キッチンの主役、ミニマルなのに万能な大同電鍋

台湾では一家に一台あるとも言われている“大同電鍋”は、驚くほどミニマルな調理家電だ。

使い方は、鍋の中に食材を入れ、水を注いでスイッチを入れるだけ。シンプルな構造なので、外出先からWi-Fiで操作できたり、AIが自動で調理時間を調整したり…といった機能はもちろんない。

でも、大同電鍋が一台あれば、煮込み料理や蒸し料理に、スイーツまで作れてしまう。お米も炊けるし、電子レンジのように料理の温めもできる。“万能”という言葉がよく似合う、とにかく便利な製品なのだ。

今回は、シンプルなのに奥が深い、大同電鍋の楽しみ方を紹介する。

大同電鍋とは

大同電鍋は、台湾で1960年から販売されている調理家電だ。材料と水を入れ、スイッチを押すだけのシンプルな手順で調理ができる。加熱によって、外鍋に入れた水がなくなると、スイッチが切れる仕組みになっている。火を使わないため、調理中は目を離しておけるし、外出も可能だ。

蒸気で食材を加熱するので、蒸し料理はお手の物。さらに、炊飯や煮込み料理もでき、電子レンジの代わりにさえなる。

加熱時間が足りなければ、水を追加してもう一度スイッチを押せばいい。火を使う場合とは異なり、焦げてしまうといった失敗もないので、気軽に使える。

食材の入った複数のお皿を、ずらしながら重ねて外鍋に入れれば、一気に2品以上を調理できる。調理が終わり次第、そのまま食卓に出すことも可能だ。

シンプルだからこそ、あそびがある。工夫次第でどこまでも便利になる大同電鍋に、もうぞっこんだ。

購入のきっかけ

大同電鍋の存在を知ったのは、約3年前のこと。2拠点生活を始めることになり、長野の新しい家に置く電子レンジをインターネットで探しているときに、たまたま見つけたのだ。

調理家電を扱う各社が競うように便利な機能を搭載している中、大同電鍋は驚くほどローテクに見えたが、不思議とファンが多いようだった。調べていくと、大同電鍋の活用方法を紹介しているブログ記事やSNS投稿がたくさん見つかり、その幅広さに興味を惹かれた。

「今の家にも電子レンジはあるのに、もう一台買うのもつまらないよね。どうせなら、使ったことがない調理家電を試してみようよ」と夫に提案し、無事に意見が一致した。

大同電鍋の公式サイトによると、COREDO室町テラスの誠品生活日本橋店で取り扱いがあるとのことだった(2024年11月現在も販売しているよう)。台湾カルチャーの発信地とも言える誠品生活の、日本1号店だ。早速訪れてみると、さまざまなカラーの大同電鍋がずらりと並んでいた。カラーラインナップが豊富なところも、魅力のひとつである。

悩んだ末、スカイブルーを選んだ。調理家電ではあまり見ない色だが、置くとキッチンがパッと明るくなる。サイズはMサイズ(6合)とLサイズ(10合)があり、「大は小を兼ねるよね」ということでLサイズを購入した。

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大同電鍋の活用法

大同電鍋を使い始めて3年以上が経ったが、今も元気に活躍してくれている。シンプルな構造であるため、長く使えそうで心強い。

先日、2拠点生活を終了し、大同電鍋は東京のキッチンの主役になった。日々さまざまな料理を試しているが、使えば使うほど、その便利さと料理の仕上がりに感動してしまう。気に入っている活用方法を、いくつか紹介してみたい。

炊飯

最も頻度の高い利用シーンは、炊飯だ。

先日、引っ越しをしたタイミングで、もともと持っていた炊飯器が壊れてしまった。早速新しい炊飯器を買おうとしたが、「そういえば、大同電鍋でごはんが炊けるから、炊飯器はいらないのでは?」と気づいた。調理家電の数が減るのは、ミニマリストをゆるく目指す身としては喜ばしいことである。

