10年ぶりに同じ本を読んだら、新しい目線で見れた話

10年ぶりに同じ本を読んだら、新しい目線で見れた話

あなたは、同じ本を改めて読み直したことはあるだろうか。
少なくとも、僕は去年までなかった。

新しい本を買って読むたびに世界が広がる気がして、かつて本嫌いだったとは思えないほど夢中になっている。
(僕の本嫌いエピソードは「国語の偏差値32だった小学生時代…そんな僕が本好きになったきっかけ」の記事にて詳しく紹介)

けれど、ある日ふと思いついた。

「10年前に読んだあの本を今読んだら、また違った発見ができるんじゃないか?」

そう思って再びページを開くと、予想は的中。
かつて読んだときとは、まったく別の気づきがたくさん得られた。

10年ぶりに読んだ本(1作目):『7つの習慣』

最初に紹介するのは、ビジネス書が好きな方なら読まれた方も多いであろう、スティーブン・R・コヴィー『7つの習慣』(キングベアー出版)だ。

なぜ10年ぶりに読もうと思ったか

『7つの習慣』を10年ぶりに読もうと思ったのは“過去の自分とは違う課題があった”から。

『7つの習慣』は下の項目で構成されており、1〜3つ目が“自分自身のこと”、4〜6つ目が“他者との関わり”について書かれている。

  1. 主体的である
  2. 終わりを思い描くことから始める
  3. 最優先事項を優先する
  4. Win-Winを考える
  5. まず理解に徹し、そして理解される
  6. シナジーを創り出す
  7. 刃を砥ぐ

加えて”自分自身のこと”の項目を満たして初めて、”他者との関わり”のステージに移れるといった旨も書かれていた。

10年前の僕は自信が持てずに苦しみ、自分のことで精一杯だった。
“他者との関わり”の3項目については、どこか遠い世界のように感じている。

それに、僕が『7つの習慣』を手に取ったのは、“親の言いなりの人生がつらいと感じていた”から。
最初の項目である”主体的である”を中心に、自分の人生を取り戻すヒントが見つかると思っていた。

一方で、今となっては主体的に生きられるようになり、病気をきっかけに自分のことも十分理解できた。

“他者との関わり”のステージに、そろそろ足を踏み入れてもいいんじゃないか。
そう思って、本の上に被ったホコリを払いのけてから、10年ぶりにページを開いた。

10年ぶりに読んで感じたこと

“他者との関わり”の3項目を筆頭に、昨年改めて読み直したら「僕の今の仕事である、Webライターやオンライン相談で活かせる場面も多い」と強く感じた。

  • クライアント、読者、自分自身すべてがプラスになる記事を書く(Win-Winを考える)
  • オンライン相談で、まずは相手の話の理解に徹する(まず理解に徹し、そして理解される)
  • 妥協点ではなく、お互いに納得できるよりよいアイデアを見つける(シナジーを創り出す)

上の3つができるようになると、周りを巻き込みながら結果を残す“仕事ができる人”になると思う。
これに気づけたのも、自分自身のことの理解を深めたおかげといえるだろう。

実際、“他者との関わり”の3項目を心がけてから、仕事の質や報酬が上がったと我ながら感じている。
こうして「昔読んだ本を読み直すのもいいなぁ」と思うようになった。

10年ぶりに読んだ本(2作目):半沢直樹シリーズ

先ほどはビジネス書だったが、次は小説を読み直した。
池井戸潤『半沢直樹シリーズ』について紹介したい。

なぜ10年ぶりに読もうと思ったのか

僕が半沢直樹シリーズを初めて読んだのは、大学生のとき。
社会人経験といえば、学業の合間にやっていたアルバイトくらいだ。

父親からも仕事の話を聞いたことがない自分にとって、社会人がどんなものなのかがわからない。
ゆえに、当時は“『半沢直樹シリーズ』が現実に近いフィクションかどうか”もピンと来なかった

そんな僕だが、業界こそ違えど、昔ながらの日系大企業に新卒で入社した(作中の半沢直樹は銀行、僕はメーカー)。
僕はその会社で体調を崩すほど苦しんだから、正直苦い思い出ばかりが蘇る。

とはいえ、実際に働いてリアルを知ったからこそ、『半沢直樹シリーズ』がまた違う角度で読めるのではないか。
先ほどの『7つの習慣』と違い、『半沢直樹シリーズ』はなぜか実家に置いてきてしまったので、改めて購入しイチから読み進めた。

10年ぶりに読んで感じたこと

『半沢直樹シリーズ』の読み直しは、先ほどの『7つの習慣』以上に感慨深いものがあった。

  • 理不尽なことがまかり通る会社
  • 保身のために部下を利用する上司
  • 会社員ならではの派閥やしがらみ

これらがいかにリアルに描かれていたのか、自分が経験したからこそ強く実感した。
半沢直樹が置かれた状況を鮮明にイメージでき、思わず感情移入しながら読み進めた。

加えて、Web上でよく見かける下のような声に、改めて読むことで共感できた。

「半沢直樹みたいにスカッと言えたらいいのに、実際はそうもいかない…」

口にはできない社会人の悩みを、小説のなかで半沢直樹が代弁してくれている。
これこそが、小説やドラマが人気を集めたきっかけではないかと感じた。

10年ぶりに読む本をどう選ぶ?

この記事を読んで、久しぶりに読みたくなった本がたくさん浮かんだ人もいるかもしれない。

もちろん、全部読めたら理想だけど…。
忙しいあなたに、僕からおすすめしたい基準はこの2つだ。

  1. 人生のステージが変わって、読み方が変わりそうなもの
  2. かつて読んだときに、まだ肌身で実感できなかったもの

僕が紹介した本たちは、以下が読み直しのきっかけになっている。

  • 自分のことで精一杯だった過去から、他者との関わりについて考える余裕ができた
  • 学生から社会人になり、会社でのしんどさを経験した

10年前の自分から成長したからこそ、新しい発見が得られたのだろう。

  • 独身のときに読んだ恋愛小説を、結婚した今読み直す
  • 新入社員のときに読んだビジネス書を、管理職になった今読み直す

こうした“変化と関連した内容の本”を読むことで、また違った世界に誘ってくれるはずだ。

昔読んだ本を、もう1回読むのも面白い

読んだことない本と出会うのはもちろん楽しいが、“一度読んだ本の再読”もまた違った楽しさがある。

  • 人生のステージが変わったからこその学び
  • 自分が経験したからこそできる共感
  • 今まで気づかなかった描写へのこだわり

これらを一度体験すれば、きっとやみつきになるだろう。
少なくとも僕は、また10年後に読んだら面白そうと感じた。

“人生経験や変化によって、読み方が変わりそうな本”があれば、この機会にもう一回手に取ってみてほしい。
きっとそこには、10年前に見れなかった新しい世界があるから。

後藤 迅斗

ライター4年目。メンタル心理カウンセラーとして、120人以上の悩みを解決に導く。うつ病で休職した経験をもとにしたブログ「じぶんぽっく」運営。「社会人の心の守り方」を発信するXは11,000フォロワー超。「Sence of...」では「人生の大きな変化」について自分らしく紡ぎます。 ブログ「じぶんぽっく」:https://www.jibun-pock.com/