刹那に生きる武士に想いを馳せて。歴史小説のすゝめ。

わたしは本の虫です。

虫になったのは高校生のとき。
アガサ・クリスティ、コナン・ドイル、レイモンド・チャンドラーなどのミステリー(ミステリ)小説にどハマりした。

そして迎えた20代。
坂口安吾、萩原朔太郎、太宰治を読み漁りながらUKロックに浸透し、合間にマイケル・ジャクソン、エレファントカシマシを聴きまくった20代。
われながら統一感がなくて笑える。

そんなわたしが40歳を過ぎたころからハマったのが“歴史小説”。
きっかけは真田幸村。NHKの大河ドラマ「真田丸」以前に池波正太郎の「真田太平記」を読破。
食うか食われるかの武士の生き様に陶酔し、日々、生ぬるい暮らしを送る自分を恥ずかしくすら思った。

そんな小難しい感情はさておき、歴史小説って本当に面白いのよう。
史実とは異なるフィクションは、ミステリー小説やファンタジー小説としても楽しめるのだ。

歴史ものは難しそうで食指が動かないというあなた。
本の虫がおすすめする歴史小説を、まずは手にとってみてくださいな。
小説の主人公が案内人となって歴史探訪、そしてミステリアスな世界へと誘います。

宇喜多の捨て嫁/木下昌輝


戦国の三大梟雄(きょうゆう)、宇喜多直家の物語。6本の短編からなる物語は、歴史小説初心者でも読みやすいはず。

直家が残忍で勇猛な人間になってい過程を描くこの物語。妻、娘を愛し、義父にも大切にされてきた男が自ら梟雄への道を選んだのはなぜ?

激動の戦国時代を生き抜いただれもが、“腐臭”を背負う。
過酷な勢力争いの中、ただ生きるために戦う武士、そして女性たちの生き様をぜひ、感じてほしい。

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宇喜多の楽土/木下昌輝


前作「宇喜多の捨て嫁」の続編。直家の息子・秀家の物語である。
父・直家の跡を継ぎ豊臣政権の覇者となった秀家。関が原で壊滅し、八丈島で長い生涯を閉じるまでを描き切った傑作長編は読み応えあり。

生きるだけで精一杯の戦国時代に、政治的理想や民衆に寄せる優しさを大切にする秀家。あえて厳しい道を選ぶ秀家の魅力的なキャラクターは、今の時代にこそふさわしいリーダー像かもしれない。

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戦国十二刻 終わりのとき/木下昌輝


豊臣秀頼、伊達輝宗、今川義元、山本勘助、足利義輝、徳川家康。乱世を生きた6人の武将の生涯最期の十二刻(24時間)を記した短編集。

彼らは残された時間をどう生き、死んでいったのか。
想像を掻き立てると共に、外枠は史実通りなので、読むことで斬新な歴史解釈もできる。
ページをめくることは武将の死へのカウントダウン。その緊迫感に押されるように一気読みした一冊です。

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太閤暗殺/岡田 秀文

だれもが知る戦国武将・豊臣秀吉。物語の舞台は豊臣天下の時代。秀吉の首を狙うのは腹心と天下の大泥棒石川五右衛門。そしてそれを阻止せんとする側近たち。双方の攻防が緻密に描かれていく展開は歴史好きならずとも興奮すること請け合い!

アクション、サスペンス、ミステリー、ファンタジーが織り混ざった二転三転するジェットコースターのような物語に、歴史小説にありがちな難解な言葉が少ないこともポイント。
結末の驚きと鮮やかさといったらもう…。
これから読む人がうらやましい。

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村上海賊の娘/和田竜


信長と石山本願寺の10年にわたる死闘「石山合戦」で起こった、第一次木津川合戦の史実に基づいた歴史巨編。

物語の舞台は戦国時代。
信長が天下統一を狙う乱世に名をとどろかせた海賊衆・村上海賊。瀬戸内海の島々で強勢を誇る当主の村上武吉の娘・景が合戦前夜の難波へ向かうとき、物語が始まる。

迫力ある合戦シーンと、合戦の非情さが鮮烈に描かれる一方で、随所にユーモアも感じられるのがこの物語の面白さ。本格歴史小説でありながら、エンターテインメント性も高く、歴史小説ビギナーにこそおすすめしたい作品です。

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過去と現代のつながりを感じられるのが歴史小説の醍醐味

歴史の本質を描きながら、作家の想像力を駆使して史実のなかにフィクションやファンタジー、ミステリーの要素を織り混ぜた歴史小説はまさに、娯楽小説である。

物語のなかに過去と現代のつながりを感じ、過去に存在した人物の現代にも通じる考え方や生き方は、今に生きるわたしたちにも通じるものがある。
もちろん、歴史を学ぶこともできる。
当時の食べ物、風習を知るのも楽しい。

この時代に、もしわたしが生きていたらどんな人生を送っていただろうか。
わたしが淀殿なら、もっと家康を翻弄できたかもしれない。
幸村と逃げ果せたかもしれない(幸村推しなもので)。

戦国時代のごはんっておいしかったのかな?
当時のおしゃれのトレンドは?

史実があるからこそ、そこに自分を投影する面白さがある。
インターネットもスマホも、SNSも、無機質な蛍光灯もなかった時代。
乱世を生き抜いた武将や民の暮らしをのぞいてみない?
歴史小説が遠い遠い昔に、あっという間に連れ去ってくれることだろう。

おだりょうこ

猫と旅、音楽と映画で形成されたライター&エディター。旅欲が止まらない旅ジャンキー。雑誌編集、テレビ局勤務を経てフリーランスに。料理は作るの食べるのも得意だったりする。