ただ、大同電鍋の内鍋はアルミ製なので、炊きあがったごはんがくっついてしまい億劫だ。そこで、調べてみると、メーカーから「炊飯専用フッ素加工内鍋」なるものが売り出されているのを見つけた。フッ素加工内鍋はMサイズしかないが、Lサイズの大同電鍋でも使用できるとのこと。こちらを導入し、いまは快適にごはんを炊けている。

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なお、自分ひとりでごはんを食べる場合は0.5合しか炊かないので、フッ素加工内鍋ではなく、キャンプ用のシェラカップを使っている。炊きあがったら、シェラカップをそのまま食卓に持っていけばよく、余計な洗い物が増えない。調理に使う容器を柔軟に変えられるところは、大同電鍋の大きな魅力だ。

ビリヤニ

こちらも炊飯の一種になるが、大同電鍋を使えばビリヤニも作れてしまう。ビリヤニは、インドを中心に食べられている、スパイスの効いた炊き込みごはんだ。我が家では、鋳物ホーロー鍋のSTAUBを使って作ることが多かった。

STAUBで作るとパラパラした仕上がりになるが、大同電鍋の場合はふわふわとした食感に。火加減を気にしなくていいので、気楽に作れる。

ポッサム

大同電鍋で作るポッサムは、我が家の定番料理だ。ポッサムとは、豚バラ肉を茹でて、キムチなどと一緒に野菜で包んで食べる韓国料理のこと。茹でる工程を、大同電鍋で行う。

参考にしているのは、大同電鍋の公式レシピだ。

玉ねぎ、にんにく、長ねぎは、使わなくてもおいしく作れている。また、レシピでは厚さ約1.5cmの豚バラ肉となっているが、我が家では豚バラブロックを使う。火が通っていなければ、水を追加して再度スイッチを押せばいい。

材料を入れて放っておくだけで、しっとりおいしいポッサムが簡単にできる。パーティー料理としてもおすすめだ。

プリン

大同電鍋を使えば、スイーツも作れる。特に、プリンのとろとろ具合には感動した。

使った容器は野田琺瑯だ。カラメルとプリン液を作って容器に入れ、大同電鍋で蒸してから冷やすだけ。工程は簡単で、洗い物も少なくて済む。ミルクプリンなど、他のスイーツも試してみたい。

パン

実は、大同電鍋はパンを温めることもできる。このときは、水は入れずに使用する。

手順は、外鍋の底にクッキングシートを敷き、パンを乗せてスイッチを入れるだけ。スイッチが切れる頃には、パンがほかほかになっている。クッキングシートと接していた面は、カリッとした仕上がりに。両面を焼きたいときは、裏返してもう一度スイッチを入れるだけでいい。

食パンだけでなく、大きめの調理パンなど、なんでも温められるので便利だ。

お手入れ方法

大同電鍋を頻繁に使っていると、水垢や調理中にあふれた汁などが外鍋に付着し、だんだんと汚れてくる。そんなときは、クエン酸を使うと気持ちいいほどピカピカになる。

方法は公式アカウントが紹介をしてくれている。大同電鍋に水とクエン酸を入れ、スイッチを押して放置するだけだ。洗剤を使わなくても、これだけでかなりきれいになる。​​

大同電鍋のすすめ

大同電鍋に興味を持たれた方は、一度詳しく調べてみてほしい。大同電鍋を活用したレシピは公式サイトを含めて多数発信されており、Facebookグループも盛り上がっている。シンプルな仕組みなのに、こんなものまで作れるのか、ときっと驚くはずだ。

使い込めば使い込むほど、愛おしさが増す大同電鍋。家に迎えたら、自由な発想でさまざまな使い方を試してみてほしい。

東樹詩織

食や旅の領域でPR・ブランディングに携わる傍ら、執筆活動を行う。アートと本にのめり込み、「as human footprints」名義でZINE出版を開始。写真と動画の撮影・編集も。最近の関心事は、アジア各国のカルチャー、映画、海外文学、批評、3DCG、AI。キャンプ好きが高じて、東京↔︎信州・上田で2拠点生活中。