ひとり海外旅行を楽しむ人の多くは、ツアーに頼らず、航空券やホテルの手配、現地での交通手段を自分で調べて手配する個人旅行を選択していることだろう。ネットで手軽に予約ができたりGoogle Mapで地図を見たり、指先ひとつでいろいろなことができる今の時代。ひとり海外旅行のハードルは驚くほど低くなっている。
そんなひとり旅でぜひ、トライしてほしいのが“ひとり海外ドライブ”だ。知らない土地、しかも海外で運転となると躊躇する人もいるかもしれないが、少しの勇気と工夫で思ったよりもスムーズに海外ドライブを楽しむことができるはず。
そこで今回は、私の実体験から、ひとり海外ドライブを楽しむための準備と注意点を紹介しよう。
わたしのこと
- 年齢:50代
- 性別:女
- 職業:ライター、編集者
- ライフスタイル: 夫、ネコとゆるくぬるく暮らす日々。ときどきひとり旅(主にヨーロッパ)に出る。旅ジャンキーだけど普段はインドア派。食いしん坊、活字中毒、ネコの下僕。生まれ変わったらネコになると決めている。
- 座右の銘:食べることは生きること
ひとり海外ドライブのメリット
だれにも気兼ねすることなく、思うがままに自由に旅ができるひとり海外旅行。そこに“ドライブ”が加わることで自由度はもっと高くなる。公共の交通機関ではアクセスが難しい景勝地や観光スポットにも、ハンドルを握るだけで行くことができるし、電車やバスの時刻表に縛られることなく行きたいタイミングで行くことだってできる。
道中で出会った美しい景色や地元の人に愛されている小さなレストランでのランチ。ガイドブックに載っていない小さな発見こそが、ひとり海外ドライブの最大の魅力だ。
ひとり海外ドライブはこんな人におすすめ!
- 運転がさほど苦手ではない
- 日頃から安全運転を心がけている
- 時間に縛られることなく、自由に旅を楽しみたい
- どうしても行きたい場所がある
- 海外でドライブを楽しみたい
普段から運転している人であれば、海外ドライブはさほど高いハードルではない。
もちろん、日本とは異なる交通ルールや標識を事前に知っておく必要はあるが、最も大切なのは目的意識を持つこと。
わざわざ運転してまで(しかも海外!)行きたいところ、やりたいことがあることで、気持ちが俄然、前のめりになるはず。
かくゆう私もそのひとり。
運転がそれほど好きではない私が(助手席でのんびり景色を眺める方が好き)、海外ではじめてのロングドライブを体験したのはフランス。

公共の交通機関では難しいとされるフランスの東部、スイスとの国境に近いロンシャン地方に行くため、レンタカーでのロードトリップを決行。ル・コルビュジェ設計の「ロンシャンの礼拝堂(ノートルダム・デュ・オー礼拝堂)」を生きているうちに訪ねたいという思いが、私を突き動かした。
海外ドライブ初心者におすすめの国
日本で運転に慣れているとはいえ、海外でのドライブとなると普段通りにはいかない。道路事情が複雑だったり、交通ルールが異なるため、大都市の運転は避けたい。海外初心者におすすめの国をピックアップしてみた。
ハワイ
- 道路事情が初心者でも運転しやすい
- 標識が英語なので話わかりやすい
- レンタルで提供される車に日本車が多い
- 日本の運転免許証のみで運転ができる
オーストラリア/ニュージランド
- 日本と同じ左側通行
- 道幅広く、運転しやすい
- 比較的治安が良い
- 雄大な景色の中をドライブできる
スコットランド
- 日本と同じ左側通行
- 公共交通機関ではアクセスが難しい景勝地にも手軽に行くことができる
この他にも道路幅が広く、標識がわかりやすいカナダやアメリカ本土は比較的運転がしやすいとされている。
難易度が高い国・都市
海外ドライブは、基本をしっかりと押さえて安全運転を心掛ければ決して難しくはない。しかし、インドやタイは独特の交通ルールがあり、ツーリストには不向きと言えるだろう。また、ローマやパリ、アムステルダムのような大都市は渋滞が至る所で発生し、交通マナーも良いとは言えないので、これらの国で運転をするなら都市部は避け、交通量が少ない地方を選ぶようにしよう。
ひとり海外ドライブ、準備の手順
ひとりで海外旅行を楽しんでいると聞くと、度胸があると思われがちだが、私は小心者である。少しでも危険を感じたら回避するための策をとことん練る。海外ドライブも同じ。そう、海外ドライブは、事前の準備が一番重要なのだ。
- 国外運転免許証(国際免許証)を取得する
- 訪問国の交通ルールを頭にたたき込む
- 脳内で運転のシミュレーションをする
- レンタカーを予約する
- 保険の補償内容をチェックする
国外運転免許証(国際免許証)の申請方法

