、映画館ならではの体験は、その没入感だ。スマホの電源も切り、なにもない空間で映画作品と向き合う。その体験をさらに突き詰めたいなら、隣に同行者がいない方がいい、と私は思う。自分と作品、それだけで十分だ。上映後、余韻をひとりでじっくりと噛みしめ、作品世界を消化する時間もまた楽しい。

とある日の、ひとり映画館

ここからは、私がひとり映画館を楽しむ場合によくある流れを書いてみたい。

前日〜当日:観たい映画の探し方

まずは、観に行きたい映画を探す。アクセスのいい場所にあるシネコンやミニシアターのサイト、Instagramアカウントを巡回し、アンテナに引っかかる映画を見つけるのだ。タイミングとしては、映画を観に行く前日が多いが、当日にふと思い立って探す場合もある。

我が家からは渋谷周辺へのアクセスがいいので、シネコンであれば『TOHOシネマズ 渋谷』『109シネマズ二子玉川』、ミニシアターであれば渋谷パルコの『CINE QUINTO(シネクイント)』『WHITE CINE QUINTO』や、『Bunkamuraル・シネマ 渋谷宮下』『シモキタ – エキマエ – シネマ K2』あたりの上映作品を一気にチェックする。

私は監督や脚本家、役者にそれほど詳しいわけではないので、あらすじや予告編の雰囲気を見て作品を決めることが多い。大抵、切なくて余韻が重く残りそうな作品を選びがちだ。特に、映像や音が美しいだろうと確信できる作品は映画館で観ておきたい。レビューサイトの『Filmarks』を開き、評価点数やネタバレなしの口コミも参考にする。

当日:上映前や鑑賞中の過ごし方

前後の予定にもよるが、上映時間はお昼すぎから夕方ぐらいの回を選んで予約している。そうすると、映画館の周辺でランチを食べることができるので楽しみが増える。ゆっくりとひとりでランチを楽しんだあと、映画館に向かう。

途中でお手洗いに立ちたくないので、映画館で飲み物を買うことはあまりない。ポップコーンなどの食べ物を買うこともほぼない。とにかく、映画に集中したいのだ。

席選びのポイント

席は、画面の中央を確保することにこだわっている。前述したとおり、ひとり分であれば直前でも中央の席を予約しやすい。迫力重視なので、大抵やや前方の列を選んでいる。これも好みがわかれるところで、観やすさ重視で後方を好む人もいる。ひとりであれば自分の好きなように座席を決められる。

ちなみに、「知らない人のすぐ近くに座るのはちょっと…」という方は、座席のランクを上げるのがおすすめだ。私は109シネマズのシネマポイント会員になったが、3,000円のエグゼクティブシートがいつでも通常料金で利用できるという特典がある。入会手数料1,000円、年会費無料なので、アクセスのいい場所に109シネマズがあるのであればおすすめだ。エグゼクティブシートは肘掛け部分が広く、プライベート感が増す。さらに、リクライニング機能もついており、存分にくつろぎながら鑑賞できる。

当日:上映後の余韻の楽しみ方

上映終了後は、余韻に浸りながら帰路につく。移動しながら、映画の感想をひたすらスマホのメモアプリに書き留める。書いても書いても、言葉があふれて来る。誰かと語り合うのも楽しいが、こうして自分の中の声に耳を傾けるのもまた楽しい。

家に着いたら、メモアプリを見ながら『Filmarks』にレビューを書く。書きたいことが多すぎる場合は、ブログの記事にすることもある。感想を文章にすることで、作品の消化がより進むように思う。

他の人がどう感じたのかも知りたいので、『Filmarks』のレビューを、ネタバレありも含めてじっくり読む。自分がさらっと観飛ばしていたようなシーンについての深い考察が見つかることもあり、面白い。ひとりで映画を観ても、今はこうしてたくさんの人と感想を共有し合うことができるので、つくづくいい時代だと思う。

まとめ

映画鑑賞は、作品と自分との対話だと言える。作品世界に没頭し、じっくり消化する時間を確保するのに、ひとり映画館は最適だ。ぽっかり空いた時間があれば、皆さんにもひとり映画館をぜひ楽しんでいただきたい。

東樹詩織

食や旅の領域でPR・ブランディングに携わる傍ら、執筆活動を行う。アートと本にのめり込み、「as human footprints」名義でZINE出版を開始。写真と動画の撮影・編集も。最近の関心事は、アジア各国のカルチャー、映画、海外文学、批評、3DCG、AI。キャンプ好きが高じて、東京↔︎信州・上田で2拠点生活中。