海外で運転するには、パスポートと日本の運転免許を持っていることが必須条件。加えて、国際免許と呼ばれている国外運転免許証を取得する必要がある。海外と言ってもジュネーブ条約締約国に限定されているため、渡航先の国がこれに該当しているかを事前にチェックすることを忘れずに。
国外運転免許証の有効期間は発行日から1年間で、更新制度はない。また、国内運転免許証が失効してしまうと国外運転免許証もその効力を失うことも覚えておこう。
国外運転免許証の申請は、日本の運転免許証に記載されている住所地の各都道府県の運転免許試験場や運転免許センター、指定警察署で行う。運転免許センターで申請する場合は即日交付されるが、警察署で申請する場合は、約2週間かかるため、余裕を持って申請を。
海外の交通ルール・マナーは日本と違う!

国によって交通ルールが異なるため、日本と同じ感覚で運転するのはとても危険。海外で運転するからには、運転する国の交通ルールを頭に叩き込んでおく必要がある。
覚えるべき必須項目
- 走行方向(右側通行or左側通行)
- 速度制限(マイル表示など)
- 標識(YIELD、ONLYなど)
- 左折のルール(対向車線を横切るか、左折専用車線を使うか)
- 環状交差点のルール
- 駐車のルール
- 飲酒運転のルール(厳禁)
- チャイルドシートのルール(年齢や着用義務など)

「地球の歩き方」の巻末には、訪問国のレンタカー事情や交通ルールが記載されているのでぜひ参照を。また、動画サイトで「フランス レンタカー ドライブ」などで検索すると、実際の運転の様子がわかる動画がアップされていて、シミュレーションができるのでおすすめ。
レンタカーの予約は公式サイトが安心
海外ドライブの気持ちが固まったら、いよいよレンタカーの手配だ。
ほとんどのレンタカー会社がオンライン予約できるので検索してみよう。
「フランス レンタカー」などで検索をすると、比較サイトがトップに出てくることだろう。
複数のレンタカー会社の料金を比較しながら選べるので、一見便利ではあるが、注意が必要だ。
予約は比較サイトを運営するサードパーティーが代行するため、レンタカー会社で手続きをすると、予約したはずの車種の在庫がなかったり、保険の内容が異なっていることがたまにある。
MT車が主流の海外ではAT車の在庫がとても少ないため、早めの予約は必須。確実に希望の車種をレンタルしたいなら、公式サイトからの予約が安心だ。
また、公式サイトであっても、あまりにも安い料金を提示しているレンタカー会社も避けるのが無難。車がボロボロだったり、車内が汚かったりするだけでなく、手続きしたオフィスからレンタカーをピックアップする場所が離れていることもある。
個人的にはEnterprise、Avis、Hertzなどの大手での予約をすすめたい。
保険はケチらずフルプロテクションで加入を
海外でレンタカーを利用する際は、日本のレンタカー会社同様に保険には必ず加入しよう。保険の内容は、対人・対物・搭乗者・車両がフルセットになったフルプロテクションがおすすめ。料金は高くなるが、見知らぬ土地、しかも慣れない海外での運転には、十分な備えをするに越したことはない
また、海外で運転中にトラブルが発生した場合は、警察に連絡するだけでなく、レンタカー会社にも連絡することを忘れずに!言葉に不安な人は、スマホの翻訳アプリを活用する方法もあるが、やはり最低限の英語力はあったほうが安心だ。
旅ジャンキーな私の海外ドライブ体験

これまで、フランス、オランダ、スコットランド、ニュージランドなどでドライブ経験がある私だが、何度かハプニングに遭遇したこともある。
フランスではうっかりオートルートと呼ばれる高速道路に乗ってしまい、左ハンドルでの合流の難しさに遭遇。制限速度130kmでバンバン飛ばす車の流れにうまく入ることができず、後続車に何度もクラクションを鳴らされた苦い思い出。以来、できるだけオートルートは避け、一般道を運転するようにしている。
また、ヨーロッパでは田舎に行けば行くほど、信号の代わりにラウンドアバウト(環状交差点)が多くなる。基本的に信号や一時停止はなく、通行は環状部分を走るクルマが優先される。このルールに慣れるまでは交差点を出るタイミングがわからず、ぐるぐると回ったものだ。

フランスの小さな村をいくつか回ったときは、路上駐車の難しさに泣いた。車を停めるときは余裕があったのに、出るときは前後にピッタリと車が駐車され、ハンドルを何度も切り替えてやっと出ることができた。以来、縦列駐車は避け、十分にスペースがある有料パーキングに停めるようにしている。
“自分の体は常にセンターライン側”と意識することで、右側通行や左ハンドルには割とすぐに慣れる。常に走行車線を走っていれば、後続車は勝手に追い越し車線を走ってくれる。海外ドライブで大切なのは、“平常心”だ。
準備してよかったもの
Google Mapとスマホスタンド

海外でレンタカーを利用して運転する際、頼りになるのがカーナビである。しかし、備え付けのナビは当然ながら英語、または現地の言葉での案内になる。そこで頼りになるのが、スマホアプリのGoogle Map(iOS/Android)である。スマホをカーナビ代わりにすることで、日本語で道案内をしてくれる。最近では iPhoneを車載システムと連携して、カーナビのディスプレイでさまざまな機能を利用できるAppleの「CarPlay」を搭載している車も増えている。

スマホ本体をカーナビに使用するときに便利なのが、スマホスタンドだ。私は取り外しが簡単かつ、コンパクトなタイプを必ず持参するようにしている。
SIMカード
Google Mapをナビ代わりに使用する場合は、データ通信が必要になる。高額請求を避けるためにも事前にSIMカードを購入しておくことをおすすめする。
ひとり海外ドライブは、世界観を広げる

小心者の私が、ひとり海外ドライブを躊躇なく楽しめるようになったのは、事前準備を怠らないこと、そして経験値のおかげである。フランス、オランダ、アメリカなどの右側通行の国でも海外ドライブを楽しんでいる。最近ではスコットランドを車で周遊、公共交通機関での訪問が難しいフランスの小さな村々を回った。
ポイントはいきなり長距離ではなく、まずは近い距離の移動から経験値を上げていくこと。また、パリやロンドンのような大都市は避けた方が無難。そもそも大都市は交通網が発展しているので、わざわざ車を運転する必要はない。
ひとり海外ドライブは、運転技術はもとより、レンタカー会社窓口での手続きなど言葉の壁があるため、だれにでも気軽にすすめられるものではない。しかし、オンライン予約や翻訳アプリなどのデジタルツールをフル活用すれば、その壁は意外と低いかもしれない。
そして、これだけは言える。
海外ドライブは世界観を広げる。
スコットランドの雄大な自然と、フランスの小さな村々で過ごしたマシュマロのような甘くてやさしい時間は、運転しなければ経験できなかったこと。もうずいぶん時が過ぎたけれど、ひとりドライブで見た景色の数々は、いまでも記憶の中でオーラを放っている。
少しの勇気と冒険心を胸に、ひとり海外ドライブで自由を手にしてみてはいかが?
その経験は、人生をより豊かにすることだろう。